2017年07月12日

動機について考えてみる

少しシミュレーションを。

「ポルトガル語をマスターする」
という目的があるとする。
(この目的はなんでもいいが、
突拍子がなくて、かつ大変そうなのがいい)

「どうしてもそれをしなければならない」
と仮定して、その動機を無理矢理にでも考えてみよう。


なぜ私は、
どうしてもポルトガル語をマスターしなければならないのか?

架空の理由を考えてみる。

・ポルトガルのかわいい女の子に恋をした。
・ポルトガル支社に転勤。
・明日からポルトガル語が日本の公用語になるため。
・ポルトガルが世界を支配した世界線にワープしたため。
・ポルトガル語をマスターしないと人質が殺されるはめになった。
・ポルトガル語キーボードは日本語キーボードの3倍速いと聞いたから
(これは架空)。
・カポエラの歴史を学び、技が何を意味しているか知るため。
・明日から上司がポルトガル人になるから。
・ポルトガル映画を撮ることになったから。
・日本人ポルトガル語コンテストが開かれ、優勝1億円なので。
・日本語研究するうえで、最も遠い言語らしいから(これは架空)。
・日本語のルーツは古代イスラム語ではなくポルトガル語ルーツだったから(これも架空)。
・ブラジルに永住を決めたため。(なんでや)
・宇宙人と地球代表として交渉することになったが、
彼らが喋れるのがポルトガル語オンリーだと分かったので。


とりあえず無理矢理にでも出してみた。

人が相当無理して何かをするには、
それ相応の理由が必要だ。

大分無理そうで、かつ、モチベーションがなさそうな、
ポルトガル語のマスターで、
仮に考えてみたわけだ。

これらをみる限り、
「進んでそんなことをやろうとする」
には、相当の理由がないとやらないということ。
上の例でいえば、恋、映画、キーボード、日本語研究、
なんてのがそれに当たるだろう。

これは、動機を前に置くやり方だ。
○○を得るための動機である。
(金銭的には1億もらえない限り僕はやらないらしい)

逆に、
日本や会社がポルトガルに支配されてるなどは、
動機が背後にある。
つまり、
○○をしないと△△になる、
というものだ。

組み合わせてもいい。
「私は、ポルトガルが世界を支配した世界線に、
三ヶ月後飛ばされることになった。
三ヶ月何を準備すべきか?
ポルトガル語のマスターである。
なるべく有利に進めるためだ」
とかなら、
前にも背後にも動機があるわけだ。


つまり。

人は、ここまでお膳立てが整わないと、
難しくて困難なことをしようとしない。

あなたにとって僕は他人だ。
三人称とは、他人を動かすことである。
他人が動く動機を作らないと、
他人は目的を持ち、行動を始めない。

で、
僕はそこまで動機がない限り、
そんな面倒なことをしない。
僕だけでなく、ほとんどの他人はそうだろうということ。



なぜその人物は、そんな目的をもつ動機を持つのだろう?
他人がそこまでその実現に拘る理由は?
どんな強い思いや事情があるというの?
前にある理由?後ろにある理由?その両方?
あなたの個人的な動機なんて聞いてない。
その、他人のことを聞いている。

その人がそんな大変なことをするには、
前に進むべき、あとには引けない、
相応の理由があるのだよね?

強い動機には、よほどの理由が必要だ。
ポルトガル語のマスターに、宇宙人まで登場してもらわないとね。
それは、他人がそこまで強い動機であることに、
説得力があるかということだ。


なんとなくしたいから、では、
話は進行しない。

どうしてもポルトガル語をマスターしたい/マスターしないと、
レベルでないと、
人は動かない。

あなたの物語は、
そこまで動機が強いのか?

それをしないと死ぬか?
それをすることで生が沸いてくるのか?
そのことに説得力があり、
そのことに同情や感情移入出来るだろうか?

それを創作するのが、あなたの仕事なのである。


ラブストーリーなら、なぜその人はその人が好きなのか、
に答えるだけの強い何かを作らなきゃいけない。
殺人事件の解明なら、なぜその人はその人を殺したのか、
なぜその人は事件解明をするのか、
強い何かを作らなきゃいけない。

そこが、人を描くことの核になると思う。



僕は前にも書いたけど、
いつかカポエラの物語を書きたい。
その為には、ポルトガル語をマスターするのはやぶさかではない。
でも資料とか無さすぎるしなあ。
天狗が終わったらやるかなあ。

などなど、「やらなくていい言い訳」を人は探す。
それを打ち破る強い思いを、あなたは描かなくてはならないのだ。
(僕の場合、生で見れたアンゴラの歌の光景が忘れられない)
posted by おおおかとしひこ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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