「ちょっとそれ面白そうですね。
話を詳しく聞かせてください」
という言葉。
これからそれで一個ビジネスが出来るかも知れないし、
ぽしゃるかも知れないけれど。
最近の映像業界は、
「それは数字を稼げるのか」しか問われない。
俳優を抑えたのか、市場調査は、
ネットの動向は、競合は、などなど。
そもそもそれを見ようとするのは、
「面白そうだから」であり、
満足するのは、
「面白かったから」であり、
人に薦めたりそれについて語るときは、
「面白かったから」のはずだ。
それをないがしろにして、
人気俳優確保の是非や、
未来でなく過去の市場統計を根拠にして、
稼げるか稼げないかを判断するのは、
バカじゃないのかと、
僕は常に批判している。
もはやそれは、「面白いかどうか、判断に責任を取れない」
と言っているに等しい。
「僕は面白いと思うんだが、
それじゃ上を説得できない」なんて良く言われる。
「それがあんたの仕事でしょうが。
面白いと思うものをビジネスにするのがプロデュースってことでしょう」
と喉まででかかった言葉を飲み込んで、
「じゃあ僕が話にいきましょうか」とお母さんみたいなことを言わなければならない。
あるいは、心のなかで、こいつはダメだと諦める。
そもそも僕が上を説得できたら、
間に入ったその人はバカだとばれてしまうから、
その人は永久に僕を連れていくことはない。
これが今の日本の惨状の原因だ。
「面白いと思ってくるくせにビジネス化できない」だ。
で、先日聞いた言葉が、
冒頭のものだ。
久しぶりにこの人は好奇心で仕事をしている、
と感じた。
僕らはエンターテイメントビジネスである。
好奇心をお金に変えるのではなかったのか?
好奇心とは、
人気俳優を見ることと市場統計から出てくるの?
好奇心がない人の台詞だぜ。
映画というものは、好奇心で見るんじゃなかったっけ?
流行ってるから見るんだっけ?
「流行ってるから見る」んだとしたら、
その最初の流行りはどうやってつくるんだっけ?
ごり押し?各事務所の持ちまわり?
考えれば考えるほど、
好奇心という言葉が輝きを失う。
なにそれ?面白そう!
僕は一生そうやって生きていきたいし、
そういう仕事についたつもりなのだが。
2017年08月25日
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