2017年09月05日

行動、行動、そして行動

映画とは一言の動詞で書ける、と書いた。
最も多く行動する人間が主人公、とも書いた。

しかし、書けない人ほど、初心者ほど、
行動しない主人公を書くのはどうしてか。

間違いを覚悟で書く。
「行動で人生を変えたリアリティーがない」からだ。


物語とは開拓である。
主人公が世界には不必要な「目的」を持ち、
その意思を最後まで通して達成するまでを描く。

それって世界からすれば大迷惑だ。
余計なことすんなよ、と主人公は言われるのだ。

それは勝算あるんですか?
他に成功した例は?
知らんがな。
そんなもの関係なく、そんな心配や反対や冷笑を受けながら、
主人公は世界を開拓して、最後には勝つのである。

それは目的達成に強い動機があるからで、
しかもそれが称賛されるのは、世界を少し良くするからだ。
(勿論ピカレスクロマンのように、
悪を主人公とする例もある)

主人公は称賛される。
しかしラストだけ。
それ以外は、迷惑なことを言う気違い扱いされてもおかしくない。

にも関わらず、主人公は持ち前の行動力、ガッツ、
知恵、機転、特技、勇気、内面の成長などで、
いずれみんなを驚かせる成果をものにするのだ。


どうだい?
人生の成功者を描くのが、ハッピーエンドというものだ。
あなたは成功者かい?

ここに、ストーリーテラーの矛盾がある。

ストーリーを作ろうとする人は、
そもそも成功なんてしたことがない。
だから成功する物語を書きたいと思う。

成功した人は脚本を書かない。成功した人生を楽しんでて忙しいから。
成功してない悶々としたやつだけが、
暗い情熱で才能を磨き、積み上げる、
長い長い地獄に耐えることが出来る。
リア充は脚本を書かない。

だから、
成功してない人が成功する人の話を書く。
これが矛盾だ。

成功してない人が、どうしてリアリティー溢れる成功が書けるのか?

困った事態になったとき、
主人公が何故か助けられたり、
主人公が何故か何もしていないのに受け入れられたり、
主人公が偶然都合良く成功したりしてしまうのは、
あなたが自分で人生を切り開いて成功したリアリティーがないからだ。

メアリースーの正体は、モテナイ君である。


何故か主人公には全能能力がある。
何故か主人公は皆に愛されている。
何故か主人公はラストにしか活躍しない。
しかもちょっとしか力を使わない。

その妄想は、自力で人生を開拓したことのないやつの、
甘い人生観だ。

男は家を出たら7人の敵がいる。
何を提案しても跳ねられる。
せっかくのアイデアは泥で上塗りされてゆく。
いつも集団は無能ばかり。
優秀なやつはやめていく。
上は臆病なバカばかり。
バカな女はイケメンしか見ていない。

そういう現実と向き合って、それらを部分的成功にでもいいから、
導いたことがないから、
ストーリーが困ったら、
何故か主人公にとって風向きが良くなるように書いてしまう。

それを一般にご都合主義というのだが、
ご都合主義の正体は、
作者の人生経験の無さである。

本当に人生経験があれば、
ご都合主義の展開にすら、
リアリティーがある。
ご都合主義にしてしまって気づかないのは、
それがご都合かどうか判断できる、リアリティーを知らないからだ。
(知っていれば恥ずかしくて出せもしないだろう)


何故ヒロインは主人公に惚れるのか。
何故主人公の告白は成功するのか。
それをうまくリアリティー溢れるように書けないのは、
そこにリアリティーある経験が不足しているからだ。

これは、「殺人者でないと殺人事件が書けない、わけではない」
と同じではない。
別に殺人者のリアリティーがなくたって、
殺人事件が起こったあとから、それを解決する人々を描けばいいだけのこと。
そして多くの殺人事件のストーリーは、
事件がメインではなく、解決して行く過程がメインだ。

同様に、
ストーリーとは、成功してないことがメインではなく、
そのスタート地点から成功するまでの行動の羅列がメインである。


どうしてあなたはいつもストーリーが書けないのか?
主人公が行動して行動して行動して、
ついには成功するような、
その沢山の行動と周囲の反応と周囲の変化が、
書けないだけなのだ。

主人公はリーダーだ。
リーダーが世界を切り開いていくのを書けないだけなのだ。

勿論、全てを想像で書いたっていい。
殺人を経験してから殺人事件を書かなくてもよい。
だとしたら、それは「ほんとうだと思えるほどに」リアルに書かれていればいい。

あなたの考える、ほんとうだと思えるほどの、
行動と行動と行動と、反応と反応と反応は、どういうもの?
それを想像して書けばいいだけだ。

想像しきれないとき、取材するといい。

どう取材すればそのヒントに出会えるかは、
あなたしか分からない。
「あなたがその成功をリアルに想像できるもの」を取材しなさい。
なかなかうまく見つからないだろう。
逆に、見つかったときが書けるときだと思うといい。


ところで、主人公は何回行動するんだろう?
二時間フルにだ。
覚えておくことだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:17| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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