ついでに。
「フェイス・トゥ・フェイス」のオープニングは、
こうも書けます。
ドイツの森。中世。
狼に襲われそうになっている旅のレディー。
そこへ奇妙な騎士が現れ、
彼女を助ける。
お礼を言おうと思うと…彼の顔がない!
呪いの話を一通りする騎士。
ところで、
お供も連れずレディーが一人旅は危険すぎますと水を向け、
彼女が嫌な婚約者から逃げてきたことを語らせる。
彼女の理想を尋ねる騎士。
理想の顔をのっぺらぼうに書いてみる。
しかし、どんなのか分からない。
私は騎士のつとめを果たすと呪いが解けるそうです、
あなたの旅をお守りしましょうと。
ここまでを5分以内で書けると思います。
じゃあとは10分たっぷり、
彼と彼女の珍道中を創作できます。
婚約者(赤騎士でも別のキャラにしてもよい)
に追いつかれるところが第二ターニングポイントですかね。
村祭りも決闘も必要なく、
面白げな顔なし騎士との出会いのアクションから始められました。
「事情を知らない人に、実はこうなのですと説明する」
のは、説明台詞を説明台詞ぽくみせない常套です。
その人に説明するふりをして、観客に説明しているわけですな。
村祭りや決闘の絵は、魅力的ゆえに、
その絵をどうしてもやりたくなってしまいます。
しかしそれは果たしてストーリーに必要か?
という問いをするべきです。
他のはじめかたはあるのか?
そもそもこのストーリーは何なのか?
なんのストーリーの、何を前提にする為のオープニングなのか?
という問いをしても構いません。
そうすると、
村祭りも決闘も、
「顔なし騎士の呪い解きの旅×レディーの理想の顔探しの旅」
には不要であることが、
自ずと理解されることと思います。
絵は強力な吸引力があります。
自分が自分の絵に囚われてしまう。
ストーリーのために絵があるのであり、
絵のためにストーリーがあるのではない。
後者をやりたいのなら、絵描きになった方がいいでしょう。
極端に言うと、
キャラクターも絵も設定も世界観もギミックも、
ストーリーの道具でしかありません。
そしてそのストーリーを始めるために何が必要かは、
そのストーリーが何であるのか、ちゃんと分かってないと準備できません。
だから技術がいるのだと思います。
ちなみに古い映画ですが、
「アフリカの女王」という傑作があります。
ひょんなことから旅することになった男女が、
喧嘩しながらも最後は結ばれることになる、
という基本的なストーリーを、
川下りする船、という密室でやり通した作品です。
未見なら参考に。
少なくともこれを越えることを目指すべきです。
2017年05月09日
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