>> 「話が展開する」というのは、どういうことをさすのでしょう?何をすれば話が展開したことになるのでしょう?
簡単なようでいて、いざ考え始めると、わけがわからなくなる質問です。
話の展開が遅いとか、
全然展開してないな、という感覚は確かにあるのに、
いざ自分の作品だと、
何をしていいかわからなくなることは、
とてもよくあることです。
だから、分らなくなってくるのです。
展開ってなんだ? 何をすれば展開したことになるのだ?
と。
僕は、複雑なことは考えないことにしました。
シンプルに、
スタートとゴールを並べて、
10分割することにしました。
全体の〇%の場所で、
ストーリーが△%進んでいたとして、
〇>△ならば、展開が遅い、
〇<△ならば、展開が速い、
という程度の感覚だと思うことにしています。
スタートとゴールが明確に定義されれば、
その解決までの道のりはおおよそ見当がつくものです。
最初は曖昧だったとしても、
いずれ道が見えてくるものです。
つまり、
一向に道が見えてこないもの、
どうやれば解決になるのかよく分らないもの、
ゴールが見えないものは、
「展開してるかどうかも分らない」ものだと言えます。
おそらくですが、
千ドルさんはこの状態にいると考えます。
だとしたら抜け出す方法は簡単で、
ゴールを明確にし、
その方法論が見え、かつゴールまでの道のりも見え、
それまでにやるべきことが明らかになること、
です。
これはネタバレではありません。
何故なら、
「見えていたとしても、
その目論見を崩す新たな出来事があり、
話は全く違うフェイズに入る」
なんて展開も可能だからです。
むしろ、ゴールや道のりが見えることは、
混沌の伏線、ぐらいに思っていた方がいいくらい。
あなたは運転手です。
隣にナビゲーターが座っているとします。
カーナビはないとします。
助手席の彼女が、
目的地を言わず、そこまでのルートも言わず、
いまどこかも言わず、
ずっと黙っていることを想像してみて下さい。
あなたはイライラするでしょう。
「いま、どのへん?」と。
観客を、そういう気持ちにさせるべきではないのです。
5分に一回なのか、あるいは10分に一回なのか、
あるいは15分に一回なのか、
それはストーリー次第でしょうが、
「今ここ」を明示すればよいでしょう。
それは、ストーリー全体のマイルストーン
(今何合目)になり、
「ああ、今このへんか。随分来たなあ(まだまだあるぞ)」
なんて気持ちで、道に向き合えるでしょう。
状況が二転三転したり、
カップルが付き合ったり別れたりするのは、
展開ではありません。
それらが展開になるのは、
「ゴールへと近づいた感覚がある時」だけです。
たとえば結婚がゴールなら、
カップルが付き合うことが展開になるのは、
展開の進展だし、
別れるのは後退です。
後退も展開のひとつです。
一進一退の展開の一部でしょう。
しかしゴールが宇宙人退治だとすれば、
カップルの付き合う別れるは、なんの展開でもありません。
(一見関係ない出来事がなんらかの伏線になっている可能性はありますが、
少なくとも関係ない出来事が起こっている途中は退屈なのです)
ひとつのストーリーに、ゴールがいくつか設定されている場合もあります。
メインゴール、サブゴールです。
ある出来事がメインの進展に関係なくても、
サブの進展になることは、よくあることでしょう。
それがメインの展開に効いて来て……というのは、
もっともよくある展開のセオリーのひとつでしょう。
あと、展開があまりにもないとき、
それは「設定されたゴールが、一発で解決してしまうほど簡単なので、
展開させたら即終わりなので、展開できなくてもやもやしている」
ということも考えられます。
それは、ゴールとその道のりが単純すぎるのです。
(告白してしまえば付き合えるのに、という状況をつくっておいて、
なかなかそのチャンスが来ない、なんて高度なテクもありますが)
あるいは、ゴールまでの道のりがあまりにも難しすぎて、
道のりが予想できないときも、展開とは何かが、
分らなくなりますね。
(例:モテナイ男が恋をした)
難しいのは、
その尺におさまるぎりぎりの、
「問題と解決と、何ステップかのその道のり」を考えつくこと、
かもしれません。
でもこれは、全ての作家が悩んでいることであり、
必ず作者が一人で解決しなければならない問題のひとつです。
その訓練にテヅカチャートはとても役に立つので、
ググるか、このブログ内の記事を検索してみてください。
2017年03月26日
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>>簡単なようでいて、いざ考え始めると、わけがわからなくなる質問です。
話の展開が遅いとか、全然展開してないな、という感覚は確かにあるのに、いざ自分の作品だと、何をしていいかわからなくなることは、とてもよくあることです。
そうです。そうなんです。
目的に関連していればなんでもできてしまうので、何をしていいのか分からなくなります。
また、自分が書いているプロットや展開に対して「これって面白いのか?面白くないぞ・・・」という疑問が浮かんできて、途中で投げ出したくなります。
「まだプロットやあらすじを見る目ができていないのだろうなぁ・・・」と思い、名作映画を観てそのプロットやあらすじを書き出すことをやっているのですが、上手くなっているぜんぜん気がしなくてとても苦しいのです・・・
私の漠然とした質問にご解答いただきどうもありがとうございました。本記事の内容を指針にして、がんばってみようと思います。
こつこつやればいいと思いますよ。
実は「面白い展開」というのは、ストーリーづくりの一番難しいところではないか、
と、僕は考えていて、ベストの方法論を知っているわけでもないのです。
なので、うんうん唸って考えるしかないのでは、
と思っています。
また質問させていただくときがあると思います。そのときはどうぞよろしくお願いいたします。
それでは失礼いたします。