2017年06月02日

思いついた文章は、大したことないかもしれない

ある日閃く。
書きたくなって仕方ないことを書いてみる。
しかしそれは、
書いてみると詰まらないことだったりする。


人は、もしかしたらその為に書くのかも知れない。
頭からあふれでそうなものを、
整理するために書くのかも知れない。
たとえば日記はそのようなもので、
誰に見せるためのものでもない。

ブレインストーミングという手法は、
とにかく頭のなかにあるものを全部出して、
頭のなかを空っぽにして、
新しく湧き出せるようにする為の手法である。


ところで。

大したことないかもしれないものは、
捨ててよい。
しかし捨てるのではなくて、
横に置いておくのがいい。
開かない日記のようなもので、
書いたけど見ないくらいのスタンスがいい。

その上で、
じゃあ価値のあることってなんだろう、
と、頭を整理し始めるといい。


僕は第一稿は膿のようなものだとよく言う。
思考をそのまま指がしゃべるように記録したら、
それは夢のように支離滅裂なのではないか、
とも書いた。

けれど、外に出すことを恐れてはならない。
外に出すことで、
何が価値があり、
何が大したことないかを、
確認出来るからである。

第一稿を読み返して、
俺にはこんなに実力がなかったのかと、
恥ずかしくなることは、
おそらく全員が通る道である。

欠点ばかりが目立って、辞めてしまいたくなるものだ。

それはとてもいいことだ。
欠点が見えているのなら、修正することが出来るからだ。

一番問題なのは、欠点が見えていないことだ。
恥ずかしく思うならば、希望はあるわけだ。


そのときに、
何が価値があることで、
何は大したことないと評価することの方が、
実は難しいのである。

リライトの原則は、
「いいところを残し、悪いところを直す」
だからである。

それがいいか悪いか、
分別出来ていないと、
何回書き直したって船は山に登るのだ。



まず、
自分が頭のなかに思っていることが、
一番素晴らしいとは限らない。
外に出してみると案外大したことないと、
分かることがある。
逆に、大したことないと判断していたことが、
物凄く大きな価値を持つこともある。

どちらにせよ、
あなたの頭のなかにあるだけでは、
それは判断しようがない。

とにかく外に出すこと。
断片的でも箇条書きでも、落ちのない文でもいい。
沢山書け。

そのジャンクから、
金鉱石の輝きを探し、
メッキを捨てる作業をするとよい。


慣れたら書かなくても出来るような気がするでしょ。
でも経験上、無理なんだよ。

それは先日書いた、
「心の深さは計測単位がない」ということと関係しているような気がする。
「童貞のエアセックスは、おっぱいまでの距離感がおかしい」
というのと同じで、
頭のなかで思うことは、
現実の空間関係と違う世界があると僕は考える。

だから突飛な発想は生まれ得るし、
だから閃いたと思っても大したことないのだと。



とにかく外に出してみること。
直すこと。
整理すること。
前のを引っ張ってくること。

これを何回も繰り返して、
最初の閃きを、
文章という道具できっちり組み立てる。
それが、文章を書くことだと僕は思う。


だからBSしたら永遠に消えてしまうデジタルでは、
僕は書かない。
消したやつが地層のように3D化されているエディタねえかな。
Z方向に履歴が残るやつ。
そんなんだったら使うかもしれない。
ミスタイプ修正との分別が難しいか。
(ワードの校正モードを使ってみたけど、
何がやりたいのか、どう活用すればいいのか分からなかった)


実は、
文章を書くということは、
それ自体が、
自分の思考を整理してまとめることであったりする。

幸せになる方法も、
自分の願望や目標を書き出せ、
なんてよく言うよね。
それは、自分の夢想を目の前に登場させて、
観察し、
現実的な形に整形していく、
方法論なんだよね。

重ねていうけど、
こういうことにデジタルは向いてない。
(勿論カタナ式もだ。カタナ式はデジタル入力を効率化してるだけだから)


あなたの頭のなかを、
全部取り出そう。
書かないことには何も始まらない。
大したことないかもしれないし、
金鉱石があるかもしれない。
金鉱石があったら、磨いていくといい。

基本は、この繰り返しでしかない。
なんて地道なんだ。
posted by おおおかとしひこ at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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