2017年08月07日

○盤には○盤の面白さ

序盤には序盤の面白さがある。
中盤には中盤の面白さがある。
終盤には終盤の面白さがある。

それらは一致しない。
別のところに現れもしない。


列挙してみよう。


序盤の面白さ:

一体なにがはじまるのか、引き込まれる冒頭や謎
なるほどこういう見方をする話か、という理解
新しい話がはじまったぞという期待
まず何かに惹かれること(何かに引っ掛かってくれればいい)
主人公への興味
シチュエーションへの興味
感情移入や共感(第一印象)
主人公に足りないものや渇きを見て、テーマを想像すること
あるいは、それが満たされるといいなあと想像すること
最初の世界の魅力(必ずここから壊れて行く)
最初に起こる事件
これは最後に使われるんだろうなという予想
周囲の魅力
予想もつかない方向へ転がり始める
主人公が決断せざるを得なくなる
危険な世界へ踏み込む怖さと期待感
主人公が一歩踏み出す決意をする


中盤の面白さ:

世界が広がって行く面白さ
この世界の原理(作中の範囲内でよい)がわかって行く面白さ
色んな曲者がいる面白さ
行動に立ちはだかる困難や障害
それを乗り越えて行く展開
動機への感情移入
主人公以外(敵味方問わず)への感情移入
最初のビッグイベント
最終目的への見通し、今どのへんかの確認
快進撃
大ピンチ
起伏のジェットコースター
次にどうなるか分からない楽しみ
揺れる感情を味わう
どちらも苦い二者択一
まさかのどんでん返し(前半と後半で衝撃度が変わる)
隠された秘密の暴露
そういうことならこういうことかも、という予想
それが当たったり外れたりする面白さ
ここへ向かうのだろうと思いきや違う方向へのツイスト
伏線の解消(あれのあれはそういうことだったのか!)
期待通りの展開
期待を裏切る展開
どんどんエスカレートする
破綻することもある
一見不可能と思えたことが、見事に覆される
はっとすること
ほっとすること
衝撃の展開
そうなってほしくない悲劇が起こってしまう
解決したかと思ったのに、まだ奥があった
新展開のワクワク
新事実の発覚による焦点の移り
サブキャラ同士の物語
表と裏の対比
失う痛み
得る喜び
動機の強化
観客との強い感情的繋がり
いよいよクライマックスという予感
暗黒からの脱出、大逆転
最大の困難の登場
テーマに触れること
タイトルの意味がわかること
テーマがきっとこうだろうとわかること
最後まで見守りたいと思うこと


終盤の面白さ:

最強の敵との最大の闘い
これを得れば最高の結果、失えば最悪の結果
あのときのあれがここに効いた!
これまでの全員がここに来る
最大の決定がなされる
テーマを示すピーク
絵的なイコン
主人公のカタルシス
最高にかっこいい
最高にやりきった
大団円、またはバッドエンド
余韻
ラストシーンでテーマが確定すること
もう二度と彼らには会えないが、きっと彼らはこれ以降こうであろうということ
タイトルの意味は最後にわかることもある
私の見たものには意味があった、と思える何か



思いつくままあげてみた。
順不同だ。
他にも沢山あるだろう。
勿論全部入れろとは言ってない。

なんか面白くない、というときのヒントにしてもよい。
この面白さは○盤の面白さではないから削除したり移動する、
という基準に使ってもよい。
自分に足りないものはこれかも、と、
そのことについて深く考えてもいい。

○盤には○盤の面白さがある。
それは、体験には序盤と中盤と終盤の、
それぞれの面白さがある、ということを言ってるにすぎない。

しかしそれらがちぐはぐだと、体験という面白さにならないんだよね。
posted by おおおかとしひこ at 22:46| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。