PC日記じゃなくて、脚本論でやります。
かつて文豪は万年筆にこだわった。
万年筆を何本も持ったりした。
漫画家だって描く線に応じてペンを替える。
僕は手書き用の青いボールペン
(ペンテル中性)にたどり着くまでに10年かかったし、
以後25年は使っている。
使う理由は持ち手のちょうどよさと、インクの滑りよさと、
色である。
しかるに、キーボードがそうじゃないのはおかしくないか?
「書きやすさ」が筆記用具の全てであるように、
「打ちやすさ」こそがキーボードの全てではないか?
世の中には沢山の筆記用具がある。
ボールペンやシャーペンや鉛筆は、
手にとって確かめることが出来る。
たいして高くないから、
買ってみてダメでも、そんなにダメージはない。
(ペン立てにある筆記用具は、
大抵使わないやつだ)
キーボードも、そうあってよいのではないか。
大きめの家電量販店
(東京なら有楽町ビックカメラなど)では、
キーボードが沢山おいてあって、
実物を触れるようになっている。
それを一時間でも二時間でも触って、
お気に入りのキーボードを探すべきだ。
(そして合わなければ、
ペン立てに捨てるように、複数のキーボードを買えばいいのだ)
高い買い物ではない。
数千円だ。(すごいいいのは一万円以上)
うまい飯一回我慢すりゃ買える。
うまい飯も重要だけど。
今や、キーボードなしに文章を書いている人は、
絶滅だと言ってもよい。
ということは、
キーボードがあなたの文章の質を決めている。
万年筆の質が文豪の文章の質を決めているのと、
同じくらいの貢献度で。
以下、キーボードの基礎知識。
USBポートで有線接続と、
無線接続(シーバーをUSBポートに差す)と、
Bluetooth無線接続(シーバー不要)がある。
順に、
電源不要、電源不要、電源必要(充電式か乾電池か)。
遅延0、たまに遅いかな、まあ実用範囲。
あと、Windows用とMac用(とその他用)。
売り場はこれで分類しているので、まずはそこから。
自分の気に入ったものが、自分のパソコンで使えるとは限らない。
物理的な属性。
大きさ、深さ、厚み、キー配置を見よう。
大きさが、手の大きさに合ってるか確認しよう。
実際に文章を打ってみるといい。リターンやBSなども確認だ。
深さは、キーのストロークだ。
キーの打鍵感触といってもいい。
深い、浅い、固い、柔らかい、音が出る、静音、色々ある。
大きさと深さは、手にとっての感触を決定する。
同じ文章を違うキーボードで打ってみたり、
よさげなキーボードで様々な文章を打ってみよう。
自作の台詞やト書きを打ってみると、
「自分の文章との相性」がわかると思うよ。
登場人物の名前を打ってもいい。
主人公。敵。ヒロイン。友達。舞台。アイテム。
そこに少しのミラクルな感触があれば、
あなたとそのキーボードは相性がいい。
あとは厚み。
手前下げに傾いたキーボードは勧めない。
(キーボードが手前下げに傾いてるのは、
字を見やすくさせるためなのだそうだ。
あなたはそんなパソコン初心者ではないだろう)
手首を水平に保てるものを選べ。
あなたは何時間もキーを打つ。
指先、手首、肘が一直線になるものを選べ。
(極端には、肘と手首の結ぶ線より、指先が下に出た方がいい)
手首を上に上げるのは腱鞘炎の原因になる。
最低一万字打たないと、
長時間打ちに向くかどうかなんて分からない。
店頭では確認できないから、
沢山キーボードを買ってみて、
だめならペン立てに指しておく。
それはペンと同じにキーボードを見ること。
数千円×いくつかで、最大数万円の投資と、損失を見積もればいい。
あなたの文章は、それ以上の価値を生む文章の筈だ。
厚みのあるキーボードなら、
リストレスト、パームレストを購入するのもよい。
とりあえず本などで手のベストの位置を知れ。
「ベストの高さが手とキーボードの関係性で変わる」
ことを知ることが大事だ。
とにかく一直線に保てれば、それだけで打鍵感覚は変わるぞ。
人生の1/3は布団の上で過ごす。
人生の1/10はキーボードを触る。(たぶん)
ちなみに僕のオススメは、
エレコムTK-FCM084(USB有線、Windows)だ。
ビックカメラでは500円代で売ってたよ。
脚にがたつきがある個体なので、
ゴム板で固定している。
テーブル上で使う時は奥下げになるように、
ファイルをかまして打っている。
(いずれオシャレなものが欲しいけど)
奥下げにするとキーの印字面が見えなくなる。
それはむしろメリットだ。なぜなら、
あなたはいつかはブラインドタッチに移行するべきだからだ。
書き物をしていくなら、
書かれたものと自分を対峙する方法を検討することだ。
手元を眺めてる時間は、何もしていない時間である。
パソコンには、普通キーボードがついてくる。
ノーパソなら一体化してしまって、
交換するという発想すら出てこないかも知れない。
でもそれは、万年筆を探さない言い訳にはならない。
ついてきたキーボードがあなたにとってベストという確率は、
低いと思う。
(本体を買うのであって、キーボードを買う訳じゃないしね)
できるのなら、
キーボードと本体は別に考えることをお勧めする次第。
(ノーパソでもキーボードを別に使う人もいる時代である)
僕は今のボールペンにたどり着くまで、
随分かかった。
それくらいかかると思うことだ。
あなたが何年、何十万字文章を書くかは知らないが。
2017年02月17日
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