2017年09月17日

挿入は、順番を考慮しよう

リライトをするとき、何かを挿入しておきたくなるよね。

ABCという一連の中にDを挿入するとしよう。
どこがベストなんだろう?


それは結局、元のABCが、どういう構造をしているか、
DがABCとどういう関係を持っているかで決まる。

ABの関係が強いとき
正解は、
D-AB-C
AB-D-C
AB-C-D
のどれかだ。

BCの関係が強いとき
正解は、
D-A-BC
A-D-BC
A-BC-D
のどれかだ。

関係が強い、というのは、
そこが連続していたほうが、
わかりやすい、面白い、
といったものを指す。

DとABCの関係で言うと、
何かを知ったあとにDが来た方がよい
(たとえばネタバレになってしまう、
逆に変な伏線になってしまう、
あるいは、のちのちの初出が効かなくなるなど)ならば、
Dは後半の方が正解だろう。
逆にDを前の方に挿入することで、
そのあとのBC部は、D前提の部分を削除することが可能になるだろう。


文章は、理系の回路設計に似ている。
基本的には積算すれば文意が出るはずなのだが、
実戦ではそうではない。

言う順番が変わることで、
省略法が異なってくる。

それは、「一回言ったことは、もう一回言わなくていい」
というルールが働いているからだ。
冗長のカット、とでも名付けておくか。

流れるような文章は、
この冗長が適宜カットされている。
逆にわざとカットを刈り込んで、
想像に任せられるようにまでする場合もある。
(上級者テクニック。初心者がやると単なる説明不足)


だから理系的に言うと、
文意は、文に対して非可換である。
文意≠Σ文、文1+文2≠文2+文1

これを、可換、すなわち、
文意=Σ文、文1+文2=文2+文1
と誤解してしまうと、
「とりあえずこのへんに挿入しとけ」
という安易な挿入が行われて、
流れはメタメタになってゆく。

情報の「広がる順番」こそが大事なのであり、
「全部終わったあとに情報が揃っていること」が
重要なのではない。

揃っていないことで不安になり、
揃うように挿入して補うことで、
流れるような情報の広がる順番がおかしなことになり、
「つまらないもの」になる確率は、
非常に高い。


ほんとうに、そのDの挿入はそこ?

流れを考えて投入タイミングをはかろう。
posted by おおおかとしひこ at 13:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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