2017年05月08日

脚本添削スペシャル2017:5 開幕の技術

オープニングから話が本格的に立ち上がる一幕は、
ほんとうに技術がいるところです。
「フェイス・トゥ・フェイス」は、
その技術が、まったく足りていない作品です。



テーマは今日的で、オリジナリティーがある部分が少しあります。
作者は漫画かラノベが好きなのでしょう。
そういう人間や世界の描き方で、
ふだん実写でやっている僕には、
まったくリアリティーのない感じでした。
こういうところで損をしている気がします。
ひょっとしたらアニメ映画の脚本として書かれた可能性もありますが、
一応実写と想定して赤をいれてみました。

開幕は、いろいろなことをやってのければいけません。

この作品は、いろいろな事が下手すぎて、
枚数だけ使ってしまい、
いつまでたってもセットアップできず、
気づいたら半分来てしまい、
そろそろ話をたたまなくては、と慌てて気づいて、
急速に話をたたんでしまった印象があります。
原因は、一幕です。
沢山赤を入れたので熟読してください。

face_to_face_赤ペン.pdf



ちなみに、こういう一幕に書き換えることが可能です。

フェイストゥフェイス一幕.pdf

わずか2分で旅に出ることに成功しました。
もちろん、夜に父や母と大喧嘩するシーンを足すことも可能です。
そのときに、
マリーの個人的思いやトラウマなどに関することを前ふることも可能です。

まあそれにしても3分以内に旅に出られたわけです。
4分以内に、顔なし騎士と出会えるはずです。


つまり、この作品は構成が練られていないのですな。



第一ターニングポイントを、
「マリーが旅に出る」または「顔なし騎士と出会う」
にするとしたら、そこはせめて1/3までに終わらせておくべきでしょう。

そうでないと、
本来たっぷり時間をかけるべき本編、
「顔とは関係ない、心の交流とは、どういうことか
(冗談を言って笑うだけでは、足りないはずだ)」
が失われてしまうからです。

むしろ、旅に出たところがオープニングで、
その理由は回想で語ったってかまわない。
時間順に語る理由はどこにもない。
話が面白い順番に組み立てるべきです。


自分が書いている話はいったい何なのか、
その本質にどうしてもいるところは何か、
それをたっぷり描き、
それ以外は最悪なくてもいいくらいにしておくべきです。
そのためには、自分が書いている話はいったい何なのか、
という問いに、自分がはっきり答えられなくてはなりません。
これは、書く前のプロット段階で詰めておくべきことです。

なんとなく村祭りの面白い絵からはじめて、
雰囲気の好きな騎士の決闘が絵になり……なんてなことは、
どうでもいいのです。
いい絵からひきつけるのではなく、
話がはじまっているにも関わらず、
いい絵でひきつけられるのがベストです。

そのためには、
絵の中に話をちょいちょい混ぜていくのではなく、
話を別のいい絵に変換してはじめられないか、
と考える訓練が必要でしょう。

その中で、あとあと使うことの伏線もはっておく。
たとえば、父の主張や赤騎士の考え方は、
マリーと正反対であることを描かなくてはだめでしょう。
だからマリーが旅にでる原動力となり、
のちのちその主張と反対の結論にたどりつくわけです。
(アンチテーゼ)

これが、
技術というものです。

ただ思うものを書いても、脚本にはならないのです。
posted by おおおかとしひこ at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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