2017年07月10日

トリックスターまたは狂言回し

凄いやつらの濃密な中に、
突然関係ない一般人がなにかをやらかして、
均衡をやぶって話を展開させることがある。

これはトリックスターの一種である。


一番有名なのは「戦艦ポチョムキン」の、
「オデッサの階段」シーンだ。
対立する陣営の中で赤ちゃんをのせた乳母車が、
急に大階段を進み始め、
それきっかけで大量発砲がおこる。
しかし赤ちゃんは無事で、
階段の下についたころ殆どの人は死んでる、
という。

これは、大量虐殺シーンを省略する
(単純に金がかかるので省略できる、
結果的に凄惨なシーンを写さずに想像させる)
ための一種のテクニックだ。
赤ん坊のアップだけで音で処理しているからだ。
とても上手な表現である。

トリックスターの定義通り、
それは媒介で、変化しない。
赤ん坊は赤ん坊のままニコニコと笑っているのみである。

これは色んな作品で真似されている。
モロ乳母車を使ったものから、
全然関係ないものを使ったものまで。
このテクニックはポチョムキン以前にあったものかどうか不明。
しかしこれは1925年にすでに完成されていたことに留意されたい。

スラムダンクのメガネ君活躍や、
ドラゴンボールにおけるミスターサタンやヤジロベエは、
この考え方に近い。

当事者とはなるべく無関係な人が、
均衡の破れをつくるきっかけとなるのだが、
その人自体は普通のことをしただけなのに、
均衡が大きく動いてしまった、
みたいなこと。


現実でもこういうことはあるだろうか。
たまにあるのかも知れない。

鳩の群れの中で紙袋をふくらまして、
パン!と音を立てて潰せばみんな一斉にとびたつ。
動物の群れにはそういう性質があるかも知れない。

人を描くということは、人という集団についても描くこと。


もしあなたのストーリーがデッドロックに陥っていたら、
こういうストーリーの進め方もあるということ。
使える技なので参考までに。
僕自身はあまり使ったことない技だ。



ドラマ風魔において、
もし麗羅が平凡な特技のない人なら何かをやらかして均衡を破り、
トリックスターの定義通り、麗羅自身は生き残ったかも知れない。
しかし麗羅は特別な人だったから、
死なざるを得なかったのだね。
(原作の麗羅は単なる咬ませに過ぎなかったが)


劇中で、
変化を経験することは重要なこと。
変化しないのは重要でないこと。

トリックスターは、
変化しないものから変化するものを描くこと。
したがってトリックスターは、重要人物ではない。

重要人物とは、変化する人物のことであり、
その変化の重要性の順で、重要順が決まるようなものだ。
posted by おおおかとしひこ at 18:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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