2017年06月27日

共感の敵

共感の敵は、共感しないことだ。
だから問題だ。
共感する人としない人を二つに一瞬で分ける。
これが争いの原因だ。




僕は、物語は共感でなく感情移入であるべきだと考えている。
感情移入と共感を分けて考える。

それはこれまでの議論に詳しいが、
ざっくり言えば、
「私と関係ないのに、それは私と同一視可能である」
に持っていくことが感情移入(プロセス)であり、
「私と似ているから、私と同一視可能である」
と最初から結果が出ていることが共感だ。

感情移入はつまり、プロセスと結果の両方である。
結果的には、共感と区別がつかなくなる。
「最初は共感できなかったのに、
いつの間にか共感していた」
が感情移入(プロセス)である。

共感が最終的には、好きとか熱狂をよぶ。


感情移入は技術的に難しい。
そのプロセスはなかなか力がいる。
だから、技術のない人は、あるいは分かっていない人は、
共感されることを並べる。

感情移入というプロセスをすっ飛ばして、
共感という結果だけを求める。

本来、
共感しない人(共感の敵)を、
共感(味方)に引きずり込むのが感情移入だ。
だから、感情移入の実力とは、
「アンチをどれだけ信者に変えたか」で測られる、
といってもよい。

「最初はなんだこれ、と思ったんだけど、
見ているうちにいつの間にか引きずり込まれて、
最後には泣いちゃいました」
という感想の一番多いものが、
脚本としての実力だと言えよう。
(自分の例でいえば、ドラマ風魔も、映画いけちゃんも、
ある程度それは達成できている。
残念ながらどちらも、やりたいことに十分な予算がなかったので、
最初のほうでビジュアルなどに難があることは認める。
しかし、それは途中から関係なくなって行く。
それが感情移入による効果である)


さて。

共感の敵は、共感しないこと。
これは、感情移入による、
「敵を味方に寝返らせる」という効果がない、
あまりにも原始的な敵味方分類だ。

「女は議論できない」と暴論してみよう。

女は共感する/しないで敵味方を分ける。
(女と仲良くなる方法は、「わかるー」と共感を共有すること)
一方、議論とは、共感と別の軸、
理性による感情を廃した説得である。
ということで、
「共感する/しない」だけで敵味方を判断すると、
理性による説得は、最初から敵ならば受け入れられないし、
最初から味方なら説得の必要がない。
つまり、女には議論は意味がない。

もっとも、女にも、
理性による感情のコントロールをできる人もいる。
だから全ての女が議論できないというのは暴論だ。

で、最近男も、
共感する/しないだけで、
敵味方を判断してないかね。

たとえば2ちゃんの、
信者vsアンチの議論を見ていると、
アンチは理性的に批判して議論しようとしているのに対して、
信者は「これに共感しないお前は敵」と、
議論をシャットアウトしてケンカをし、
アンチを「出ていけ、消えろ」と追い出す傾向が、
見られるようになった。
「アンチがいなくなってすっきり。
ここは共感する者同士の楽園」と発言する信者もいる。
つまり、2ちゃんは、
意見を交換して自らの認識を広げる、議論の場ではなく、
「わかるー」「それなー」と、
共感を共有しあい、確認する場になることが多い。
これはまるで、議論できない女ではないか。
(かつて2ちゃんは男のものだったが、
バカな女が増えている可能性もある)


寛容とは、
説得や転向を促しても「それは違う」と主張を曲げない者にも、
「あなたはここにいて意見を言う資格がある」と、
意見を封殺しないことである。

共感しない敵を追い出して、
共感する人を赦すことではない。

「共感しない敵の存在を不快に思うこと」を、
理性の力で抑えることである。
「嫌なら出ていけ」ではなく、
「全面的に反対だが、あなたはここで主張をしてよい」
と言うことである。
アンチにイライラするのは共感しない敵だからであり、
議論とは自分との差異を確かめることである。

ということで、
僕は議論できる女がだいすきだ。
共感しない者を敵とみなす、
(バカな女みたいな)男もだいきらいだ。



共感する/しないの軸でものづくりをすると、
その輪の中だけでは幸せになるが、
それは永遠にマーケットを拡大出来ない。

「最初は違うと思ったけど、
最後にはこれは私のことだと思えた」というプロセスが欠けているからだ。

つまり、
マーケティングとは、
共感する人がどれくらいいるか、
という味方の数を数えることではなく、
味方がどれくらい既にいて、
どれくらいの敵を味方に変えられるか、
で測定するべきだと思う。



わかるー。
そんなものどうでもいい。
「目が覚めたよ」を何回出来るかが、
私たちの仕事である。

私たちは変化という時間軸を描くからだ。
posted by おおおかとしひこ at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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