2017年06月28日

考え慣れすると、出来るようになること

別解を出せるようになる。


若いうちは思考が硬い。
どういうことかというと、
ベストは一個しかなく、
ギリギリに磨き抜いた、
これしかない、と思うものだ。

しかしそれは真実ではない。
ギリギリなのは、考えるようになる当人だけだ。

最適解ということばが工学にはある。
ある条件下で、数学的な最大値(もしくは最小値)を計算しようという考え方だ。
与えられた状態でベストを尽くした、
これしかないアイデアというのは、これに似ている。

工学的最適解は、環境変動に弱いことが知られている。
たとえばヨーロッパの石組みの建築は、
美しくて堅牢であるが地震に弱い。
建築の条件に、地震が入っていないからだ。
日本の建築は地震を条件に入れているので、
ヨーロッパの最適解と日本の最適解は異なる。
本州の車や新幹線と、
北国の車や新幹線は、仕様が異なる。
雪対策である。
本州の最適解は、雪や雨という与条件の変動に弱い。

アイデアもこれに似ている。

ある条件下でギリギリの最適解を出すことは、
頑張れば可能だ。
そしてその頑張りが、
俺は頑張ったという誇りや自信になる。

だけど、その与条件がちょっと変われば、
アイデアの最適解が全く変わってしまう。

つまりその頑張りは、ポキリと折れてしまう。

ギリギリに頑張らずともそこにたどり着くベテランは、
変動に強い。
最適解に至らない、別解を沢山持っているから、
それらで対応するからで、
必要に応じてまた別解をひねり出すからである。

若いうちは思考が硬い。
考え慣れすると、柔軟な対応が出来る。

若いピッチャーは球を一種類しか持っていない。
慣れたやつは、七つも八つも決め玉を持っている。
そんな感じ。


この訓練は、テヅカチャートを思い出せば簡単だ。
あるシチュエーションからの展開を数パターン考え、
それに至る前段を数パターン考える訓練である。
ある時点の過去と未来を、数パターンずつ考える訓練である。

若いうちは一個しか考えられない。
慣れてくると、それに匹敵する面白さを、
数通り考えられるようになる。
そうなればしめたもので、
組み合わせに関しては爆発的に増えていく。

若いやつの数通りなんて、狭い範囲のなんとか違いでしかない。
ベテランは、環境の変動幅以上の、
広い範囲でのバリエーションの、別解をつくることが出来る。

それはテヅカチャートでいえば、
精々数ステップしか考えられない若手の範囲に比べて、
数十ステップの範囲で考えられるということだ。
同じ冒頭から全く違う話を作ったりすることも可能だろうね。

ここまで自由になれて、
はじめて、
「どこからどこへ向かおうかね」
と、俯瞰の視点でものを考えられるようになる。

俯瞰とは、大掴みに全体を考えるだけではない。
一番細かいレベルのことを把握しながら、
全体を同時に考えることでもある。

考え慣れしていないと、
細かいレベルは細かいレベル、
大掴みは大掴み、しか出来ないのだが、
慣れてくると、
どっちも把握しながら出来るようになる。

そうでないと、別解なんて柔軟に出てこない。


ということで、
若いやつのアイデアなんて、
鋭いけれど脆弱だ。
条件が変わればすぐに折れる。

デートに素敵な服を着てきても、
途中で雨が降ったら服が台無しになっておしまい、
みたいなものだ。
慣れていれば、
その場で新しい服を買ったり、
全裸で楽しめる銭湯に行き先を変えるものである。
別解は、いくらでも思いつく。
posted by おおおかとしひこ at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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