2017年04月20日

キャラクターは、何から作るか

名前か。性別か。
見た目か。年齢か。職業か。性格か。役割か。

そんなことをやってるから、
いつまで経ってもストーリーが書けないのだ。
キャラクターを作るときにまず最初にすることは、
目的を作ることである。


名前なんてあとで決めればいい。
AでもBでもCでもXでもいい。どうせ記号だ。
その人の目的で、その人は他の人と異なるのだ。

性別や年齢もあとで決めなさい。
ストーリーの役割が決まれば、
自ずと決まってくる。
逆目に振るのもよくあることだ。
(たとえば、「ヒロインが…男の娘?」とかね)

外見なんて最後で構わない。
それはむしろ演出の領域で、
ストーリーの領域ではない。
これだって逆目に振ることもあるぐらいだ。
(例:「東京上空いらっしゃいませ」の死神役を、
釣瓶が上下白のスーツで演じたなど)

ストーリーにとって、キャラクターとは、
目的でアイデンティファイされるのだ。


ところで、キャラクターの目的は、
設定だろうか、
キャラクターに属することだろうか、
プロットだろうか。

人によって感覚が違うことから、
これは全てに渡ることではないかと僕は考えている。
こういう目的を持つ人のストーリー、
という初期設定でもあるし、
このキャラクターの設定に属することでもあるし、
その目的があるからこそこういう行動をとる、
と、プロットの主原因になることでもある。

そのなかでもどれかひとつに絞るのなら、
僕はプロットに属すると考えている。


ストーリーとは行動とその結果、
それに対する反応や行動、そしてその結果…という、
一連の連鎖で記述される。
行動と結果が、ストーリーの記述言語であるといっても過言ではない。

その行動は、何が原因かを考えれば、
その人がとある目的があるからだ。

動機なき所に行動はない。
現実にはありうるが、
ストーリーとは全てを説明のつく因果関係で強く結びつけたもののことであるから、
「ストーリーの中の行動」には、
全て理由がある。
その根本は、その人の目的に根差している。

逆に言えば、目的のないキャラクターは、
削っても被害がない。
「ただ騒ぎたいだけ」「ただの賑やかし」は、
ストーリーには必要ない。(ガワには必要だ)
目的がきっちり決まっている人たちだけで、
ストーリーは記述される。
ストーリーを記述するためには、
目的のある人に登場人物を絞るとよい。


目的さえあれば、
その人が、
どのような名前であれ、どのような年齢や製であれ、
どのような社会的立場や属性であれ、
どのような外見や特殊能力があれ、
同じ行動に出るはずだ。

その具体はそのキャラクターの設定によって異なるだろうが、
大きくは同じ動詞で記述される。
恋をしてその女の人と付き合いたいなら、
デートに誘おうが、プレゼントをあげようが、
毎日声をかけようが、仲良くなろうが、
カッコイイ服を買おうが、特殊魔法で呪いにかけようが、
同じ動詞「口説こうとする」で記述される。

つまり、行動自体は豊かではなく、
その具体が豊かな成分を持っている。
プロットとは、その豊かな成分をそぎおとした、
骨の部分からストーリーを組み立てることに他ならない。
(だからプロットだけ見て、豊かじゃないと感想を述べることは、
プロットが何かを知らない無知だ。
プロットの感想は、矛盾があるか、矛盾がないかしか、
感想があるべきではない。
しかし世の中には無知が多いので、
プロットは粗筋程度に豊かに書くべきである)


ということで、
目的のない所にプロットなどない。
火のない所に煙は立たない。

目的、行動、その結果、
次にすること、…最終結果(最終的にその目的は果たされたのか)
が、そのキャラクターにとってのプロットで、
全キャラクターに関して、
最初から最後まで通したものが、全プロットである。
それらは順接の因果関係で結ばれ、
論理的に整合性をもっているはずだ。

あとは、キャラクターが肉付けをするのである。
性格や立場や職業や特殊能力によって、
有利にもなったりピンチになったり、
危機を切り抜けたり誰かを助けたり、
誰かに助けられたり、恩返しをしたりするだろう。

ストーリーといっても、骨格と肉付けは別のところからするものだ。
骨は変わらないが肉は変わることもある。
骨が変わればそれに合わせて肉は変形させる必要がある。
肉を残して骨を変えても齟齬があるだけだ。

そしてその骨は、目的から始まる一連の行動なのだ。



キャラクターを作ろう。
最初に作るのは目的だ。

つまり初めに目的ありき。
ストーリーもキャラクターも、本当にはまだ生まれていない。
目的が生まれて、
ストーリーもキャラクターもそのあとに生まれる。
posted by おおおかとしひこ at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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