2017年05月18日

アクションとリアクション3

芝居には、正しいアドリブと間違ったアドリブがある。


これまでの議論から明らかだ。

正しいアドリブとは、
脚本上のアクションとリアクション(理由のある行動)を、
芝居上のアクションとリアクション(その場の空気を作るための肉体言語)
に置き換える上で、
必要とあらば何かを足したり引いたりすること、
である。

台本には拳を震わせると書いてあったとしても、
それがその場の空気を作るのに相応しくないと判断したら、
叫んだり物を壊したりしてもよい。
あるいは、それを無しにすることで空気を作れるなら、
削るという手もある。
台詞を増やしたり削ってもいい。

それが正しいアドリブだ。


間違ったアドリブとは、
美味しい目に会いたい、目立ちたいという理由で、
台詞を足したり削ったり、
奇行を加えることをいう。
つまり、行動による理由を示す脚本に対して、
間違った空気をつくり、
理由を誤読させてしまうことをするのが、
間違っているわけだ。

もちろん、
ここで誤読させておく、という計算が役者にあるのなら、
その狙いを監督と共有しておくと、
それがとても効果的なこともある。

つまり、
「行動による理由を示す」を、
どう具体的にやるかが、
計算通りになれば、あるいは計算以上に魅力的になれば、
それは正しいアドリブで、
間違ったアドリブは、それを減ずるものをいう。

つまり、
アドリブの可否は、
脚本次第である。
posted by おおおかとしひこ at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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