ゲームなのか漫画なのか分からないが、
キャラ押しの広告を見つけたので議論してみる。
一夜のあやまちの相手は…?
孤高の天才
大人ズルイ完璧上司
クール鬼部長
クリックしてみると、女子向け胸キュン読み物アプリでした。
ああ、現代版ハーレークインロマンスでしたか。
フランス書院→シチュエーションAVの進化と、
まあ大差ないですな。
本題。
じゃあ、
「孤高の天才」の、出会いから口説きまでの、
台詞やシーンを書いてみたまえ。
「大人ズルイ完璧上司」は?
「クール鬼部長」は?
そのキャラのそのセリフを書き分けられる?
実のところ、冒頭部までは作れても、
そのキャラを一貫して保つことは不可能だと僕は考える。
何故なら、
人は100%そのキャラを保っている訳ではないからだ。
キャラが出てくるのは、時折だ。
人は、
「そういう場面だったら大抵の人はこう考える」
という共通のものがあるし
(そうでなければ意思疏通が出来ない)、
そう思わせておいて、
この人は独特のことを考えている、
というのが個性を描くということだからだ。
「大人ズルイ完璧上司」は、
全セリフ完璧な大人ズルイセリフを言うわけではない。
ふとしたときの台詞や考え方が、
この人完璧上司なのに大人ズルイなあ、
という呼吸があるはずだ。
普通の時もあればそういう時もある、
と言うことが分かってくると、
いつどのタイミングで言ってくれるか、
期待して待つことになる。
それはもはや半分恋に落ちているわけである。
キャラクターというのは、
毎回それではない。
「そういう傾向がある」というだけのことだ。
どんなにキャラが濃い人でも、
その人の発言を一時間録音して、
文字起こしして分析すればわかるよ。
印象に強いことを記憶して、
そうでない所は忘れてしまう、
人の記憶の機構の問題なのだ。
我々がする造型と、記憶は違うことを知っておくとよい。
で本題。
私たちは、複雑な他人というものを、
分類すると安心する。
時々そのキャラになってそうじゃないときがあると、
不安になるからだ。
ふなっしーはふなっしーであってほしくて、
キャラにふさわしくない発言はしてほしくない感じだ。
実態はそうではないのに、だ。
(テレビの中のキャラは、
毎ターンそういう発言を求められる。
指原とかね)
だから、キャラに分けるのは私たちの安心のためである。
不安定なところから逃げたいからである。
この人はこれ、あの人はこれ、
と分類し終えたら固定していてほしいし、
キャラがえなんてしてほしくない。
キャラが変わるとややこしい。
つまりテレビは安心するために見る。
ところが。
物語というのは、
そのキャラが変わる瞬間がハイライトだということを忘れてはならない。
「孤高の天才」が、
袖をつかんで「さみしい」と甘えたりする瞬間が、
女子的にはぐっと来るはずだ。
ギャップである。
「大人ズルイ完璧上司」が、
ヒロインとだけは完璧な計算が出来ない感じになるところがぐっと来るはずだ。
「クール鬼部長」が、
やさしくなる瞬間がどこかにあるはずだ。
ただ大人ズルイ完璧上司が、
完璧でズルイ口説きをやる話では、
話が一本調子になるはずで、
それじゃ5分くらいで飽きてくる。
ゲームのキャラじゃないんだから。
キャラが人間になる瞬間が面白いはずである。
それは、キャラとギャップがあるとき、
という部分になるだろうね。
キャラに分類すると安心する。
それは人の性質である。
コレクションし分類することは、人の性質である。
(博物学や分類学は科学の基礎である。
分析とは分類のことでもある)
しかし、その安心安定から、逸脱するときが物語になる、
ということを知っておくとよい。
そのためには、
まずそのキャラはこうであるという所を描き、
そのキャラでないようになるきっかけを描き、
ギャップを描く。
そして行動に出るわけだ。(ターニングポイントと焦点の変更)
女子向けだと、それは恋の行動100%なんだろうが。
僕は、登場人物の性格表など、なんの意味もないと、
よく言う。
もし、ギャップ表まで作れれば、
ちょっと意味があるかも知れないね。
行動表もね。
そしたらその行動がどうなったかまで書きたくなるよね。
それはそもそもプロットじゃないの。
だから性格表なんか、作っても意味がない。
プロットを書けばいいのさ。
キャラ分けして安心しているのは、
ストーリーテラー以外の人種だけだ。
ストーリーテラーには、安心は敵だ。
ストーリーとは不安定のことだからである。
(スマホという小さな情報量面で、
この広告は正解なのか、僕にはよくわからない。
「大人ズルイ完璧上司が、
策略を捨てて素に戻るとき」(3人キャラを一人に絞る)
なんてほうがいいような気がする。
もっとも、大人ズルイ完璧上司に口説かれたい、
というキャラ願望の充足のほうが、
女子的にはヒキがあるのかも知れない。
「100種類のシチュエーションとキャラ」がウリらしいので、
それはボディコピーにしたほうがいいと思うな)
あるいは。
ビフォーアフターの企画書でいえば、
ビフォーは安心したいと人は思っているかも知れない。
ビフォーから不安を煽って欲しくないと。
そういう人むけには、安心できる分類型の本質が効果的かもね。
そこは使い分けていきたいね。
2017年07月31日
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