2017年03月19日

実在性、リアリティー、フィクション

たとえば、
そのストーリーに出てくる「財閥」の名前を、
考えてみたまえ。
勿論架空の財閥名でだ。


井上財閥、
深草財閥、
豪徳寺財閥、
ファルテンシュタット財閥、
ムシャラーフ財閥、
カネモッチ財閥、
などなど、
色々なリアリティーの層がありえる。

井上はありそうなリアリティー。
深草は京都の地名からとったけど、土地のリアリティーを更に含む。
豪徳寺はマンガっぽいリアリティー。
ファルテンシュタットは中二っぽいSF的リアリティー。
ムシャラーフは実在のアラブ姓から取ってきたのだが、
社会派にありそうなリアリティー。
カネモッチは、ギャグやナンセンスのリアリティー。


固有名詞ひとつ取っても、
実在性には色んな層がある。

あなたの目指すリアリティーは、
一体どのへんだろうか?

どの財閥が出てきてもおかしくないような、
世界を築いているだろうか?

人の気持ちのリアルな所に寄り添う、
なんて言ったとしても、
リアルすぎたら気持ち悪かったりするし、
ファンタジー過ぎたら嘘だし、
ほんとにあったことが、他人にリアルに感じるとは限らない。

母親のセックスを想像したら気持ち悪くなるように、
本当のリアルは、受け入れがたいものがとても多い。

財閥の例ならば、ロスチャイルド財閥を出したらリアルすぎる感じだ。


あなたは、リアリティーをどのへんの実在性にするか、
首尾一貫しなければならない。
場面場面でぶれてはいけない。
(ぶらして効果的な場合は、意図的に、首尾一貫してぶらさなければならない)

主人公の住所は?
主人公の好きな酒の銘柄は?
主人公の所属する組織の名前は?

どのへんのリアリティーで、
どのへんの実在性だろうか。

それは、テーマと関係してくる。


ギャグやナンセンスの実在性で、
えげつないリアリティーを描くのは、ブラックコメディによくある手法だ。

少女マンガのリアリティーは、
少女マンガの絵だから出来る実在性で、
実写になると寒くなる。実写はもっと情報量が多い。
実写でラノベをやっても、同じく寒いだろう。

社会派小説は、ドキュメンタリー映像と実在性が近い。
だからこの皮を被ったフェイクドキュメントという手法もある。

架空のドラゴンやら宇宙船やらの実在性は、
その存在があるものとして進めなければならない。

知ったら恐い雑学系は、リアルを徹底的に暴こうという露悪である。

リアルとフィクションの間の実在性に、
オカルトや都市伝説があるような気がしている。


エンターテイメントは、
架空の、フィクションの、分かりやすい実在性とばかりは限らない。
時に越境してくる感じが面白かったりする。

その実在性は、どの程度を狙うのか。
あなたは一種類しか出来ないのか。
あるいは、作品によって変えるのか。
考えたことがないなら、考え、使い分けを意識してみるといい。
posted by おおおかとしひこ at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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