2017年06月27日

ダラダラの反対は、白熱

話がダラダラしたり、トーンダウンすることがある。
多少は緩急つけるためだから良いとして、
トーンダウンのままずるずる行ってしまい、
どうやればいいか分からなくなるときがある。

白熱を、どうやって取り戻すのか。


悪手のひとつは、
他に白熱している現場に、
話を飛ばしてしまうことだ。

一方その頃○○の場所では、
と別のテンションの高いところに飛ばして、
しばらくそっちの話を進めることだ。

わりとよくやる逃げの手のひとつだ。
これがなぜ悪手かというと、
そのBストーリーは白熱していても、
もとのAストーリーと出会ったときに、
Aが白熱するとは限らないことである。

むうこれでもダメか、
Cストーリー、Dストーリー、
と次々に別のストーリー(サブプロット)を足して行き、
収拾がつかなくなることは、
とてもよくある悪手である。
浦沢直樹はほとんどこれだ。
(結局、20世紀少年も、プルートゥも収拾がついていないと思う)

その時々は白熱だから、
テンションを継ぐことは出来る。
だけどAストーリーは沈黙をしたままである。
(古い話だけど、
平井和正の幻魔大戦は、
結局は東丈のAストーリーを放り出してしまったのだ)


ではどうすればいいのか?
もとのAストーリーに戻るしかない。
つまり、主人公がもう一度白熱しなければならない。

またまた古い話だけど、
あしたのジョーで、
力石の死後、丈は白熱を失った。
だから物語は低迷する。
(人気は、リアルタイムでは知らない)
もう一度丈が白熱を取り戻すのは、
カーロスリベラと再会のあと、
紀ちゃんとのデートのときだ。

これは原作の梶原一騎が悩んでいた頃、
作画のちばてつやが創作したエピソードだ。
「丈はほんとうはこういうことを、
芯で考えていたのではないか?」と、
丈の本心に降りて、
どんな白熱があるかを、丈自身に尋ねたのだと思う。

もしこのエピソードがなかったら、
ダラダラと世界戦をやって、
壊れておしまいだっただろう。
同じく梶原一騎原作の「巨人の星」「タイガーマスク」のように、
主人公は白熱を取り戻すことなく、
ひっそり消えていたことだろう。
昔のマンガはそれでも、次回作の白熱が新しくあったから、
結構使い捨ての雰囲気だった。
今は当たれば10年でもやるからねえ。
新陳代謝の遅さよ。

話がそれた。

あしたのジョーが、巨人の星やタイガーマスクと決定的に異なるのは、
Aストーリーが、二回白熱したことである。


ドラゴンボールでは、
どうやって白熱を取り戻したか。
より強大な敵の登場だ。
どんどん世界は拡大していく。
より強大な、より広い敵に拡大していく。
インフレである。
インフレとは、トーナメント表なきトーナメント戦だ。
次々に敵は強くなり、危険は増大する。
日本消滅の危機が地球消滅の危機になり、銀河系消滅の危機になる。

人を前に進ませるには、ふたつのやり方がある。
吊り橋の向こうに目的を吊るす。
吊り橋の後ろを切って落とす。
どっちでもいい。

あしたのジョーは前者で、
巨人の星やタイガーマスクは前者を再び見いだせずに終わり、
ドラゴンボールは後者だ。
(オラわくわくすっぞ!と前者にも引っかけていたところが、
ドラゴンボールの上手さである)

締め切りや期限は、よくある後者の代表である。
(新入部員が入らないなら、ここは廃部だ!
受験、クリスマス前に恋人をつくること、
○日までに結果が出ないと、このプロジェクトは失敗、
死ぬまでにしたい10のこと、
などなど)

Bストーリーで当面の間お茶を濁すのは、
他の吊り橋を提示してしまうことだ。
(AよりBのほうが面白かったら、
Aストーリーはどこかへ行ってしまう。
そして恐らく、Bも行き詰まり新たなCを生むことの繰り返しに陥る)



再び白熱を取り戻すには、
以前以上の目的と、
以前以上の動機を見つけなければいけない。

人生とおなじだ。
posted by おおおかとしひこ at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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