2017年08月31日

安定供給

電気も、食料も、給料も、愛情も、
安定供給が世の中の前提である。
地球が太陽を回って、季節が巡ることと関係してるかも知れない。
これらが不安定な供給になったら、
生活の基盤が崩れる。

娯楽はどうだろう。


あなたは一定以上のクオリティーの作品を、
一定周期で生めるだろうか?

アマチュアのときには考えもしなかったことが、
プロの世界になるとやってくる。

思いつくまで出来ない人は、
おいてけぼりにされる。
生涯で一回だけラッキーパンチを当てた人は、
すぐに枯渇する。

娯楽産業は芸術ではない。
正確に言うと芸術を安定供給する。

純粋な芸術ならば、思いつくまで待つ。
ある日雷が落ちてくるのを待ち、
落ちてきたら書く。

雷が落ちないなら、一生待ちぼうけだ。


それで後世に残る素晴らしい芸術を作れれば、
僕はそれでも構わないと思う。
人生観の問題だ。

一方、プロというのは、雷待ちは出来ない。
定期的に我々は企画を書き、
色々な所で定期的に何かをしなければ、
食料の安定供給が保たれないのだ。


さて。

その為に何をするといいのだろう。
沢山映画を見たり、本を読んだり、
演劇を見たり、音楽を聞くといい。
これは昔からある方法だ。
雑学を集めるのもいい。
過去の新聞を見て、気になる実在の事件を探すのもいい。
他人と雑談したり、人生で辛い目にあったり嬉しい目に遭うのもいい。

それだけ?
それだけ。


安定供給出来るかどうかは、
要するに数を常に出せるかどうかということ。

これは若いうちに訓練しておかないと難しい。
柔らかい頭で、次々に発想のギアを変えていく練習をしておかないと、
なかなかそれを学ぶことは出来ない。
最初から出来る人もいるけど、
浅く広くになりがち。

浅く広く、よさげなやつは深く掘る。
また浅く広く、よさげなのを見つけて深く掘る。

その平行移動と垂直移動が出来ないと、
安定供給は難しいだろう。

石油を掘るのと同じかもね。
平行移動しないと枯渇するし、
深く掘らないと使い物になるかどうか分からない。

石油探索犬なら、ここ掘れワンワンっていうだけでいいけど、
(トレンドセッターとか、雑誌的網羅とか)
我々は、そこから使い物になるお宝をもって帰らないとだめだからね。


昔は本屋でそういう情報が仕入れられた。
チョイスが吟味されている本屋を見つけて、
そこをハシゴすれば大体わかった。
今はネットが膨大すぎて、
トレンドと呼べるほどのものが生まれにくくなっている。
少量多品種の行き着く先だ。
本屋は壊滅しつつあり、情報が揃うということは、
あまりなくなってしまった。

つまり、ネタが安定供給されなくなっている。


こういう時代だからこそ、
「自分の知らないところに首をつっこむ」は、
重要かも知れない。
でもそれが得意なのは、リア充だろうね。


どのような方法でも構わない。
ネタを片寄りなく安定供給されるように環境を作ろう。
世界に触れよう。深く、浅く広く。

それでも作品のクオリティーを安定供給出来ないなら、
それは才能の問題か、
練習が足りてないだけだ。


僕はすぐ100本とかスパルタな数を出すことを勧める。
それはそういう練習をしろということ。

たとえばプロット出し100本やれば、
自分の今の打率がわかる。
全てはその打率を上げる練習からだ。

安定供給出来るプロというのは、
10打席10ヒットのことだ。
(振り逃げとか反則もちょっとならOK)
過半数を割ったとき、人は離れていくよね。
posted by おおおかとしひこ at 13:01| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。