2017年06月24日

オリジナリティは自己模倣の積み重ねの結果

という仮説を立ててみる。


オリジナリティはどこから生まれるのだろう。
最初からいきなり個性的で、
神のごときオリジナリティを発揮する人はいないだろう。
いたとしても一作目で終わりである。

二作目から、人は自己模倣との闘いをしなければならない。

同じ作風がいいのか、
作風を変えたほうがいいのか、
この作風のどこが良かったのか、
どこが良くなかったのかを、
考えなければならない。

一回成功したことは、わりと人はいつまででもやるから、
受ける限りやり続けてもいいし、
別の作風を模索してもいい。

たとえば僕はクレラップでヒットを飛ばしたとき、
レトロポップ的な作風でやってみた。
あれは単純に「子供がかわいい」なんて評価されたけど、
素の子供と素のセットであんな世界を作れたとは思えない。
ビジュアルは60年代ポップ、
歌は70年代を意識した、ロボコンとかケンチャコみたいな世界、
やってるコントは僕らの子供の頃にしたようなこと。
勿論現代アレンジは加えていて、
そのアレンジ感覚が面白かったんだけど、
それがいわゆる作風だったと思うのだ。
(2013年のHD化して一発目までしかやっていない。
それ以後は異なる作風になっていることがわかるだろう)

あるいは風魔のときは、
スケバン刑事が頭のなかにあった。
予算感、同時代性、学園抗争ということを考えても、
映像化されたものの見本はスケバン刑事だろうなと。
勿論大映テレビの一連でもいい。
だから24コマ撮影したし、
フィルムルックで頑張った。
人と人の距離感は、昭和的であるべきだなと考えていた。
勿論、その現代的なアレンジとの落差も面白いだろうなと。


僕が映画監督を目指したときに、
CM業界に入ったのは、
当時岩井俊二がCMから出てきたという、
可能性を感じていたのと、
秒単価が高くて、色々な作風を沢山実験出来ると考えたからである。
お陰さまで沢山成功して沢山失敗した。
CMスタッフは滅多に公表されないけど、
コマフォトのバックナンバーなどを見れば、
僕の名前は沢山出ている。

で。

そういう作風ってのは、
膨大な試行錯誤が必要だと思うのが、
今回の本題。


たかが数本で、作風なんてあるわけがない。
オリジナルで沢山試したことが、
それなりに貯まってきて、
はじめて作風になるんじゃないかな。


それは膨大な自己模倣との闘いだ。
どれを捨ててどれを残し、
どれを新しくするかみたいなことを、
時間をかけて延々やらないと出てこない。

新人としてデビュー出来るのは、
それがそれなりに貯まってきたときだと、
僕は思う。


そうでなければ、
「どこかで見たようなもの」に過ぎず、
オリジナルなものではないからね。


ところが、
最近は、「何かに似ていれば安心して売り出せる」
と言うやつらが巾を効かせてきた。
そんなこと言ってるから、
既存のもののリミックスばかりで、
既存のものの再利用ばかりで、
既存のものを越えることが出来ないのである。
それはクリエイトではなく、イミテイトに過ぎない。

愚かだとしか言いようがないCM業界の最近の習慣に、
Vコンテというやつがある。
過去や外国のいろんな映像、
映画やPVやCMなどから集めたものを再編集して、
一本のCMのようにしてクライアントにプレゼンするやり方だ。
それは、
リミックストラックしか作ってないミュージシャンと同じだぜ?
ゲットワイルド30本入りとか、永遠に作ってりゃいいのさ。

そんなところからオリジナルは生まれない。
無限に重ね塗りした油絵の、
一番厚いところがオリジナリティだと僕は思う。


要するに、
オリジナリティを磨くには、
膨大な試行錯誤と自己模倣と自己研鑽と自己批判が、
必要なのだ。

それを怖がっていたり、めんどくさがっていては、
オリジナリティへは到達しないのだ。

何かに似ていて売れたいなら、
物真似芸人になればいい。
もう物真似するものがなくなるまで。

そして今、映画業界もCM業界も、
物真似するものがなくなろうとしているんじゃない?

デジタルコピーの安易さにかまけていて、
一番泥臭い努力をしてなかったツケが、
回ってきてるんじゃない?



どうでもいい。
あなたは、自己模倣をしながら自分の刃を磨き、
同時に、常にこれ以外の方法はあるのかと、
実験し続けることだ。

地味な積み重ねのことを、
中国語で功夫といい、読みはカンフーだ。
中国武術そのものの名称でもあり、
その王道は一番辛いことを示している。
僕の好きな言葉である。
posted by おおおかとしひこ at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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