2017年08月03日

序盤のリライト:あとで使うつもりだったやつをチェックしよう

リライトは、最後まで書いてからにしよう。
途中でリライトしたくなる気持ちもよくわかる。
ぐっとこらえて、筆は最後まで進めること。
(どうしてもやりたいリライトがあったら、
別紙にやることまとめを作っておく。
リライト作業の際に検討すること)

なぜなら。
「書いたときには使うつもりだったことを、
結局使わなかった伏線のようなもの」
を、炙り出すためである。


書き始めた当初は、
これのあれを後々使おうと思いながら書いている。
しかし、
途中で気が変わったり、
途中で別のものに夢中になってそれをすっかり忘れていることが、
とてもよくあるのだ。

これは経験則である。

最後まで書き終えたときにしか、
「それは使ったか/使ってないか」が分からない。
だから、最後まで書き終えることが、
リライトの最低条件になるのだ。

リライトとはつまり、
「機能していないところを切り落とし、
機能する部分だけを残して機能させること」
に他ならないからである。

勿論それには、
微調整のような変更や、
大幅な変更もあるかも知れない。

しかしどのパターンでも、
「そのときは使うつもりだったのに、
最後まで結局使わなかったもの」
が残ることが、
とてもよくあるのである。

これを、
「財布の中に入れたままのコンドーム」
にたとえることにしよう。



何故これを狩るべきか。
伏線だけは張られて解消していない、
という発見をするため。
あるいは、ハッタリになっているものを刈るためである。

実質のストーリーラインは、最低限なんなのかを、
浮き彫りにするために草刈りをするのである。
その結果、水を浴びた猫のように、痩せ痩せであることが分かるかも知れない。
ならばしめたものだ。
充実するように書き直せばいいのだ。

もともと、
伏線とその解消部分を考えると、
伏線のほうが長い場面であり、
解消のほうは一撃(一行とか)であることが多い。
そのほうがドラマチックだからだ。
ということは、
あとで使われないものは、
一撃ではなくそれなりに長い場面だということ。

ということは、バッサリそれを落とすと、
随分スッキリするということである。


とくに、
序盤にそういう場面が多い。

序盤を第一稿で書いているときは、
どれをどういう順番で使うか、
細かくは決めていないからである。
そして、
恐らくこれのほうが大きいと思うのだが、
「書いている自分がその世界に慣れるために書いている」
部分がとても多いはずだ。
まだ書き手でしかなくて、
観客になれていないのだ。

だから、「これはあとで使うかも知れない」と、
トランクに沢山荷物を入れて、
旅を始めてしまうのだ。


旅の行程が全て決まっていれば、
トランクは半分になるかも知れない。

そうすれば、身軽になれて尺はコンパクトになるし、
あるいは豊かな描写を詰め込んで豊かになるかも知れない。
キャラクターを示す小エピソード挿入の余裕も生まれるかも知れないわけだ。

序盤のリライトの困難さは、
何度も何度もリライトした人間だけが知っている。

「どこまでの情報を残して、
どこまでの情報を捨てるべきか」が、
分からなくなるのだ。

「あとあと使わないやつは捨てる。
あとあと直接使うやつは残す。
あとあと使えそうなやつは、
使うように書き換える」が原則だと思う。
その上で、次の取捨選択をやればいいと思う。


財布にコンドーム入ったままだったろ?
結局使わなかったのにさ。

使わないと分かったんだから、捨てるんだ。
軽い財布になったら、
展開はまた変わってくるかも知れないぜ。
posted by おおおかとしひこ at 01:10| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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