2017年03月05日

100人の登場人物を作ってみよう2

100人の登場人物を創作してみたとする。
いわば持ちキャラみたいなことだ。

これで出来る訓練法。


まず何人か集めて、お話を頭のなかでイメージする訓練。
これは誰もがやっていることだろう。

次にやることは、
それに出ていない別のキャラを、
その話のどれかのキャラと入れ換えることだ。

全くもって破綻することもあるし、
逆によくなることもあるし、
たいして変わらないこともあるし、
成立しないことすら、あるかも知れない。

なぜそうなるかを考えることは、
キャラクターとストーリーの関係を考えるのに、
いい機会だ。
ある役割と、キャラクター性は、
入れ替え可能なときと不可能な時がある。
不可能な時は、キャラクター性がストーリーと直接関わるときである。

逆に、キャラクター性がストーリーと関わらないのなら、
いくらでも交換可能である。
キャラクターに必然性がないからである。
逆に、必然性とは、キャラクター性とストーリー性が一致しているときのみ、
成立する。

キャラクターまるごと入れ替えられないなら、
そのストーリーに必然性のある部分だけ残して、
他のキャラクターにそれを移植できないかを考えるのも、
よい訓練だ。

その移植がそのキャラクターを壊してしまうなら手術は失敗で、
うまく癒着することもあることを、知ると良いだろう。

キャラクターは、一見ガチガチに決まっているように見えて、
意外と可塑性がある。
それは、人間の可塑性と同じだったりするわけだ。

逆に、どうしても譲れないことや、どうしても否定したいことがそのキャラクターにあるのなら、
可塑性がない部分があるということだ。
これはそのキャラクターの強みにもなるし、弱点にもなる。
それが悪い場合もあるし、いい場合もある。
勿論これも、人間と同じである。


また、
実在の名作などのキャラクターを、
あなたのキャラクターと入れ替えても成立するかどうかを試してみよう。
俳優が変わったような感じである。
それをどう違うのか、ディテールを詰めていくのは、
キャラクターに対するあなたの知見を増やしていく。

フィクションの話ばかりでなく、
現実にいたら、などと夢想するのもとてもよい。

あるいは、誰かと入れ換えるだけでなく、
その世界に一人だけあなたのキャラクターを混ぜたらどうなるか考えるのも面白い。

これは二次創作における、オリキャラを投入することと同じだ。
ただし、キャラクターの造形の実力が、
あなたともと世界の間で違いすぎると、
浮いてしまうので、メアリースー的になってしまうことが、
とてもよくあると思う。
架空の世界ばかりでなく、現実にぽっと出てきたところを想像するのもとてもよい。
隣に座ってみたり、お喋りを想像するのもいい訓練だ。


さてさて。
そんなこんなをしても、
ちっとも新しいストーリーが生まれないことに注意されたい。
ストーリーに必要なものはなんだったか?
事件と、目的である。
それがない、ただの100人の登場人物からは、
決してストーリーは生まれない。
ストーリーの切れ端は生まれる可能性があるが、
ストーリー全体の骨格は生まれない。
何故なら、ストーリーの骨格とは、
事件とその解決で出来ているからで、
キャラクターで出来ているわけではないからだ。

このことを実感するためにも、
100人の登場人物を作ってみることは、
とてもよい訓練である。
1日10人作っても、10日かかるぞ。
やってみたまえ。
posted by おおおかとしひこ at 01:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
キャラ100人斬り、早速やってみます!!
質問なのですがキャラクターはどれくらい作り込めば良いのでしょう?
大まかな性格と目的、その動機を作ればOKなんでしょうか。
Posted by ルーシー at 2017年06月29日 14:52
ルーシーさんコメントありがとうございます。

「自分で区別がつき、自在に生き生きと動かせる程度」
かな。
どっかで似たようなことになってしまうので、
似てない人を作るには、設定量を増やさないと難しいかも知れない。
でも量じゃなくて、質ですよ。
質の高いのが沢山色々ある状態が、目標で。
Posted by おおおかとしひこ at 2017年06月29日 16:34
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