2017年08月20日

【カタナ式】なぜQWERTYローマ字は、不合理にも関わらず広まったのか

僕はQWERTYローマ字の不合理さに怒って、
何も知らずに、少なくとも自分が快適に打てるカタナ式をこしらえた。
で、色々なことを調べ、飛鳥配列もやってみた。
(ブラインドタッチまでは来たが、挫折した)
世の中に色んな配列が稼働していることも知った。

で、何故不合理なQWERTYローマ字が、
ここまで支配的になっているかを考えてみる。

僕は、ブラインドタッチが出来なくても、
なんとなく打ててしまう配列だから、と考える。
(左右交互打鍵率もそこそこ、アルペジオ率もそこそこ)


僕は、さいきんしばらく書いているが、
ブラインドタッチができる人から比べたら、
障害者レベルで薬指と小指が動かない。
だから、人差し指中指を使って、
4本指打鍵をQWERTYローマ字でしている。

(厳密には、スペースの親指と、
小指のエンターBSがあるから6本指打法だ)

母音のA、近辺のWSZあたりは左中指だ。
OPは右中指。

つまり、ブラインドタッチでなく、
キーボードを見ながらであれば、
この指使いでそこそこ打ててしまうことが、
QWERTYローマ字の最大の長所なのではないか?

事実、ブラインドタッチができる人は、
4割いるかいないかだという。

調査の仕方によって変わってくるだろう。
僕の職場(映像製作)では、2割を切ると思う。


見ながら打つのであっても、
アルペジオや左右交互打鍵で加速することもある。
だから、おそらくは、
50音順配列より速く打てるように思う。
銀行や本屋の検索マシンだと、
却って次の音を探すのに戸惑う。
それは、アルペジオや左右交互打鍵で加速するポイントがないからだ。
(もっとも、50音順配列をある期間使えば、
左右交互打鍵やアルペジオを発見できるかもしれないが)

逆に、「そこそこ打ててしまう」ことが、
6割の人に対して、
「わざわざブラインドタッチを学ばなくても」
と思わせるのだと思う。
(僕は560字/10分のペースでは打てていた。
調子いいときは600くらい打てていた。
これは準一級レベル。ブラインドタッチではないが)


僕は脚本書いたり小説を書いたりするから、
打鍵効率をあげようと思って、
QWERTYローマ字の不合理さをなんとかしたかった。
左小指でAは打てない。エンターBSを右小指で打てない。
そんな大事なものは人差し指だろと。

6割の、そこそこ打てる人は、
そう思ったとしても、そこまで沢山打たないのだろう。
あるいは、そこまで打つ前に、文字うちをやめてしまうだろう。

「小説を書くなんて大変ですね、
あんなに字を書けないや」なんて感想を言われることがある。
いやいやいや、あんた一日にもっとしゃべっとるやないか。
書けないのは、文字うちシステムが悪いと考えないのかいや。

QWERTYローマ字は、
ブラインドタッチを本格的に学ぼうとしたら、
急に難易度があがる。
左手を酷使する。薬指と小指が嫌になる。
TYBあたりがどうしてもスッと打てない。
あとついでにエンターBSが遠い。
コントロールキーのショートカットに割り付ける方法も検討したが、
そもそも左小指が痛いのでさらに左小指を酷使できない。
(変換無変換あたりにバインドするのは、
そのときは知らなかった)

「正しい指使い」は、
急に小指薬指を滑らかに使うことを要求してくる。
これを100%の人に要求するということは、
そもそも「鍵盤」というシステムがおかしいのだ。
(英語の打鍵に関してはやらないので知らない。
仮名漢字変換を用いない、そのまま打てば完成の英語は、
鍵盤で事足りるのかもだ)


QWERTYローマ字はつまり、
見ながら打てば4本指打法程度で、そこそこの速度が出るが、頭打ちになる
突破しようとブラインドタッチしようとすると、急に難易度がはねあがる

という、頭打ちのシステムなのではないだろうか。

勿論、鍵盤を鍵盤として使える指を持つ人からすれば、
QWERTYローマ字<JISカナ<親指シフト<月配列、飛鳥配列、新下駄配列
のような効率のヒエラルキーがあるだろう。
僕だって指さえあれば新下駄やりてえさ。



武術の世界の話をちょっとする。
最強の武術は何か?という話がいつもある。
しかし、何をもって最強とするかという話がある。
弱い人がそこそこ戦えるようになる武術と、
才能が絶対的に必要で、それを最強に強化する武術では、
どっちが強いか?
という問いがある。
あるいは、戦争が起こったとき、
そこそこ戦えるようになるまでに三ヶ月の武術と、
使えるまで10年かかる武術では、どちらが役に立つか?
という問いがある。

弱い人でもそこそこ戦えるようになり、
かつ三ヶ月でなんとかするのは、
極真空手、柔道あたりが代表的だ。
才能が必要で、十年かかるのは、
太極拳あたりだ。
才能は必要ないが、十年かかるのは合気道かな。

空手や柔道は、だから、集団を育成するのに向いている。
ちなみに自衛隊格闘技として知られる日本拳法は、
乱暴にいうと空手+柔道である。
よその軍隊でも似たようなもので、
シラットだろうがシステマだろうが、
速習性とそこそこ強いを両立している。

最強になるには個人の練度次第、
底辺や平均値を上げる、というのが軍隊の考え方だ。

逆に太極拳は、選ばれた者しか強くなれない、
不思議な武術だ。
陳式は槍を先にやったほうが螺旋が身に付くので強くなれると思う。
楊式は打撃力は別に鍛えないとダメだろう。
八卦掌も同じで、システムは面白いが、
強くなるには打撃力を別に鍛えないとダメだろう。
(暗器前提でもあるけど)


QWERTYローマ字はつまり軍隊の考え方だ。
しかも、上級者を目指そうとすると、
急に太極拳になって、
それだったらもっといいやつがある、
という配列だと思う。

普及する、という点において、
軍隊の考え方だから速い。

しかし「長文を疲れずに長期的に打つ」という、
達人レベルにはなれない配列で、
それをやろうと思ったらクラスチェンジが必要、
という厄介な世界が広がっているわけで、
じゃあみんな空手柔道に戻ってくるよね、
ということになる。

結果は、「誰も長文を打たなくなる」だ。


QWERTYローマ字は、パソコンを日本に広げるのに一定の機能を果たした。
速習性のある軍隊格闘技のようにだ。
しかし修行をしただけ強くなる軍隊格闘技と違い、
初段以降急に難易度がはねあがり、
かつ最強になるには別の武術を一からやらないとダメなものであった。


不合理だろうがなんだろうが、
我慢して短文を打つしかないんだよ。
他の配列は急に難易度があがるんだもの。

おそらく、これがデファクトスタンダードの理由だと思う。


カタナ式は、この現状を変えられると、
僕は考えている。
ということで普及させるにはどうすればいいかを考えている。
俺が小説で賞取るのが一番速いという説もある。
日本人は独自に判断するのではなく、
思考停止して権威の形を真似する民族だからね。
まあそれは、これから考える。


QWERTYローマ字は、日本人の即戦力を上げたが、
同時に頭打ちにしている。
即戦力を上げ、かつ習熟すれば最強は個人次第の、
軍隊格闘技のようになるのが、
理想の配列であると考えている。

まあそれがないから、
最強の武術とは何か?みたいな論争があるんだよね。
総合格闘技だって、武器や集団には弱く、
集団戦闘を学んだ中国拳法のほうがいい、
という説もある。

すべては、使う文脈だということかね。


QWERTYローマ字は、速習性と不合理さが、
二律背反的にある配列なのかもしれない。

しかしフリックのほうが、今日本語では主流なのかね。
僕はここのブログは、8割がたフリックで書いてるからねえ。




余談。
僕は差別的意図が含まれると知りながら、
「ブラインドタッチ」を使い、代替語の「タッチタイピング」を使っていない。
それは意図的だ。
ブラインドタッチには、「出来ないもの」のニュアンスがあり、
タッチタイピングには、できる人からのニュアンスがある。
出来ないものを、出来る側から論じれないので、
僕はやはり、
「手探りで覚えるしかなく、目の見えない人はこんなに辛いのか」
と発見を伴う、ブラインドタッチをつかっている。
タッチタイピングに代わる、できる人からのニュアンスでないものがあれば、
それを使うだろう。
posted by おおおかとしひこ at 15:31| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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