> 骨格のレベルでおかしな他人の作品を見てしまうと、その作品が脳を占領してしまいとても苦しいのですが、何か対処法はあるのでしょうか? 今の私には他人の作品を自分でリライトしきるだけの実力がなく、いつまでもそのダメな作品が頭に残ってしまい、とても苦しいです・・・
深淵を覗き込んでも、深淵に呑まれてはなりません。
とても簡単なことです。名作を沢山見てください。
名作こそが私たちの目指すものであり、
名作こそが私たちの心に光をもたらすものです。
どんな人の心をも洗い、人を前向きにするもの。
それこそが宝です。
ところで、名作を見てると気づくことがあります。
全ての名作が、完璧な脚本ではないことです。
完璧な骨格とディテールを持ち、
かつ最高のストーリーと出来であるものなんて、
十年に一本といったところなので
(最近だと「ズートピア」「きっとうまくいく」あたりかな)、
そこまで名作の敷居を上げない限りにおいては、
ほとんどの名作は、
どこかしら欠点を抱えていると考えます。
それは、人間も同じだと思うんですよね。
とても魅力ある人間が、
性格がちょっと歪んでたり、
そもそもの認識がちょっとおかしかったりすることは、
よくあることです。
人間ですからね。
それを、理想のなにかに矯正してしまったら、
つまらない人間になるかもしれません。
せっかく味のある顔だったのに、
理想的なバランスになるからといって、
整形してしまった美人芸能人みたいになってしまう可能性もありますよね。
その強烈なオリジナリティは、少々の破綻から生まれているのかもしれません。
千ドルさんの言う、「骨格からおかしい」のが、
どれくらいおかしいかちょっとわからないのであれですが、
一本の名作の下には、百の駄作があることを知っておくのもいいでしょうね。
糞に時間をかけるのは、時間の無駄です。
もっとよいものを探しに行く旅に、時間を使ったほうが有意義です。
このブログを始めた頃から、
「大岡の選ぶ映画100」なんてのをつくろうとずっと思っているのですが、
候補が3000以上になってしまって、
改めて見る時間がまったくないので、
ちょっとやめているところです。
(ご存知の通り、僕はちょっと記憶があやふやなところがあるので……)
なので、誰かのオススメ100を適当に探せば、
まだ会っていない名作に会えるかもしれません。
昔は「クレア」とかによく特集されてたのになあ。
もう休刊しちゃったのかなあ。
もしドラマ「風魔の小次郎」を見てないのなら、
6時間半一気見するととても面白いですよ。
予算は深夜のU局の絵ですが、出来は最高です。
4話がちょっとたるいけど、5話以降は全てがベストエピソードの勢いです。
昔僕の「オールタイムベスト」も上げたので、
少なくとも20本は退屈しなくてすむでしょう。
(オールタイムワーストも別記事に上げました。
全ての映画はその間の空間ということになります)
物語は毎日食べる食事のようなものです。
まずかったらその店にはいかない。
うまかったらその店にリピートする。
店のシェフとは、監督または脚本家。
そうやって、少しずつ系譜をたどっていくだけで、
かなり時間を使いますよ。
(昔はwikiなんてなかったから、監督名をたどるのはとても難しかった。
それでもたどること自体がとても楽しかったですねえ)
あるいは、
60年代から80年代のアカデミー賞作品賞、脚本賞、監督賞あたりは、
とても良心的な名作が多いので、
それを手繰るのもよいです。
自分の知らない時代の作品を見ていくのも楽しいです。
古本屋で昔の映画雑誌とかをゲットすると、
当時のベスト100とかを見れて、
その解説が参考になったりします。
つぎ見る映画は、そんな見方でどうでしょう。
ネットにはそういう情報も置いてないしね。
ネットの情報がすべてじゃない。
アマゾンとかネットフリックスの自動オススメなんて信用しちゃダメ。
解説者としての責任が問われる媒体での、オススメが良いです。
タモリの名言を。
多趣味が長続きする秘訣を聞かれて。
「まず最高のを経験すること(そうすればその素晴らしさを分かり、
その後たいしたものが来なくても、わりと楽しめるから)」
タモリには、ぜひ嫌いなミュージカルの最高傑作を見ていただきたいものですなあ。
(「レ・ミゼラブル」か「ムトゥ・踊るマハラジャ」か)
私の「骨格からおかしい作品」というのは、テーマを感じ取れない作品や、シーンのモンタージュがテーマをあらわすようにできてない作品のことです。
作者の伝えたいことがわからない→ その作品を見直す・その作品のことを考えてみる→ やはりわからない、というループになってしまいます。
ダメな作品に時間を使うのがムダなのは分かってはいるのですが、なかなか頭から消えてくれず苦しいのです。。。
ご紹介いただいた名作発掘法でリハビリをしたいと思います。どうもありがとうございます。
そもそも伝えるために作ってないし、
モンタージュをそのように組み立てていなければ、
そのようにもなってませんね。
プールに入れた時計の部品が、かきまぜただけで勝手に組上がることはありません。
ためしに、文字をランダムに打ってみます。
なほゆめこめのっねそけてねへ)!ねこえてねんねおて
これに意味がないのと同じです。
意味を作るために苦労して、
意味を作り得たものを見た方が、
無意味の深淵を覗きこむよりよほど健全。
きちんと生命の吹き込まれた作品を探す努力をします。どうもありがとうございます。