2017年06月30日

オリジナリティーと発明

オリジナリティーを考えれば考えるほど、
わからなくなっていく。
自分のオリジナリティーはなんだろうか。
この作品のオリジナリティーは。
何をすればオリジナリティーになるのか。

こういうときは、何を一個発明しましたか?
と質問されたと思うといい。


発明とは、ほとんど理系の言葉のようか気がするが、
哲学的新概念や法的解釈やフレームを作ることも、
ひとつの発明だと僕は考えている。

理系の大学の卒論は何をするのか。
僕は工学部だったので、
ひとつ発明をすればいいんだ、と解釈した。
博士の卵なんだからなあと。
マッドサイエンティストとまでは言わないが、
世界を良くする何かを発明しようと思っていた。

(専門は人工知能なので、
概念ツリーを可視化したときに、基本概念を発見する自動プログラムやら、
アイコンで機能を示して、名前ではなく機能で検索できるシステムなどを作っていた)


発明といっても、
相対性理論なみの革命的なアイデアから、
日常をちょっと良くする改善策まで、
様々にある。

セロテープを置く場所を変えて効率を良くしたり、
新しい帰宅ルートを開発するのも、
僕は発明に入れたっていいと思う。
勿論それは個人レベルの発明である。

芸術作品のオリジナリティーというのものは、
新しい概念を提示することだ。
その新しさが、オリジナリティーだ。

ただ新しければいいのではない。
それが、発明になっているかどうか、
ということだと僕は考える。


では、発明がなければいけないのか?
必ずしも斬新でなくてもいいかもしれない。

ドラマ「風魔の小次郎」での、
「表では部活の試合、裏では忍びの死合い」というフォーマットは、
一応僕の発明であるが、
これ自体はどこかで見たことのあるようなものではある。
しかし、原作漫画を毎週ドラマ化して、
パターン化する、というミッションに対しては、
最も的確な発明であったと僕は思う。

その程度でよい。
世の中に全く新しい世界や主張を示す必要はない。
世の中に全く新しい形のビジネスや概念を示す必要もない。
全く新しい形のパターンやキャラクターを示す必要もない。
使い古されたものを新しいものに適用するレベルでもよい。

それをまだ誰もやっていなくて、
私たちの人生が、結果少し良くなるならば、
それは小さな発明である。

勿論、私たちの生活や人生をまるで別の質にしたり、
180度価値観を変えたり、
大流行して以後の世界がその思想に染まることが、
最高の発明だとは思う。
銃やインターネットは、それクラスのものだ。

だけど私たちのつくる発明は、
人の気持ちをどう動かすか、
という所においてのものだと思う。

ドラマ風魔には、いくつかの興味深いサブプロットがある。
竜魔を父と考えての父ごえ、
強い善人に向き合うこと、
混乱を生じさせるトリックスター、
紛い物ではないと兄を越えようとすること、
同期の死から、彼が何を大事にしていたか知ること、
などなどである。

これらは、原作にひとつもない要素であるが、
ドラマとして風魔という世界を面白くするための、
発明だと考えると、
ドラマ風魔のオリジナリティーが分かりやすくなると思う。


あなたは、どういう発明をした?
小さな発明でも、デカイ発明でもいい。
それが人々の心にどう影響する?
そこが、あなたのその作品の、オリジナリティーだ。
胸を張っていいところだ。

他人の作品のそういうところを分析してみよう。
なぜそれが名作とされているのか、
発明という観点から見てみよう。
それが初めてそれをやったから、
ということが、その作品を名作たらしめている可能性もあるよ。

なぜそれは名作となれなかったか、
という分析にも使える。
発明として不十分であったから、
(斬新だが人の気持ちを幸せにするには至らなかった、
出来はいいが使い古されたものだった、など)
という分析が可能になるかも知れない。




一年かけて発表してきた「てんぐ探偵」は、
あと3話で終わります。
「負の心に陥った人が、いかにして戻るのか」
という物語フォーマットを発明したつもりではあります。
まだまだ掘り足りないとは思っていて、
でもストックが尽きたため、一端ピリオドを打ちました。
だから「第一期完結」です。
心をどうにかすることは、
まだ掘る余地のある深いモチーフだと考えており。
それをうまくストーリーに落とす発明を、
いままた考え始めております。
posted by おおおかとしひこ at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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