2017年07月23日

感情移入のプロセスまとめ

今のところ、僕はこういうことではないかと考えている。


1.誰か知らない人が、聞いたこともない事件に出会い、
解決する必要に迫られる。(注目、興味)

× 特定の層にしか分からないことで気を引く。
× 有名人で気を引く。
× 平凡な巻き込まれ方ではその先は気にならない。
× すぐに解決しそうなものでは注目しない。
※ 最初はたいしたことなかったはずなのに、
いつの間にか困難な変わった事件に、というのもここに含もう。
△ 気を引くために、派手で目立つ人を主人公とする。
(地味で目立たない人が主人公のほうが面白い話もある)
△ 作者本人の呟きをぶつける。
それが興味深く、我々との共通点が見いだせなければどうでもいい。


2. その人には解決しなくてはならない/したい、猛烈な事情がある。(動機)

× やめたり逃げようと思えば出来る。
× 普通の対応で乗りきれる。
× なんとなく気になったから。
※ 最初は通りすがりの関係であったが、いずれここになるものは、
ここに含んでよい。

3. そのシチュエーションになれば誰でもこうするだろう、
そういう事情ならば誰でもこうするだろう、ということが分かる。
(共通点の発見)
ここで、「もし自分だったら」という「置き換え」が起こるのだ。

△ 特殊能力で切り抜ける。
それが私たちの何にたとえられるのか、共通点があるならOK。
△ 特殊な文化を利用する。
上に同じ。何かにたとえられて、私たちとの共通点が見いだせればOK。


4. 猛烈な動機のまま、苦労して切り抜けようとするさま。(応援)
他人事ではない、となってくれば、自然と応援したくなる。

× 私たちとの共通点を見いださないまま、必死に何かをやられても、滑るのみ。


5. 失敗したり足掻いたり、部分的に成功したりして、
右往左往七転八倒、感情は豊かに振れる。(起伏)

× 淡々と成功する。
× 主人公本人の力でやっていない。
△ 誰かに助けてもらうのは、その人の尽力が主人公を上回ってはいけない。
× ラッキーで成功する。
△ ラッキーで成功するが、主人公のせいで失敗する。
このあと主人公が思い直して、大逆転に関係すればOK。
× なにもせずに回りの人が全部やってくれる。(メアリースー)
× 一発で成功する。(短編なら可)
○「その人の人生最大」の悲しみ、苦しみ、ぬか喜び、などが待っている。
○ 思い通りにならないことがたくさんある。(私たちの世界と似ている)
× 最初の方に盛り上がって、後々それを越えない。
× 目的を見失う。今なんのために何をやってるんだっけ。
× 何をしてようが、この人に興味ないので、何しててもどうでもいい。


6. その人の本当の気持ちを知ること。(秘密の開示)
本当にそう考えているのなら、
是非ともその強い動機の成功の実現を待ち望みたい。

× その人の個人的事情は見えない。
× その人の考えに深みがない。
× 動機が弱い。別にやめてもいいんじゃない。
× その動機に同情や共感や「わかる」がない。
× その動機に、琴線に触れる繊細なものがない。


7. それが報われる。ただし自分自身の力で。(カタルシス)
6がこれによって解消したことが自動的にわかり、
私たちの6も擬似的に昇華する。(代償行為)

× その人個人の思いの部分が、私たちとの共通点がない。
× 解決を自分自身の責任においてやっていない。
× 解決を当事者としてやっていない。
× それが解決しても、心の中の何が報われたのか分からない。


456は順不同かも知れない。



第三者の適当な物事であったはずのことが、
いつの間にか、あれは俺だと思うこと。
俺には出来ないあれを、そいつが人生最大の賭けで、
勝利すること。
だから自分の中のあれも、昇華すること。

それが代償行為、感情移入である。


僕は、こうなっていないのなら、それは物語として、
何も面白くないと思う。
ガワの組み立てしかやっていないと思う。
心に深く来ないと思う。

逆に言うと、心に深く来るものが、物語だ。
posted by おおおかとしひこ at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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