2017年10月10日

構成力とは何か

静的構成力と、動的構成力があると思う。


静的構成力とは、
ある枠組みを決めたときに、
要素をバランスよく配置する能力をいう。

たとえば5人のバンドを描くとき、
5人の枠組みの中で、
キャラをバランスよく配置するのは、
静的構成力だと考えられる。

彫像や絵やデザインの構成力は、
このようなものだと思う。

「あるパーティーに参加した人々」
をうまく描くには、
静的構成力のバランス感覚が大事だ。

勿論、バランスよく配置したり、
片寄って配置するのは自由だが、
どちらにせよバランス感覚がないと、
今バランスがとれているのか、
片寄っているのかすら判定できない。


で、静的構成力の問題は、
最初に決めた枠組みが崩れたとき、
バランスが崩れるということ。

せっかく5人でうまいこといっていた完璧なバンドに、
2人追加メンバーがきた瞬間、
黄金バランスが崩れてうまくいかなくなることは、
現実でも物語の中でもよくあることだ。
これは、5の枠組みが7に変化してしまったからだ。

静的構成を考えるときに重要なのは、
実は枠組みだ。

絵を描くときに、
たとえば正方形の紙に描くときと、
縦長の紙に描くときと、
横長の紙に描くときとでは、
構図が異なる。
構図が異なるだけではなく、
そういう構図に適したモチーフや、
さらにテーマまでが影響を受ける。
枠組みは土台そのもので、それが揺らぐと構成がかわる。

5から7になったときも、そういうことである。
静的構成は、枠組みに対してのベストを決めることである。


で、動的構成力だ。

動的構成力とは、この静的構成の、
枠組みを動的にコントロールする力のことだ。

最初は5人のバンドを見せておいて、
7人に増やし、
3と4に分裂し、
3は解散して、4は6に増え、
解散した2がまた再結成して、
10のライバルたちと喧嘩して、
最終的に解散して、
また5のオリジナルメンバーに戻った、
みたいな、
枠組みの変化そのものを作ることが、
動的構成力というものだ。

勿論変化には理由が必要で、
それをひねり出さなくてはならない。

ストーリーの構成、というときに、
実はこのふたつ、
静的構成と動的構成が混同されている。

静的構成だけでは、動的構成をカバーできない。
点でしかなく線にならない。
動的構成だけでも、静的構成をカバーできない。
線のダイナミズムが出来たとしても、
その時点での魅力は、静的構成に左右されるからだ。

上の例で、放り出されたメンバー3人が魅力がないなら、
そこのパートが面白くなくなるだろうね。


こういうことは、スポーツ漫画でよくある。
チーム内での揉め事をやっていた初期の頃は、
静的構成のバランスが非常によかったものの、
(三年生と二年生の確執とかね)
いざ県大会になったり全国大会になると、
敵キャラとの静的構成が良くなくて、
敵の魅力が味方の魅力を下回ることがあったりする。
世界大会になると、外人の敵キャラになるため、
益々魅力が下がってきて、
内輪でやってたころのほうが静的バランスが取れていた、
なんて例はたくさんある。
(例:キャプテン翼)

あるいは聖闘士星矢は、黄金十二宮までは、
とても静的バランスが取れた美しい(静的)構成であったが、
枠組みが、聖闘士からマリーナへと移ったとき、
静的構成バランスを欠いた作品になり、
ハーデス編に至っては、キャラのネタギレ感もあり、
まったく良くない静的構成となっていた。

静的構成が悪くなると、キャラが動かなくなって行く。
何をしていいか分からなくなるからだ。
それが動的構成をうまく駆動できなくて…
という悪循環に陥りやすい。


プロットで動的構成を作ったとき、
話が出来たと勘違いし、
静的構成まで踏み込むことなく書き出して、
魅力ある場を作りきれないことがある。

逆に、静的構成がうまくいったのに、
動的構成が出来てなくて、
話が書けなくなることもある。
(より初心者に多いのはこっちか)


構成には二種類ある、と考えると、
今自分はどちらの構成が出来ていて、
どちらが足りていないか、自覚しやすいと思う。

構成力をつけよう。
静的バランスと、動的バランスだ。
posted by おおおかとしひこ at 13:05| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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