キーボードをいいものに変えるのは、
万年筆を変えるようなもので、
劇的に感覚が変わる。
いますぐベストのキーボードを探しに、
量販店に触りに行け!
以下、本日家に来た、hhkb-btのレビュー。
三万円也。
キータッチの素晴らしさは、
言うまでもない。
粘土をこねるような、とか、
フェザータッチ、とか、
色々なことばで表現されている。
僕は、繊細な筆のようだと感じた。
これに比べれば、今までのそのへんのキーボードなんか、
ガビガビの鉄筆だぜ。
静電無接点方式という、高い仕組みで作られている。
中のコイルの静電誘導でオンオフを判定する。
どういうことかというと、
キーを底打ちしても、底打ちしなくても、
キーを押したことになる。
注意深く打鍵音を聞いていると、
力の入った打鍵(語頭など)は、すこんと底打ちをし、
その後の滑らかな打鍵はすらりという、底までいかずに打鍵した音になる。
つまり、キータッチに二種類が生まれる。
緊張して力の入った底打ちと、
緊張せずに自由に打っている半ば打ち(仮にそう命名)と。
後者のタッチになるということは、
指が自由になっているときだ。
その時が気持ちいい。
柔らかく繊細な、粘土をこねているような感覚だ。
つまり、デジタルのことなのに、
アナログを触っている感覚なのである。
そこがたまらないと思った。
安いキーボードは、オンかオフしかない。
だから硬い。だから腱鞘炎になる。
hhkbは、底まで打った硬いオン(それでも柔らかいタッチ)、
柔らかいオン、オフがある。
その真ん中の許容度が広い。
腱鞘炎にならないっぽい。
僕はまだ腱鞘炎が完治してないのだが、
リハビリにこのキーボードはとても良さそうだ。
こないだ小道具を作るために、
久しぶりに毛筆(大筆)を持ったんだけど、
コントロールが難しい道具のひとつで、
なかなかアナログの物書きは楽しいな、と再確認。
マウスとフォトショじゃあこの暴れをコントロールする楽しみはないね。
そう。アナログの道具というのは、
暴れを制御する楽しみがあるのだ。
バイクやヨット。釣竿。刀や武器(難しい鎖鎌とか特に)。
筆。木炭。笛やラッパ。弦楽器。包丁やナイフ。
放っておいたら暴れる品を、
こちらの体でコントロールして、秩序を作っていくこと。
それそのものが、楽しいのである。
デジタルの道具は、
いかに思考を実現するか、
道具として消えることを目的としているけれど、
そのデジタルにはないものこそ、
道具を使う悦び、制御する楽しみ、
暴れを体でコントロールする楽しみなのである。
道具を使うことが楽しいから、
何かを作ってしまう。
そもそも創作というのは、
原始的にはそうなのかも知れない。
だからデジタルの道具はバカでも使えるし、
人をバカにする。
アナログの道具は賢くなくちゃ使えないし、
人を賢くする。
道具の本質は、僕は火だと考える。
危険と制御のアンビバレンツだ。
僕は、たぶんそのために手書きを捨てなかったし、
今後も捨てない。
第一稿は常に手書きだ。
それは、賢くありたいからなんだな、
と、ようやく分かってきた。
ううむ。hhkbは、どっちだ?
アナログ的な道具っぽくて、大変いい。
久しぶりに、征服する楽しみが湧いてくる。
道具は男のものだねえ。
さて、hhkbには二種類の配列がある。
英語版と日本語版だ。
どっちを買うか、最後まで迷った。
(有楽町ビックカメラには、両方触れるようになっているので、
触って指の長さなどとの相性をみてください)
英語版:
×英語配列なので記号系がずれている。日本語キーボードと併用する場合、設定をいちいち変えなきゃだめ。
×カーソルキーがない。右下Fnキーと通常キーの併用。
×スペースキーが大きいのはいいのだが、これだけうるさい。
○かっこいい。
○配列がちゃんとしてる。(日本語版はちゃんとしてないのだ!)
日本語版:
×下段のズレが1/2でなく、1/4なのだ!(z段のずれ問題)
カタナ式でいうと、K-Hがすげえ遠い!(T-Hも)
×スペースキーが短く、右親指から遠い。
(カタナ式の翼ホームポジションだと、
右手を斜めに使うので、普通のホームポジションよりは右親指が届いた)
○カーソルキーがある。
のような差がある。
日本語版の、配列ズレとスペースキーの短さは、
触ってみて、長文を打ってみて感じるしかない。
ちなみに僕は30分ずつ店頭で同じ文章をブラインド打ちし、
日本語版で問題なしと結論づけた。
迷惑な客だ。
しかもbt(Bluetooth対応版)は、店頭販売せず通販のみ。
ビックカメラは三万円を逃したわけだ。
どっちか迷うなら、触って結論づけたほうがいい。
これから何百万字打つことを考えたら、
そのつき合いができる方を選ぶことだ。
ちなみに。
静電無接点方式を採用しているキーボードは、
もうひとつある。
東プレリアルフォースという、タイピスト御用達のやつだ。
レジ打ちのキーやセブンイレブンATMのキーは、
同じものなんだって。いわゆる業務用。
僕にとってこちらは、硬すぎると感じた。
以前、鉛筆には三大メーカーがあるという話をした。
同じHBなのに、
三菱(柔らかい)とステッドラー(硬い)では全然違う。
それに近い。
僕は柔らかい派なので、
東プレは却下、と相成った。
鉛筆数本買うのとは訳が違い、
店頭で確認するしかないので、
かっちりした線が好きな人は、東プレをさわってみるといい。
ノーパソに使われている平たいキーは、
パンタグラフ式という。
Macの平たいキーボードもそうだ。
据え置きウィンドウズのキーは、メンブレンってやつだね。
パンタグラフよりかメンブレンだけど、
モビリティという点ではパンタグラフだ。
実際、僕は今までパンタグラフ式のBluetoothキーボードを持ち歩き、
カフェなどで書いてきた。
しかしパンタグラフは、強く押すとぎゅいぎゅい言う。
この余計な力が腱鞘炎の原因なんだと、最近分かってきた。
だからパンタグラフだと長文は難しい。
(一万字は無理)
でもメンブレン方式を持ち歩くのはちょっと。
隣に人もいるだろうし。
こういうときに、hhkb-btはいいかも知れない。小さいし。
だけど重いのが難点。サーフェスと同じぐらい重い。
キャリーバッグも探さなくちゃ。
あとパームレストを、板で自作しようと考えている。
とりあえず持ち歩いて様子見かな。
2017年03月14日
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