2017年07月31日

体を作るトレーニング2

CMディレクターの先輩が、
入社当初やっていた、手を作るための方法論を紹介してみる。


デスクの上にテレビをおく。
つかない壊れたやつでいい。
で、その真っ黒なモニタを見ながら、
「そこから出てきたら面白いもの」を考える。
思いついたら紙に書く。

「企画はこうやってつくる」と、
その人は言っていて、
それは20年前に現役だった世代は、
結構やっていた方法論。

ネットはなく、
ブラウン管のテレビしかなかった頃の話。
殆ど唯一の無料映像メディアが、
テレビだったころの話。
テレビが一番面白かった時代の話。

今ならついてないPCモニタか、スマホかも知れない。



解説しておくと、
「頭の中の妄想がもし出来ても、
手と連動していなければ、
それを書き留めることは出来ない」
ということ。

私たちは「頭」と「手」が訓練しないと分離していて、
プロとはつまり、連動するほどに訓練が出来ている人のこと。

どんなに妄想が面白くたって、
それを言葉や絵に出来なければ、
ただの妄想屋だ。

どんなに面白い世界やからくりを考えたって、
それを表現する言葉が貧弱なら、
それはただの妄想にすぎない。

頭と手を連動させるためには、
妄想→書く→妄想→書くのループを、
ずーっと机の上でやるしかない。
「回路をつくる」とその人は言っていた。


真っ黒なテレビ、
というのがネットのない時代らしくていい。
ネットで調べてそれをパクるより、
オリジナルの妄想が出てくるからである。

あるいは、自分の妄想が真っ黒なテレビから出てきたとして、
今まで見てきたものと比べてどうか、
ということもイメージの世界で可能だ。
それより詰まらないなら、テレビから出す意味がないのだ。


その四角を見て、
どれだけ妄想出来るか。
それをどれだけ書くことが出来るか。

煎じつめれば、私たちのやることはそれだけだ。
posted by おおおかとしひこ at 11:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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