100人の登場人物を創作してみたとする。
いわば持ちキャラみたいなことだ。
これで出来る訓練法。
まず何人か集めて、お話を頭のなかでイメージする訓練。
これは誰もがやっていることだろう。
次にやることは、
それに出ていない別のキャラを、
その話のどれかのキャラと入れ換えることだ。
全くもって破綻することもあるし、
逆によくなることもあるし、
たいして変わらないこともあるし、
成立しないことすら、あるかも知れない。
なぜそうなるかを考えることは、
キャラクターとストーリーの関係を考えるのに、
いい機会だ。
ある役割と、キャラクター性は、
入れ替え可能なときと不可能な時がある。
不可能な時は、キャラクター性がストーリーと直接関わるときである。
逆に、キャラクター性がストーリーと関わらないのなら、
いくらでも交換可能である。
キャラクターに必然性がないからである。
逆に、必然性とは、キャラクター性とストーリー性が一致しているときのみ、
成立する。
キャラクターまるごと入れ替えられないなら、
そのストーリーに必然性のある部分だけ残して、
他のキャラクターにそれを移植できないかを考えるのも、
よい訓練だ。
その移植がそのキャラクターを壊してしまうなら手術は失敗で、
うまく癒着することもあることを、知ると良いだろう。
キャラクターは、一見ガチガチに決まっているように見えて、
意外と可塑性がある。
それは、人間の可塑性と同じだったりするわけだ。
逆に、どうしても譲れないことや、どうしても否定したいことがそのキャラクターにあるのなら、
可塑性がない部分があるということだ。
これはそのキャラクターの強みにもなるし、弱点にもなる。
それが悪い場合もあるし、いい場合もある。
勿論これも、人間と同じである。
また、
実在の名作などのキャラクターを、
あなたのキャラクターと入れ替えても成立するかどうかを試してみよう。
俳優が変わったような感じである。
それをどう違うのか、ディテールを詰めていくのは、
キャラクターに対するあなたの知見を増やしていく。
フィクションの話ばかりでなく、
現実にいたら、などと夢想するのもとてもよい。
あるいは、誰かと入れ換えるだけでなく、
その世界に一人だけあなたのキャラクターを混ぜたらどうなるか考えるのも面白い。
これは二次創作における、オリキャラを投入することと同じだ。
ただし、キャラクターの造形の実力が、
あなたともと世界の間で違いすぎると、
浮いてしまうので、メアリースー的になってしまうことが、
とてもよくあると思う。
架空の世界ばかりでなく、現実にぽっと出てきたところを想像するのもとてもよい。
隣に座ってみたり、お喋りを想像するのもいい訓練だ。
さてさて。
そんなこんなをしても、
ちっとも新しいストーリーが生まれないことに注意されたい。
ストーリーに必要なものはなんだったか?
事件と、目的である。
それがない、ただの100人の登場人物からは、
決してストーリーは生まれない。
ストーリーの切れ端は生まれる可能性があるが、
ストーリー全体の骨格は生まれない。
何故なら、ストーリーの骨格とは、
事件とその解決で出来ているからで、
キャラクターで出来ているわけではないからだ。
このことを実感するためにも、
100人の登場人物を作ってみることは、
とてもよい訓練である。
1日10人作っても、10日かかるぞ。
やってみたまえ。
2017年03月05日
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質問なのですがキャラクターはどれくらい作り込めば良いのでしょう?
大まかな性格と目的、その動機を作ればOKなんでしょうか。
「自分で区別がつき、自在に生き生きと動かせる程度」
かな。
どっかで似たようなことになってしまうので、
似てない人を作るには、設定量を増やさないと難しいかも知れない。
でも量じゃなくて、質ですよ。
質の高いのが沢山色々ある状態が、目標で。