静的構成力と、動的構成力があると思う。
静的構成力とは、
ある枠組みを決めたときに、
要素をバランスよく配置する能力をいう。
たとえば5人のバンドを描くとき、
5人の枠組みの中で、
キャラをバランスよく配置するのは、
静的構成力だと考えられる。
彫像や絵やデザインの構成力は、
このようなものだと思う。
「あるパーティーに参加した人々」
をうまく描くには、
静的構成力のバランス感覚が大事だ。
勿論、バランスよく配置したり、
片寄って配置するのは自由だが、
どちらにせよバランス感覚がないと、
今バランスがとれているのか、
片寄っているのかすら判定できない。
で、静的構成力の問題は、
最初に決めた枠組みが崩れたとき、
バランスが崩れるということ。
せっかく5人でうまいこといっていた完璧なバンドに、
2人追加メンバーがきた瞬間、
黄金バランスが崩れてうまくいかなくなることは、
現実でも物語の中でもよくあることだ。
これは、5の枠組みが7に変化してしまったからだ。
静的構成を考えるときに重要なのは、
実は枠組みだ。
絵を描くときに、
たとえば正方形の紙に描くときと、
縦長の紙に描くときと、
横長の紙に描くときとでは、
構図が異なる。
構図が異なるだけではなく、
そういう構図に適したモチーフや、
さらにテーマまでが影響を受ける。
枠組みは土台そのもので、それが揺らぐと構成がかわる。
5から7になったときも、そういうことである。
静的構成は、枠組みに対してのベストを決めることである。
で、動的構成力だ。
動的構成力とは、この静的構成の、
枠組みを動的にコントロールする力のことだ。
最初は5人のバンドを見せておいて、
7人に増やし、
3と4に分裂し、
3は解散して、4は6に増え、
解散した2がまた再結成して、
10のライバルたちと喧嘩して、
最終的に解散して、
また5のオリジナルメンバーに戻った、
みたいな、
枠組みの変化そのものを作ることが、
動的構成力というものだ。
勿論変化には理由が必要で、
それをひねり出さなくてはならない。
ストーリーの構成、というときに、
実はこのふたつ、
静的構成と動的構成が混同されている。
静的構成だけでは、動的構成をカバーできない。
点でしかなく線にならない。
動的構成だけでも、静的構成をカバーできない。
線のダイナミズムが出来たとしても、
その時点での魅力は、静的構成に左右されるからだ。
上の例で、放り出されたメンバー3人が魅力がないなら、
そこのパートが面白くなくなるだろうね。
こういうことは、スポーツ漫画でよくある。
チーム内での揉め事をやっていた初期の頃は、
静的構成のバランスが非常によかったものの、
(三年生と二年生の確執とかね)
いざ県大会になったり全国大会になると、
敵キャラとの静的構成が良くなくて、
敵の魅力が味方の魅力を下回ることがあったりする。
世界大会になると、外人の敵キャラになるため、
益々魅力が下がってきて、
内輪でやってたころのほうが静的バランスが取れていた、
なんて例はたくさんある。
(例:キャプテン翼)
あるいは聖闘士星矢は、黄金十二宮までは、
とても静的バランスが取れた美しい(静的)構成であったが、
枠組みが、聖闘士からマリーナへと移ったとき、
静的構成バランスを欠いた作品になり、
ハーデス編に至っては、キャラのネタギレ感もあり、
まったく良くない静的構成となっていた。
静的構成が悪くなると、キャラが動かなくなって行く。
何をしていいか分からなくなるからだ。
それが動的構成をうまく駆動できなくて…
という悪循環に陥りやすい。
プロットで動的構成を作ったとき、
話が出来たと勘違いし、
静的構成まで踏み込むことなく書き出して、
魅力ある場を作りきれないことがある。
逆に、静的構成がうまくいったのに、
動的構成が出来てなくて、
話が書けなくなることもある。
(より初心者に多いのはこっちか)
構成には二種類ある、と考えると、
今自分はどちらの構成が出来ていて、
どちらが足りていないか、自覚しやすいと思う。
構成力をつけよう。
静的バランスと、動的バランスだ。
2017年10月10日
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