前記事の続き。
つまり手書きは本名を名乗ることで、
キーボードは匿名であり続けることだ。
こう考えると、
創作がうまくいかないのは、
匿名でやっていて、本名でやっていないからだ、
などという言い方が出来るかも知れない。
妄想は思い込みである。
それは、一人のなかで完結することで、
他人に見せるものではない。
それは、他人の妄想というのはたいてい気持ち悪いからだ。
現実を歪めて捉えていて、
都合が良すぎて、
怠惰で、無謀で、規制がない。
自分にとってはだから楽しいのだが、
他人にとってはそうではない。
つまり、
簡単に言うと、
自分の妄想は快で、
他人の妄想は不快である。
一人で書いているときは、
自分の妄想だということだ。
他人から見た妄想などとは考えない。
他人の迷惑や不快など考えていたら、
楽しい妄想は爆発させられないからである。
しかし、一旦完成すれば、
それは自分一人のものではなく、
他人に見られるものである。
(未発表で、自分でニヤニヤする用はまた別だ)
このとき、視点は180度変わらなければならない。
自分の妄想から、
他人の妄想を見させられる側に。
逆に、他人の目線ばかり気にしていたら、
何も面白い妄想など出来ない。
他人の目線を気にしすぎて、テレビは全く詰まらなくなった。
妄想は、他人がいないから面白いという側面がある。
両親が眉をひそめるものこそ、面白いのである。
この、妄想と他人の目線を自由に行き来できないと、
創作というのは出来ない。
その両立というバランスを取らなければならないからである。
自分一人で妄想するということは、
ネットにおける匿名であることと、
大体同じである。
匿名だから無茶が言えるし、出来るわけだ。
もし2ちゃんが本名性だったら、
全く違ったものになっていただろう。
(アマ無線もニフティサーブも、
コードネームだったよなたしか。
つまり日本の通信コミュニティは、
匿名、PNで成り立っていた。
現実と違う自分を演じられるから、
面白くて広まったわけだ)
匿名であることは、妄想である。
真実とか、整合性とか、一貫性とか、
そういうことはどうでもいい。
嘘とか、誤認とか、デマとか、
矛盾とか、手のひら返しとか、落ちなしとか、
あってもいいのである。
一方、本名でやるからには、
ちゃんとしなければならない。
僕は本名でここを書いているから、
本気でやっている。
決してうんこちんちんと言ってその場をごまかしたりしない。
(匿名ならするのかよ)
つまりその差だ。
無責任と責任と言ってもいい。
匿名は無責任だ。
だから自由だ。
それはいい意味での自由もあるし、
無法という悪い意味での自由もある。
本名は責任だ。
だから一定の秩序を作らなければならない。
自分で自分を律することで、
首尾一貫して、論理的整合性を保ち、
実になることを言わなければ意味がない。
それは少なくとも、世の中を良くする方向でなければならず、
悪い方向へ導くものであってはならない。
あなたの創作がうまくいかないのは、
匿名なら自由に出来るのではないか、
と、本名から逃避しているせいではないのか?
本名なら責任を取るべき発言なのに、
匿名だからといって無法図にやっているせいではないのか?
無責任に書き始める、
つまり、書きたいように書きはじめているから、
途中で書けなくなって辛くなってやめたり、
落ちまで来たってたいして意味のなかったものになってしまったり、
するのではないだろうか?
書き「たい」から書いているのは、無責任である。
書く「べき」だから書くと、それは責任を取れる。
「このシーンは書きたいから書いているのではなく、
全体にとって必要なシーンだから書いている、
だけど誰かに書かされているようでは詰まらないシーンになるから、
書くべきシーンを、まるで最初から死ぬほど書きたかったように書く」
が出来ないから、
ただの妄想と無責任で終わってしまうのではないか?
本名でやろう。
匿名を捨てよう。
本名でやるのは怖い。
だから、創作って怖いんだよ。
決して白昼夢のような妄想とは違って、
苦しくて命を削る行為なんだ。
でもうまく行ったときの喜びは、
一人の妄想の、百万倍以上だ。
以前、二次創作は一次創作の敵だ、
という極論をした。
二次創作は同好の士の共有妄想で、
内輪でやっているぶんには構わない。
匿名の創作性だからだ。
しかしそれは、本名による一次創作とは、
全く違うものだ。
だから、一次創作をする者は、
二次創作してる暇なんかないんだよ。
あなたは、匿名か?
それとも本名か?
覚悟がないなら、匿名で遊んでいなさい。
(ちなみに脚本添削スペシャルは、匿名OKです。
本来なら面と向かってやるべきことを、
ネットで公開でやるからです。
本名をさらすリスクは取らなくてよいでしょう)
2017年04月07日
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