2017年04月21日

事件から物語をつくること

はじめに目的ありきだと、
なかなかすぐにストーリーをつくれない。
ついつい人生の目的、みたいな、
解決の難しいものにしてしまいがちだからだ。

こういう時は事件から考えるのがセオリーというものだ。


事件、というからには、
ふつうのものではないのがいい。

ベタなのは殺人事件や汚職事件といったところか。
週刊誌やニュース、ゴシップネタなども含まれるだろう。
不倫や、誰と誰がつきあってるとか、宗教絡みとか、
〇〇は何かを隠していて、その真相が明るみに出た、
なんてのもパターンだよね。
(こういうパターンを研究し、
沢山持っておくのはいいことだ)

社会的事件でなくても、
身近の誰かが会社を辞めたとか、逮捕されたとか、
死んだとか、離婚したとか、つきあってる、とか、
色々なものが事件の候補になるだろう。


事件というのは、
センセーショナルさが必要だ。
普段つまらない日常を送っている我々が、
飛びつくようなものが理想だ。
だから、映画で起こる事件は、とびきりのものが理想だ。

難攻不落の密室殺人、
ものすごい凶悪事件、
世界が引っくりかえるようなスキャンダル、
宇宙からの侵略者、
人工知能が人類に対して戦争をしかけた、
などなどである。

スケール感の大きい事件ほど、
センセーショナルで面白い、というものである。

勿論、そんなデカい事件ばっかりだとおなかいっぱいになるので、
身の回りであったちょっと変な出来事や、
世界の見方が少し変わるような事件を扱うのも、
また映画にはよくあることだ。

さらにいえば、
最初は日常に違和感がある程度の小さな事件であったのが、
調べれば調べるほど、
おそるべき陰謀の中に巻きこまれていく、
なんてのも、よくあるし、人気である。
(うまいこと出来ればね)


あなたのストーリーは、
どんな事件が最初に起こるのか?
そういうことから発想するのが、
実のところ一番ポピュラーかもしれない。
それを一番解決したい人を主人公にすれば、
もう目的を創作したようなものである。

たとえば事件が殺人ならば、
その事件担当の刑事か、被害者の家族、
というのが定番だろう。
それは、それらの人がとりわけ事件解決
(犯人の逮捕)に、モチベーションが高いからである。
「まあ解決してもしなくてもいいや」なんて人は、
主人公にむいてない。焦点が弱くなるからである。

だから、
事件とそれにまつわる関係者の中で、
一番解決に動機の強い人を主人公にする、
というのはよくあるTIPSなわけだ。

逆に、最も動機が強くなるような、
事件を創作していく、という手がある。

今まで聞いたことのなかで、
一番許せないことは何か、
それをヒントにしていく。
その渦中の人物を主人公にできるか、
その最も動機の強い人が解決するストーリーというのはどのようなものか、
解決されるべき事件は、どのようにセンセーショナルに創作できるか、
なんてあたりが詰められれば、
もう一本できかけみたいなものだ。


それがなぜ、他人の興味を引くのだろう。
自分と関係ない事件に、わざわざ人は興味を示さない。
示すのは、自分にも思い当たる節があるときだけだ。
自分と関係ないのに、自分にも思い当たる節があるときだけ、
人は安心して興味を覚える。

たとえば、今オリンピック関連の仕事に携わる人ならば、
ヘンテコで理不尽なことが横行しているだろう。
しかし表だってそれを言えないだろう。
そういう人が、たとえば芸能事務所とテレビ局の癒着のニュースを、
面白がって叩くのではないだろうか。
絶対安全領域から、人は娯楽を楽しみたい、
自分に火の粉がふりかかるのは勘弁してほしい。
人はそのようなものである。

だから、
架空世界のフィクションが大事なのだ。

安心して冒険できる架空の世界、
しかし、我々の何かを表象している世界と、事件。

そういう関係をもつ、事件が創作できたら、
そこから物語が生まれる可能性がある。
posted by おおおかとしひこ at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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