2017年08月10日

一枚の地図を持ち歩く

誰もが無意識にこれをやってるかもしれないけど、
もし知らない人がいたら、
と思って書いてみる。

一枚の紙(デジタルではなく物理の紙)に、
ストーリーを一覧できるものを作って、
肌身離さず持ち歩き、常に見よう。



フォーマットはそれぞれの流儀で構わない。
丸で囲んだり、矢印で引っ張ったりなどの書き込みがあるだろう。
線を引いて強調したり、目立つところは大きく書いたりもするだろう。
手書きのほうがデジタルでつくるより柔軟なので、
手書きでつくることをおすすめする。

で、その大きさのオススメはA4だ。

手帳サイズだと小さすぎて一覧できない。
ノートの見開きになると大きすぎて、これも一覧できない。
一覧には一覧に適したサイズというものがある。
経験上、A4。

必ず、最初から最後まで書いてあること。
(途中なら途中まででもいい)

それを飯食いながら、移動中、寝る前、風呂に入るとき、
ひまなとき、四六時中眺めるのである。

それは、そのストーリーに自分を慣らす、
という意味が含まれている。
何度も何度も、頭から結末まで頭の中で通し、
それがベストだろうかと考える為にもある。


それが手書きだと、
まだまだ直せるという雰囲気があるので、
全然直して構わない。
消しゴムで消すより、二重線で消した方が、
あとで復活させられるのでオススメだ。

また、
書き込みすぎてごちゃごちゃしてきたら、
新しく整理したものに書き直すのもオススメである。
カンニングペーパーをつくるときみたいに、
「一覧性の高いもの」を何回かつくると、
その内容に慣れてきて、覚えてくるものである。

何バージョンかつくって、
比較できるように保存しておくのもいい。
紙のいいところは、並べて一覧できることである。
なんなら壁一面に全てのバージョンを並べて、
前を歩きながら、並べ変えたりしてもいい。
コピーをとってそれをやれば、オリジナルを傷つけなくて済む。
コピー代なんて100円もかからない。
これはデジタルじゃできないことだ。


とにかく持ち歩く。
いつでもどこでも見る。
デジタルのものは開くまでに時間がかかる。
紙ならカバンから出せば0秒だ。
飯屋で注文して、A定食が来るまでに、
数回頭の中でシミュレーションできる。
風呂の中ですら考えられる(コピーはとっておかないとね)。
トイレの壁に貼っておいてもいい。
スマホでは小さい。
タブレットやノーパソでは開くまでにかかる。
枕元で見ながら先に寝ても、ずっとそこにありつづける。
いつでもどこでも永遠に見れる、紙を利用することだ。


その紙を折って、削るところをシミュレーションしてもいい。
ブロックを入れ替えるシミュレーションをしてもいい。
ストーリーの変更をしたり、
新しい要素を付け加えてもいい。


とにかく、
一覧できる地図を常に持ち歩く。
そうすればいつの間にか、ストーリーは形になってゆく。

どこかのノートに部分を書き散らしていても、
アイデアを箇条書きにしていても、
設定の一覧表を書いていたとしても、
「ストーリーの全体の一枚の地図」は、
常に見ておくこと。

三日。一週間。一か月。半年。一年。数年。
とにかくたった一枚にまとめた、
(何バージョンかある)その全体像を、
いつもいつも眺める。
毎日十回二十回見る。
そうすると、いつもそのストーリーを考える癖がつく。

ああするとどうなるか、自分はどこができていないのか、
ここは前のバージョンのほうがよかったのではないか、
あとどこを埋めれば完成なのか。
部分と全体の関係。
サブプロットの足し引き。
シーンの順番。

一枚の地図は、試行錯誤すればするほど頭の中にしみこみ、
そのうちそれを見なくてもストーリーの全体が頭の中に入る。
頭に、というよりは、体の中に、という実感だけど。


僕はよく一人飯のときに、
ずっとこの全体図を見て、部分のことや全体のことを考えている。

汁や跳ねた油がついても気にしない。所詮使い捨ての紙である。
ぼろぼろになるまで見たりしない。
たいがい何か思いついて、
何かを変更して、
しょっちゅう新しいバージョンに変わっていくからだ。


その一覧できる地図のいくつかのバージョンは、
定期的に見返して、
前にあったけど忘れてしまっているアイデアをサルベージするときに使う。


アイデアノートは別につくる。
たまってきたら常に持ち歩ける量ではなくなる。
だがいつも見る用の一枚地図だけは、常に持っている。


その話は、いったいどういう話か?
全体像を最初に固定するのは、あなただけである。


(ブレイクシュナイダーのカード法に少し似ている。
日本の狭い事情に合わせて、A4一枚という手法なのかもしれない)
posted by おおおかとしひこ at 17:23| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。