2017年05月23日

人はモノを買うのか、ストーリーを買うのか

最近はどうか知らないが、
僕はモノを買うのは、デザインや機能性だけで買うのではないと考えている。

僕はモノを買うのは、それにまつわるストーリーを買うようなものだと考えている。

以下、ジャミラにまつわる話。
ジャミラのネタバレが嫌な人はここでおしまい。
ていうかジャミラの話ぐらいみとけ。


僕はソフビを集めないと決めている。
あまりにも大好きなので、無限に買ってしまいそうだからだ。
その誓いを唯一破って持っているのが、
ジャミラだったりする。
ウルトラマンの怪獣の中でも一番好きだと思う。
スカイドンよりシーボーズよりバルタンよりレッドキングより、
ぺスターよりピグモンよりカネゴンよりケムールより、
メトロンよりメフィラスよりキングジョーより。

デザインがいいのもある。
当時の小学生は必ずジャンパーをかぶりジャミラの物真似をやり、
ウルトラ水流に倒されていた。
真似しやすいデザインは重要だ。
それはイコンになる。

しかし、ジャミラがイコンになるのは、
デザインだけではない。
そのストーリーにおいてだ。

ロシア人宇宙飛行士ジャミラ。
ジャミラの正体は人間だ。
宇宙開発の事故の犠牲者で、
乾燥した星に不時着し、怪獣化してしまった人間だ。
それが故郷の星に帰ったら、
怪獣として退治されてしまう悲劇を描いたのがジャミラだ。

人は理解しないものを排除する。
それは70年代のポピュラーなテーマだった。
それは現代も変わっていない。
ネットでいじめたり炎上させたりするだけで、
「理解しないものを排除する」のは、
乾いた星であんなに欲しかった水をかけられて死んでいく、
ジャミラと同じ悲劇だ。


僕はジャミラを見たから、
違う人を排除することだけはしないと生きてきた。
ジャミラにウルトラ水流をかけることは、
同じ悲劇を生むのだと理解した。
100%出来たかどうか分からないが、
それでも努めた。ジャミラを見たからだ。

だから僕は、
ジャミラのストーリーが何故だか物凄く好きで、
ジャミラのソフビだけは持っている。

それは多分、自分もジャミラ扱いされたことがあるからだと思う。



ジャミラのソフビを買うときに、
その斬新で恐ろしく、しかし意外に可愛い顔の、
デザインを購入するわけではない。
数字にすれば1:9くらいで、
僕はジャミラのストーリーを買っている。
ストーリーは消えてしまうものだから、
消えてしまわない物体、すなわち偶像に託すのである。
僕は、それが怪獣や妖怪の本質であると考えている。
怪獣や妖怪や怪人は、
人の暗黒面や負の面の象徴であり、
それを退治する物語が、ヒーローものというジャンルだ。

大人になって、怪獣が好きなのではない。
大人になって、大人の心であるために、
負の面と付き合うために、
それを自覚し、退治するために、
僕はジャミラを時々見ている。




怪獣酒場では、
それは何の配慮もされていない。
ジャミラはビジュアル上似ている真実の口でしかなく、
水道の近くにジャミラがびびっているオブジェもなく、
トイレで一歩前に行かないとジャミラが溶けるという注意書もなく、
ウォッカのカクテルにジャミラの名がつくこともなく、
宇宙開発という米ソの悲劇を反省する何かもなかった。

グッズは偶像なのかと思いきや、
何の関連もないデザインを何かに貼り付けたものしかなかった。
(唯一良かったのは、
バルタン星人のハサミ型のトングだったが、
つるつるに滑って実用上使えなさそうのでやめた。
そもそもハサミで何かを挟んだこともないし、
そもそも移民しようとしてきた20億の民を、
ウルトラマンは武力で全滅させたのだが、
その事に関するグッズもない)



僕にとって怪獣は、ストーリーである。
想像の力は時に魔物を生むということを、
スカイドンで知るし、
退治された者の墓場があるということも、
シーボーズで知った。
四次元という言葉はブルトンで知り、
それは理系に進む原動力になった。


僕はお金を払うのは、
デザインもあるけど、
実用もあるけど、
ストーリーもある。

Macを使うのはそうだし、
親指シフトが気になっているのは、
wikiの親指シフトの全文を読んでしまったからだ。

人は、ストーリーと生きる。

僕のこのごく当たり前のことを否定した、
新橋怪獣酒場を僕は許さない。
posted by おおおかとしひこ at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック