2017年08月25日

最近聞いたいい話

「ちょっとそれ面白そうですね。
話を詳しく聞かせてください」
という言葉。

これからそれで一個ビジネスが出来るかも知れないし、
ぽしゃるかも知れないけれど。


最近の映像業界は、
「それは数字を稼げるのか」しか問われない。
俳優を抑えたのか、市場調査は、
ネットの動向は、競合は、などなど。

そもそもそれを見ようとするのは、
「面白そうだから」であり、
満足するのは、
「面白かったから」であり、
人に薦めたりそれについて語るときは、
「面白かったから」のはずだ。


それをないがしろにして、
人気俳優確保の是非や、
未来でなく過去の市場統計を根拠にして、
稼げるか稼げないかを判断するのは、
バカじゃないのかと、
僕は常に批判している。
もはやそれは、「面白いかどうか、判断に責任を取れない」
と言っているに等しい。


「僕は面白いと思うんだが、
それじゃ上を説得できない」なんて良く言われる。
「それがあんたの仕事でしょうが。
面白いと思うものをビジネスにするのがプロデュースってことでしょう」
と喉まででかかった言葉を飲み込んで、
「じゃあ僕が話にいきましょうか」とお母さんみたいなことを言わなければならない。
あるいは、心のなかで、こいつはダメだと諦める。
そもそも僕が上を説得できたら、
間に入ったその人はバカだとばれてしまうから、
その人は永久に僕を連れていくことはない。

これが今の日本の惨状の原因だ。
「面白いと思ってくるくせにビジネス化できない」だ。


で、先日聞いた言葉が、
冒頭のものだ。

久しぶりにこの人は好奇心で仕事をしている、
と感じた。


僕らはエンターテイメントビジネスである。
好奇心をお金に変えるのではなかったのか?

好奇心とは、
人気俳優を見ることと市場統計から出てくるの?
好奇心がない人の台詞だぜ。

映画というものは、好奇心で見るんじゃなかったっけ?
流行ってるから見るんだっけ?
「流行ってるから見る」んだとしたら、
その最初の流行りはどうやってつくるんだっけ?
ごり押し?各事務所の持ちまわり?


考えれば考えるほど、
好奇心という言葉が輝きを失う。

なにそれ?面白そう!

僕は一生そうやって生きていきたいし、
そういう仕事についたつもりなのだが。
posted by おおおかとしひこ at 09:45| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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