経験的な話だけど。
クライマックスを書くのは、
一日二日で書けるものだ。
中盤は長さが倍だけど、
かかる時間は倍じゃすまない。
倍の倍ぐらいかな。
内容によってはもっとだろう。
中盤の前半のほうが、
後半より時間がかかる。
倍かかるということにしよう。
一幕はもっとかかるよね。
倍かかることにしよう。
プロットは?
その全体の執筆の、
倍かかるんじゃないかな。
構想は?
やっぱりプロットを書くのに倍かかるだろう。
(もっとかも)
最初の一撃を思いつくまで。
もっともっとかかる。
つまり、時間軸的に見ると、
作業時間はどんどん加速していく。
逆行して見れば、
私たちはどんどん怠惰になっていっているように見えるだろう。
仮に、全部倍かかると数字を見積もる。
クライマックス、二幕後半、二幕前半、一幕、
プロット、構想、最初の思いつきの一撃、
と7段階に分けてみよう。
クライマックスに二日かかるとすると、
2、4、8、16、
32、64、128日それぞれかかる。
総行程日数は、254日。
なかなかリアルな数字だね。
思いつきや構想は、フルタイムじゃないから、
もっとかかるかも知れない。
資料探しや調査も含めばもうちょいかかるだろう。
まあその誤差はおいといても、
このように、
作業時間は前工程ほどかかる、
という経験則がある。
なんでだろ。
生命の発生に似てる気がする。
最初の生命が出来るまでに莫大にかかり、
進化が進むほどに時間がかからなくなっていく感じ。
何かと何かの結びつきだからかも知れない。
何かと何かが結びつくまでには時間がかかるのだが、
結びつきが生まれれば、
結びつきと結びつきが結びつくから、
加速度的になっていくのかも知れない。
連鎖反応だ。
連鎖反応は加速度的に起こるのだ。
学習曲線とかとも同じだね。
で、これ以上手をかけてもたいして上がらないところが、
完成なのかも知れない。
(それよりずっと前に締め切りがきちゃうこともあるが)
仮に倍と見積もったけど、
人に作業よっては1.5とか3かも知れない。
それぞれの得意もあるだろう。
ということで、
作業スケジュールを見積もる時の参考にしてほしい。
ざっくり半分は、思いつくまでの時間。
次に1/4は、まとめていく時間。
次の1/8は、構想を具体的な一次元にする時間。
次の1/16は、一幕を書く時間。
次の1/32は、二幕前半を書く時間。
次の1/64は、二幕後半を書く時間。
次の1/128は、クライマックスを書く時間。
これはまだリライトを計算に入れていない。
リライトは、このトータルと同じくらいの時間を取っておくといいかも知れない。
脚本家はなにもしていなくて、
だらだらしてる時間が多い、
という世の中の偏見(実際そう)は、
実際のところ、
3/4は頭のなかで生命を発生させている、
からかも知れない。
逆に、いきなりプロットから作業時間を見積もると、
あとで全然間に合わなくなる、
という警告。
経験的に、
仕事のスケジュールというものは、
線形で引かれる。
日本人の作業工程は、
農作業や工場の部品組み立てなどが標準だからである。
工賃が日割りであるのも、
その反映である。
倍働くと倍作業が進み、倍もうかる。
季節が四季あり、規則的な暦を生きている人の感覚だ。
しかし、クリエイティブな作業は、
加速度的である。バイバインだ。
スケジュールの組み方を変えてみよう。
クリエイティブな人は遊んでるんじゃない。
3/4の時間を過ごしてるんだ。
執筆作業に入ったら人前に姿を現さなくなるから、
人前にいるときは、
100%遊んでるように見えるだけの話である。
これからやることを見積もるとき。
それが線形作業なのか、
加速度的作業なのか、
見積もろう。
ちょっと経験がいる。
たとえば漫画のペン入れやベタ塗りは、
ほぼ線形作業だろう。
N個の作業を平均Aで出来るのなら、
NA時間かかる。
ネームや下書きはそうじゃないだろう。
そんな感じ。
日本の賃金体系や作業スケジュールは、
線形を基準に組まれている。
僕らはそうじゃない。
2017年02月22日
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