2017年05月14日

何故企画コンテと演出コンテの二種類があるのか?

なにやら過去に書いた演出コンテの記事がリンクされ、
幾名かが流入してきたようだ。

元ツィートにリンクされていた、
「企画コンテと演出コンテの違い」
http://www.churun.com/column/theme01/column10.html
がぬるかったので、解説を加えておく。

何故、企画コンテと演出コンテの二段階があるのか?
ということに、これは答えていないからだ。


理由はひとつにすぎない。

代理店クリエイターは、アイデアを考えるのが仕事で、
監督はフィニッシュを作るのが仕事だからである。


実際のところ、企画コンテはコンテでなくてもいいと僕は考えている。
脚本形式でもいいし、シチュエーションとコピーだけでもいいと思う。

クライアントが映像に関して素人で、
想像力がなく、あとあと「イメージと違った」と、
クビになると大ダメージだから、
コンテの形でプレゼンされるだけなのだ。

クライアントの方々よ、
代理店がコンテやビデオコンテ(映像ビデオ)で
持ってきたら、
あなたたちは想像力が欠けていると、
暗に言われていると思いなさい。

本当に欠けていて、
想像出来ないのだとしたら、
企画コンテでもビデオコンテでも、最終形とは異なるので、
見なくてもいいことになる。

つまり、あまり意味がないんだよ。企画コンテ。


もっと、コアのアイデア、
商品をおもしろくよく素敵に見える、
ストーリーやタグラインについて、
企画会議は行われるべきだ。

しかし、それには絶対的に才能が必要なのだ。

クライアントの方々よ。
才能があるならば、
企画コンテでなく、コンセプト一行に絞る会議に参加せよ。
才能もなく、想像力もないのなら、
余計な段取りで業界が疲弊して、
フィニッシュの精度が落ちている現実を、
知った方がいい。
自殺する人だって出るんだぜ。



ちなみに、
企画コンテと演出コンテが違う、
さらに現実的な理由がみっつある。

1. 企画コンテは柔軟に作り直せるが、演出コンテは作り直せない。

演出コンテは、秒割りやカットバックやイマジナリラインや、
テンポの拍を決めて書く。0.5秒もずらせない。
企画コンテは逆に、お伺いに近い。
こういうことを考えてきたのですが、どう思われますかという。
直せない演出コンテを、いきなり持っていくのは不合理だ。

2. 企画コンテは、アイデアのバラエティーを出すためにある。

演出コンテは厳密な計算に基づく。
しかし企画コンテはアイデアが勝負だ。
お伺いを立てるという立場上、
柔軟なバラエティーが必要である。
つまり、数を出すために企画コンテはある。
(最右翼から最左翼まで全部揃える人と、
真ん中とバリエーションしか持ってかない人もいる。
要するにそれは、企画への自信と、
クライアントの決済への対応との天秤でしかない)

3. 代理店クリエイターよりも、監督のほうが才能があるときもある

売れっ子一流監督は、クリエイターより才能がある。
代理店クリエイターは、フィニッシュをジャンプアップさせるために、
自分より才能がある監督に頼むことが多い。
だったらクライアントがその監督に直接頼む手もあるんだけど、
監督のコンテは前に言ったように専門的に過ぎるので、
理解できない人が見ても真価は分かりにくい。
代理店はつまり、才能と素人の架け橋の役割になる。
その中間言語が企画コンテというわけだ。


僕は、企画コンテなんていらないと思っている。
才能があるクライアントが、
クリエイターや監督と組んでちゃんとやればいいだけのこと。

しかし才能の世界は、
つまらない人間は否定される世界である。
クライアントを詰まらないと否定すると、
仕事を失うから、
そういうことをやらないだけだ。

これまではこのようなことはなるべく波風を立てないように、
暗黙の了解として行われてきた。
しかしCM業界が疲弊し、
この暗黙の了解がどんどん忘れられている。
代理店営業は、しらない人のほうが多いかも知れないと、
昨今感じる。

ということで、書いてみた次第だ。
21世紀は、昭和のように隠してる時代ではないと僕は思う。
posted by おおおかとしひこ at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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