芝居には、正しいアドリブと間違ったアドリブがある。
これまでの議論から明らかだ。
正しいアドリブとは、
脚本上のアクションとリアクション(理由のある行動)を、
芝居上のアクションとリアクション(その場の空気を作るための肉体言語)
に置き換える上で、
必要とあらば何かを足したり引いたりすること、
である。
台本には拳を震わせると書いてあったとしても、
それがその場の空気を作るのに相応しくないと判断したら、
叫んだり物を壊したりしてもよい。
あるいは、それを無しにすることで空気を作れるなら、
削るという手もある。
台詞を増やしたり削ってもいい。
それが正しいアドリブだ。
間違ったアドリブとは、
美味しい目に会いたい、目立ちたいという理由で、
台詞を足したり削ったり、
奇行を加えることをいう。
つまり、行動による理由を示す脚本に対して、
間違った空気をつくり、
理由を誤読させてしまうことをするのが、
間違っているわけだ。
もちろん、
ここで誤読させておく、という計算が役者にあるのなら、
その狙いを監督と共有しておくと、
それがとても効果的なこともある。
つまり、
「行動による理由を示す」を、
どう具体的にやるかが、
計算通りになれば、あるいは計算以上に魅力的になれば、
それは正しいアドリブで、
間違ったアドリブは、それを減ずるものをいう。
つまり、
アドリブの可否は、
脚本次第である。
2017年05月18日
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