2017年07月13日

私の世界はどこにあるか

ネットの発達によって、
一人暮らしはますます一人になりつつある。
これが、独り言映画を増やしている原因のような気がする。

物語とはコンフリクトだ。
他者と他者のぶつかり合いである。
独り言の世界とは遠いはずだ。

これは現代の問題である。


ネットがないころは、人は強制的に他人と関わらないと生きていけなかった。
ネット通販はないから店で他人から買わなきゃいけないし、
情報を得るには、本を読むか詳しい人に聞くしかない。
一人で部屋にいても、本を読むか、音楽を聴くか、
テレビを見るかラジオを聞くしかなかった。
要するに、一人で部屋にいると退屈だった。
だから人は外に出かけた。
誰かと会い、話をするために。
話をしてもケンカしたりすることのほうが多かった。
だから家に帰ってくる。
しかし退屈でまた出かける。
その繰り返しだった。

しかし、ネットやスマホが、
人を一人にし続けることを可能にしてしまった。

通販でものを買い、ネットを見続けていれば、
外に出ることもなく退屈から解放される。
テレビやラジオは深夜になると終わったが、ネットは24時間。
そもそも日本である必要もなくなった。
ネットがなくてもスマホがある。
とにかく、
部屋で一人でいても、誰とも会わなくても、
問題ない世界になってしまった。

だから最近の人は、他人と関わるのを避ける傾向にある。
対面ではなにも言わなくても、
ツィッターではネット弁慶になるやつなんて山ほどいるだろう。

衝突を避けたり、傷つくことを避けたり、
ダメージを受けることを避けたりしているうちに、
現実の他人とは、
うまく関われない人、
昭和の感覚からしたら「弱い人」が増えてきたような気がする。

自分と反対する他人が現れた時、
逃げて関わらない以外の対処法をとれない人が、
増えてきたような気がする。

均衡点を探したり、闘って負かしたり、
相手の言い分も参考にして自分の意見を変えたり、
ケンカしたけど、相手を理解したら互いに仲良くなったり、
痛み分けをしたり、自分が圧倒的に負けても世界は続いていったり、
していない人が増えてきた気がする。

だから。
そういう人が書く物語には、
他人と他人のぶつかり合いがない。

そりゃそうだ。
スマホやネットばかり見ていて、
現実の他人とケンカしていないからだ。
ネットのケンカなんて、現実のケンカからしたらお子ちゃまだ。

物語とは、要するにケンカだ。
コンフリクトとはケンカだ。
それがどうやって起こって、
どう展開して、
どう決着がついたか、
それを面白おかしく書くのが、
物語だ。

その無限のバリエーションを現実に経験していないで、
すでにある物語を真似しかしない、
劣化コピーしか書けないから、
最近の物語は面白くないのかもしれない。

主人公がひとりでいるシーンのほうが、
書いてて楽だったりしないかい?
主人公のつぶやきのほうが、
他人とのぶつかり合いより、
書いてて楽しかったりしないかい?
争いなんて書こうとしないで、
主人公の思想ばかり描こうとしていないかい?

だとすると、それは、
一人暮らししすぎなのかもしれないぞ。


ケンカを書こう。
争いを書こう。
もめごとを書こう。
いざこざを書こう。
それが、思いもよらない方向へいき、
思いもよらない方向へ解決する話を書こう。

それを書くには、
ふだんから人を避けていては、
だめだと思うんだよね。


最近の若いやつは、とオジサン的には思うけど、
おれも最近争いは避けている。
パワハラとか言ってるのは、
争い慣れていない、よわっちいやつのたわごとだ。
殴り合いぐらいすればいいんだ。
人と人は、そうやって生きてきた。

その本質が、
ネットのせいでおかしくなってきている。
おかしくなってるのか、進化なのかは、
もう少し結論が出るまでかかる。


どちらにせよ、
独り言をいいつづける物語は、
もはや物語の体をなしていない。

さて。
あなたの主人公は、
誰ともめるのか?
一人か、複数か?
そのもつれこそ、ストーリーだぜ。

争いを避けていては、
ストーリーのもとになるものの経験が積めないよね。
もっとケンカしよう。
ネットじゃなくて、現実で。
現実の体験にまさるオリジナルはない。
posted by おおおかとしひこ at 16:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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