2017年07月04日

実際の文字数を体験しておく

二時間の脚本を、一度も書いたことのない人にオススメする練習法。

それは、どこかで仕入れた二時間の脚本を、
手で写したり、文字打ちしてみること。



二時間の脚本は長い。
どれだけかかるのか、
書いたことのない人は想像もできまい。
ぼくも初めて書いたときは、想像もつかなかった。
ということで、過去の僕に教える為に、
この方法を記しておく。

想像がつかないのは、
どれだけしんどいか、
どれだけ集中力がいるか、
どれだけの準備をしておけばいいか、
どれだけ時間がかかるか、
どれだけの言葉を費やせばいいか、
などなどである。

もやもやしていてもしょうがない。
「それを、事前に全部思いついていた」
という設定で、文字部分のみ全部書いてみるのだ。

オススメは手書きで書き写すことだけど、
パソコンによる文字打ちでも構わない。
普段使っているワードのファイルや、
IMEや、配列を使ってみるといい。
いわば実戦のシミュレーションである。
とりあえず一回経験してみるのが目的だ。

これをやってみると、
120分の世界、4万8千字の世界が、
どれだけしんどいか、
どれだけ集中力がいるか、
どれだけの準備をしておけばいいか、
どれだけ時間がかかるか、
どれだけの言葉を費やせばいいか、
体感することができる。


水泳の練習法で、
水中で他の人が引っ張って、
無理やり目標タイムのスピードを経験させる、というのがあるそうだ。
そうすると、なぜだかそのタイムに近づいていくらしい。
自分一人ではたどり着けなかったタイムへ。

たぶん、「その世界を疑似的に経験する」
を、体が覚えるのだろう。
それを経験したことで、
その世界を旅するだけの、
リアルな感触を知るからだろう。

イメージトレーニングとは真逆の、
体先行のトレーニングである。


ということで、4万8千字、
原稿用紙120枚ぶんの、
脚本を写してしまうといい。

コピペじゃ意味がない。
「実際に4万8千字を書く」
経験をするのが目的である。

それに4日かかったとしよう。

じゃ、4日で自分が書ける?
いや、無理だよね。
じゃ、書けるためには何を準備しておけばいい?
そうやって、
経験をもとに、準備ができるようになってゆくのである。

しかも一度最高の文章を見ているのだから、
それに匹敵することを目標に出来るという訳だ。


ああ、過去の俺よ、
この方法を二時間書く前に試しておけば、
色々な肉体的苦労に対して、
準備できたものを。

ということで、みなさんはいいことを知ったね。
ええ? 120枚の原稿を書くんですって?
書くとも。脚本を書くのならね。
どれくらいのしんどさか、
経験済みなら話がはやいぜ。

あ、もちろん、手書きのほうが勉強になるよ。
呼吸みたいなのが、手書きには宿るからね。
posted by おおおかとしひこ at 18:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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