たとえば、
そのストーリーに出てくる「財閥」の名前を、
考えてみたまえ。
勿論架空の財閥名でだ。
井上財閥、
深草財閥、
豪徳寺財閥、
ファルテンシュタット財閥、
ムシャラーフ財閥、
カネモッチ財閥、
などなど、
色々なリアリティーの層がありえる。
井上はありそうなリアリティー。
深草は京都の地名からとったけど、土地のリアリティーを更に含む。
豪徳寺はマンガっぽいリアリティー。
ファルテンシュタットは中二っぽいSF的リアリティー。
ムシャラーフは実在のアラブ姓から取ってきたのだが、
社会派にありそうなリアリティー。
カネモッチは、ギャグやナンセンスのリアリティー。
固有名詞ひとつ取っても、
実在性には色んな層がある。
あなたの目指すリアリティーは、
一体どのへんだろうか?
どの財閥が出てきてもおかしくないような、
世界を築いているだろうか?
人の気持ちのリアルな所に寄り添う、
なんて言ったとしても、
リアルすぎたら気持ち悪かったりするし、
ファンタジー過ぎたら嘘だし、
ほんとにあったことが、他人にリアルに感じるとは限らない。
母親のセックスを想像したら気持ち悪くなるように、
本当のリアルは、受け入れがたいものがとても多い。
財閥の例ならば、ロスチャイルド財閥を出したらリアルすぎる感じだ。
あなたは、リアリティーをどのへんの実在性にするか、
首尾一貫しなければならない。
場面場面でぶれてはいけない。
(ぶらして効果的な場合は、意図的に、首尾一貫してぶらさなければならない)
主人公の住所は?
主人公の好きな酒の銘柄は?
主人公の所属する組織の名前は?
どのへんのリアリティーで、
どのへんの実在性だろうか。
それは、テーマと関係してくる。
ギャグやナンセンスの実在性で、
えげつないリアリティーを描くのは、ブラックコメディによくある手法だ。
少女マンガのリアリティーは、
少女マンガの絵だから出来る実在性で、
実写になると寒くなる。実写はもっと情報量が多い。
実写でラノベをやっても、同じく寒いだろう。
社会派小説は、ドキュメンタリー映像と実在性が近い。
だからこの皮を被ったフェイクドキュメントという手法もある。
架空のドラゴンやら宇宙船やらの実在性は、
その存在があるものとして進めなければならない。
知ったら恐い雑学系は、リアルを徹底的に暴こうという露悪である。
リアルとフィクションの間の実在性に、
オカルトや都市伝説があるような気がしている。
エンターテイメントは、
架空の、フィクションの、分かりやすい実在性とばかりは限らない。
時に越境してくる感じが面白かったりする。
その実在性は、どの程度を狙うのか。
あなたは一種類しか出来ないのか。
あるいは、作品によって変えるのか。
考えたことがないなら、考え、使い分けを意識してみるといい。
2017年03月19日
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