いったいこれは何だ?
なるほど、そういうことだったのか!
ストーリーとは、これの連続である。
?と!の関係について、考えよう。
?は、前ふりである。
謎である。
おかしなこと、奇妙なことである。
何か分らないことである。
普通にはありえないことである。
一見常識の感覚がおかしくなるような、
異常な事である。
なにかの可能性である。
だから、ひきつけられる。
いったいこれはなんだと。
これはいったいどういうことなのかと。
冒頭に殺人事件がおこる典型を考えればよい。
犯人は誰か? つかまるのか?
一体動機はなにか?
一見不可能な犯罪のトリックは?
謎だらけだ。
あるいは、ボーイミーツガールタイプでもいい。
退屈な日常に現れた、謎の美少女。
ありえないことに、僕に微笑んだ?
とくに冒頭である必要もない。
途中の展開でも、?はありえる。
盛り上がりの手前においといて、
あとに来る!のための前ふりにすることもある。
ミスリードは、たいていあとの!の為に、
わざとおかしな痕跡を残すことがある。
おかしいと思ったんだよ、あれは伏線だったのか!の為にだ。
(もっとも、最近はこれがあまりにも多いので、
わざと謎っぽいのを振っておいて、
それを使わないという裏をかく手もある。
多用すると飽きられるけど。
だから優秀な伏線は、
堂々と本編に関係したことをあとで使うことである。
ちょろっと出てきたことを伏線に使うのは、
伏線が下手な証拠だ)
!は、種明かしである。
?で作った疑問に、答える。
なるほど、と腑に落ちる。
これのためにあれがあったのか、と感心する。
疑問がすべて氷解して気持ちいい。
あれも、あれも、そう考えればすべて繋がっていたのか、
と心の中で理解の連鎖が起こる。
それは気づかなった、やられたと膝を打つ。
その落差があればあるほど、驚愕する。
さらに大きければ、
ショックを受けトラウマにもなる。
ひきつけられていた分、逃げるのが遅れる。
簡単なのは、ホラーだ。
一見安全なところでひと息つき、
そういえばうしろを見ていなかったと、
気づいて振り返ったときに、後ろにいる!
とびっくりさせる。
安全かな?と注意をひきつけ、
油断させたときに、そこは見ていなかった!
というところからモンスターは現れるものだ。
将棋やチェスのような、
誰かと頭脳プレイで勝たなきゃいけない状況なら、
直接このやり方が使える。
?と謎を振っておいて、なるほど!
と思わせる手を打てばよいからである。
?と!のペアは、人を必ずひきつける。
?を振られたら、
人は考え、答えを知りたくなってしまうからだ。
多くのテレビ番組は、謎を振ってCМに入る。
答えを待たせる間にCМを見てほしいからだ。
ここから本題。
注意すべきことは、!がしょぼくないことである。
?で前振られた、すごい期待は、
!で裏切られないことだ。
当たり前だけど、面白い?があればあるほど、
人は答えを探して考える。
その予想を、あなたは越えなければならない。
全員が、なるほど、それは予想以上だった!
と、驚き、感心するような!を用意しなければならない。
できないのなら、やめておくことだ。
狼少年になってしまう。
「マルホランド・ドライブ」という、
このブログでもときおり取り上げる映画がある。
強烈な?だらけで、
最初はものすごく引き込まれる。
しかしいつまで経っても、!はやってこず、
どんどん新しい?が増えて、
最後には!がないまま終わってしまう、
うんこのような作品だ。
僕はデビッド・リンチの「ツインピークス」を見ていないのであれだけど、
多分同じ構造なんだろうな、と予測している。
上手なのは「マトリックス」で、
世界の謎を振っておいて、
すべてはバーチャルワールドだったのだ、
という!で答えている。
バーチャルだから何でもあり、という最終手段を使っているのがうまいよね。
(2と3はなかったことにしよう)
世界の謎を解く系の物語では、
「実はすべて〇〇だったのだ!」
と最後になるパターンが多い。
お釈迦様の手のひらの上、というのは二千年前にあるけどね。
「ダークシティ」「メガゾーン23」「猿の惑星」なんて古典もたくさんある。
押井はそういうの大好きで、「赤い眼鏡」「アヴァロン」などなど。
90年代や00年代は、
ゲームの世界にこういうパターンが多かった。
SFとか多かったし。
もちろんこんな大きなことから小さなことまで、
色々なネタをつくることが可能だ。
あの子が機嫌が悪かったのは、
俺が他の女の子としゃべっていたからだ、
なんて小さなことすら、
物語の進行のための?と!のペアになりうる。
前にも書いたけど、
「リンかけ」の、ギャラクティカファントムの初登場が僕は死ぬほど好きだ。
なぜギャラクティカマグナムが効かなくて笑っていられる?
フッ。右のマグナムにも匹敵するスーパーブロウが、左にも宿っているのよ!
なにい?!
ピキーン! ギャラクティカ・ファントム!
車田正美は、?と!の天才だ。
ほくらは毎週毎週なにい!と言っていた。
あなたのストーリーでは、
どんな?を前振るのか。
冒頭にまいてもいい。
途中にまいてもいい。
そしてそれは、どんな!になるのか。
なるほど!と膝を打てるのか。
そんな計算をしてないのなら、
それは平板すぎる話かも知れない。
逆に平板なら話なら、?と!で、
スパイスをつけていける。
2017年07月11日
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