CMディレクターの先輩が、
入社当初やっていた、手を作るための方法論を紹介してみる。
デスクの上にテレビをおく。
つかない壊れたやつでいい。
で、その真っ黒なモニタを見ながら、
「そこから出てきたら面白いもの」を考える。
思いついたら紙に書く。
「企画はこうやってつくる」と、
その人は言っていて、
それは20年前に現役だった世代は、
結構やっていた方法論。
ネットはなく、
ブラウン管のテレビしかなかった頃の話。
殆ど唯一の無料映像メディアが、
テレビだったころの話。
テレビが一番面白かった時代の話。
今ならついてないPCモニタか、スマホかも知れない。
解説しておくと、
「頭の中の妄想がもし出来ても、
手と連動していなければ、
それを書き留めることは出来ない」
ということ。
私たちは「頭」と「手」が訓練しないと分離していて、
プロとはつまり、連動するほどに訓練が出来ている人のこと。
どんなに妄想が面白くたって、
それを言葉や絵に出来なければ、
ただの妄想屋だ。
どんなに面白い世界やからくりを考えたって、
それを表現する言葉が貧弱なら、
それはただの妄想にすぎない。
頭と手を連動させるためには、
妄想→書く→妄想→書くのループを、
ずーっと机の上でやるしかない。
「回路をつくる」とその人は言っていた。
真っ黒なテレビ、
というのがネットのない時代らしくていい。
ネットで調べてそれをパクるより、
オリジナルの妄想が出てくるからである。
あるいは、自分の妄想が真っ黒なテレビから出てきたとして、
今まで見てきたものと比べてどうか、
ということもイメージの世界で可能だ。
それより詰まらないなら、テレビから出す意味がないのだ。
その四角を見て、
どれだけ妄想出来るか。
それをどれだけ書くことが出来るか。
煎じつめれば、私たちのやることはそれだけだ。
2017年07月31日
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