2017年09月24日

登場人物に、惚れさせなければならない

物語を見るとき、主人公やその他の人物に惚れることがある。
逆に、惚れられる人物を探すのが、
物語を見るときの醍醐味のようなものだ。

で。
あなたの作った物語の中の誰かが、
誰を惚れさせるのだろうか?


最初はそういうキャラクターを作ろうとする。
それは今まで見てきたキャラクターに似たものとか、
混ぜたようなものが多いと思う。

そのうち、ストックも尽きてくる。
僕が数を書けというのは、
これまでのキャラクターをストックを、
尽きさせろということでもある。

なぜか。

それは、借りてきたキャラクターに過ぎないからだ。

熱血で正義感が強い。
クールでニヒル。
最強のライバル。
可憐なヒロイン。

そんなものは、見飽きている。
あなたなりのキャラクターはそこにはない。
オリジナルを作るには、
そのテンプレを捨てなければならない。

だとしたら、あなたのストックが尽きるまで、
これまで見てきたキャラクターたちを消費してしまえばいい。

数を書き終えたとき、
手持ちのキャラクターは残っていない。
ここから、ようやく、
創作の始まりなのである。


その人物は、どういう魅力があるのか?
他に類例のない、
その人物独特の魅力は?

まさか外見ではないだろう。
外見で惚れさせるようなキャラクターなど、
すでに消費しているはずだ。

だからあなたが次に作らなければならないのは、
内面の魅力に溢れた人物像だ。
ギャップはあるだろう。
こうなのにこう、みたいなことを考えるのはなかなか楽しい。

それを書こう。
キャラクターだけではストーリーは生まれない。
ストーリーが生まれるのは、
そのキャラクターが目的達成のためになにかを始めて、
その目的を邪魔するなにかに出会ったときだ。

なにかは別の人物だから、また別の魅力を持ったキャラクターをぶつければいい。

そうしたら、何か揉めるだろう。



どういうときに、どういう言葉をいうのか。
どういうときに、どういう行動をするのか。
それでその人物に惚れ込む場面が書けるだろう。

表情に惚れることもあるけど、
表情や仕草は役者のものだ。
脚本に書かれているのは、
ト書きとセリフ。
つまり行動と言葉である。
そして、書かれてはいないが、
文脈がそこに書かれている。

その文脈で、何を言い、何をどうするのか。
そのセットで、
惚れ惚れする何かを、
あなたは提供しなければならない。


勿論一発勝負ではない。
何回もそういうのがあって、
徐々に惚れ込んでいくのだ。
リアルな人と同じだ。

ちょっといいじゃんと思い、
なかなかいいぞと思い、
ああ、この人好きだなあと思い、
やっぱこの人いいわと思う。

そういう人物と場面を書いていこう。


その文脈こそ、
用意されたプロットである。
プロットの土台の上に、
そんな人物が乗っかるわけだ。

文脈、言葉、行動。

あなたはそれを作って、
生涯忘れられないくらいの魅力の人物を描き、
惚れさせなければならない。
posted by おおおかとしひこ at 22:24| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。