2017年05月13日

ストーリーシェイパー

後輩の短編映画を手伝っている。
主に脚本の段階と、編集の段階で。

折角なのでエンドロールに乗せたいと言われ、役職を考えた。
スクリプトドクターだと編集は関係なくなるし、
エディター連名だと脚本のことが関係なくなる。
ストーリースーパーバイザーだと、
相談役みたいで詰まらない。
ピクサーみたいな、ストーリーディビジョンの長みたいなのがいい。
しかし複数のストーリーデベロッパーを抱えてるわけでもない。

ということで僕の提案した役職は、
ストーリーシェイパーという、
新しい役職名だった。



あるストーリーがある。
微妙な出来だ。

それをリライトするのは、
ストーリーシェイパーの役目かも知れない。

スクリプトドクターは、診断するだけで治療はしない。
カルテを作るまでで、リライトは本人にやらせる。
だから、診断が的確でも、
余計酷いものになるときもある。
(結局書いちゃうドクターもいるだろう。
それはもはやライターだ)

ある映画を撮影する。
シナリオではイケテると思ったのだが、
繋いでみたら微妙だ。
それを修正するのもストーリーシェイパーだ。


ストーリーシェイパーは、
魔法を使うわけではない。

要するに、リライトをするだけだ。


大まかなやり方は簡単だ。

ログラインを的確に書く。
テーマを抽出する。
サブプロットに分解し、
サブプロット同士のテーマの関係と、
メインテーマとの関係を見る。
必要とあらば、書き直す。
ストーリー構造を、的確な内蔵の配置にするわけである。

構成(タイムスケジュール)を見る。
半分法(脚本添削スペシャル2017を参考)を使い、
ストーリーの半分はどこか、
三幕構成の切れ目はどこかを考え、
そのタイムを見て、
理想のタイムスケジュールになるように、
ストーリーを削ったり足したりする。

この感覚を表現したくて、
シェイパーという、新しい役職名を作ったわけだ。

でも新しいことは何もなくて、
いつもやってることをやってるだけ。

でもなかなか、
出来る人は少ないと思う。



よく考えてみたら、
脚本添削とは、ストーリーシェイパーの仕事なのだ。
「添削」を英訳すると、correctionになるらしいが、
削ったり足したりして、より良い理想にしていく、
という日本語のニュアンスが落とされて、
間違ったところをチェックする、
という程度のニュアンスになってしまう。
エラーコレクターがシェイパーの仕事ではない。
なんなら、再構成からやるし、
そもそもストーリーにエラーも正解もない。

リストラクターだと、首にする人の意味が日本では出てくるので、
僕のやっていることは、
ストーリーシェイピングだ、
と言うことにした次第。


現状を正しくとらえること。
より良くする、理想型を思い浮かべること。
その差分を、シェイピングしていくだけのことだ。

ブラッシュアップとか改訂のレベルでない、
真のリライトとは、そういうことではないかと思う。
posted by おおおかとしひこ at 15:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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