少しシミュレーションを。
「ポルトガル語をマスターする」
という目的があるとする。
(この目的はなんでもいいが、
突拍子がなくて、かつ大変そうなのがいい)
「どうしてもそれをしなければならない」
と仮定して、その動機を無理矢理にでも考えてみよう。
なぜ私は、
どうしてもポルトガル語をマスターしなければならないのか?
架空の理由を考えてみる。
・ポルトガルのかわいい女の子に恋をした。
・ポルトガル支社に転勤。
・明日からポルトガル語が日本の公用語になるため。
・ポルトガルが世界を支配した世界線にワープしたため。
・ポルトガル語をマスターしないと人質が殺されるはめになった。
・ポルトガル語キーボードは日本語キーボードの3倍速いと聞いたから
(これは架空)。
・カポエラの歴史を学び、技が何を意味しているか知るため。
・明日から上司がポルトガル人になるから。
・ポルトガル映画を撮ることになったから。
・日本人ポルトガル語コンテストが開かれ、優勝1億円なので。
・日本語研究するうえで、最も遠い言語らしいから(これは架空)。
・日本語のルーツは古代イスラム語ではなくポルトガル語ルーツだったから(これも架空)。
・ブラジルに永住を決めたため。(なんでや)
・宇宙人と地球代表として交渉することになったが、
彼らが喋れるのがポルトガル語オンリーだと分かったので。
とりあえず無理矢理にでも出してみた。
人が相当無理して何かをするには、
それ相応の理由が必要だ。
大分無理そうで、かつ、モチベーションがなさそうな、
ポルトガル語のマスターで、
仮に考えてみたわけだ。
これらをみる限り、
「進んでそんなことをやろうとする」
には、相当の理由がないとやらないということ。
上の例でいえば、恋、映画、キーボード、日本語研究、
なんてのがそれに当たるだろう。
これは、動機を前に置くやり方だ。
○○を得るための動機である。
(金銭的には1億もらえない限り僕はやらないらしい)
逆に、
日本や会社がポルトガルに支配されてるなどは、
動機が背後にある。
つまり、
○○をしないと△△になる、
というものだ。
組み合わせてもいい。
「私は、ポルトガルが世界を支配した世界線に、
三ヶ月後飛ばされることになった。
三ヶ月何を準備すべきか?
ポルトガル語のマスターである。
なるべく有利に進めるためだ」
とかなら、
前にも背後にも動機があるわけだ。
つまり。
人は、ここまでお膳立てが整わないと、
難しくて困難なことをしようとしない。
あなたにとって僕は他人だ。
三人称とは、他人を動かすことである。
他人が動く動機を作らないと、
他人は目的を持ち、行動を始めない。
で、
僕はそこまで動機がない限り、
そんな面倒なことをしない。
僕だけでなく、ほとんどの他人はそうだろうということ。
なぜその人物は、そんな目的をもつ動機を持つのだろう?
他人がそこまでその実現に拘る理由は?
どんな強い思いや事情があるというの?
前にある理由?後ろにある理由?その両方?
あなたの個人的な動機なんて聞いてない。
その、他人のことを聞いている。
その人がそんな大変なことをするには、
前に進むべき、あとには引けない、
相応の理由があるのだよね?
強い動機には、よほどの理由が必要だ。
ポルトガル語のマスターに、宇宙人まで登場してもらわないとね。
それは、他人がそこまで強い動機であることに、
説得力があるかということだ。
なんとなくしたいから、では、
話は進行しない。
どうしてもポルトガル語をマスターしたい/マスターしないと、
レベルでないと、
人は動かない。
あなたの物語は、
そこまで動機が強いのか?
それをしないと死ぬか?
それをすることで生が沸いてくるのか?
そのことに説得力があり、
そのことに同情や感情移入出来るだろうか?
それを創作するのが、あなたの仕事なのである。
ラブストーリーなら、なぜその人はその人が好きなのか、
に答えるだけの強い何かを作らなきゃいけない。
殺人事件の解明なら、なぜその人はその人を殺したのか、
なぜその人は事件解明をするのか、
強い何かを作らなきゃいけない。
そこが、人を描くことの核になると思う。
僕は前にも書いたけど、
いつかカポエラの物語を書きたい。
その為には、ポルトガル語をマスターするのはやぶさかではない。
でも資料とか無さすぎるしなあ。
天狗が終わったらやるかなあ。
などなど、「やらなくていい言い訳」を人は探す。
それを打ち破る強い思いを、あなたは描かなくてはならないのだ。
(僕の場合、生で見れたアンゴラの歌の光景が忘れられない)
2017年07月12日
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