2017年03月10日

筋とは何か

矢の話、まだ続き。

筋、大筋とは、結局は、
この矢の動きを、大局的に見たもののことである。


大局的に見れば、
事件と展開と解決だ。
その具体的な大筋が、筋と呼ばれるものである。

ロッキーならば、
引退寸前のロートルボクサーが、
偶然世界戦の相手に指名され、
エイドリアンをゲットし、
ミッキーをゲットし、
最終的に最後まで立ち続け、
己を世間に示した、
というのが大筋である。

これをさらに一行から三行ぐらいに縮めたのをログラインといい、
1500字ぐらいに引き伸ばしたのを梗概という。
(ちなみに、
同じ話を、全然別の文字数で複数通りに表現することは、
訓練にとてもよい。
どの粒度で何を表現すれば、
その文字数での「本質を描写したこと」になるか、
考えて表現できなければならないからだ)


で、
この大筋というのは、
矢の大体飛んでいる方向性、
ということになるわけだ。

勿論、執筆レベルでは色んな矢の飛ぶ方向がある。
借金取りとして指を折ってこいと命令されるとか、
頭突きを受けて目の上を切り、一人で治してるとか、
少女を送って帰ったらクソヤロウと罵声を浴びるとか、
ポーリーと喧嘩して、思わず殴ろうとして思いとどまるとか。
そういう具体的な矢の飛ぶあちこちを、
大局的に見たのが筋、ということになる。


ストーリーを書くとき、
目の前の矢のことで精一杯になって、筋が見えづらくなっているときと、
大筋はいいんだけど、具体的な目の前の矢のことはあんまり面白くないときの、
二種類の問題が発生しやすい。

前者は問題に気づかず、
後者は問題がわかっていても解決法がわからない。

前者は問題に気づくことが先決で、
常に「それはどんな大筋のどの部分なのか?」
に答えられるようにしておくことだ。
それが答えられたら、迷路の出口が見つかりやすい。

後者は、もっと登場人物の矢によりそい、
観察し、矢に魅力を付加していくことを考えるとよいだろう。


いずれにせよ、
筋が面白くない話は、
結局詰まらない。

だから大筋からつくれ、と教える人もいるけれど、
必ずしも大筋からつくれるとも限らないので、
僕は筋からつくってもいいし、
ディテールからつくってもいいと、主張している。
しかしいずれ、
筋を決める作業をしなければいけないし、
ディテールや矢の状態を工夫する作業もしなければいけない。
posted by おおおかとしひこ at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック