これに答えることは大変難しい。
ストーリーという、流動して固定しない現象を、
固定した言葉で表現するからである。
(動きの良さを示す言葉は語彙が少ない。
たとえばダンスや花火の良さを言葉で表現することは難しい)
これに答える簡単な方法は、
「で、どうなるの?」と興味を抱かせること、
と僕は定義することにする。
どういうことだろう。
予告編のようにするとよい。
「ジュラシックパークのストーリーは面白いのか?」
「恐竜を現代に甦らせることが出来たんだ。
琥珀に閉じ込められた蚊から、恐竜の血液が採取できて、
DNAが特定されたんだ。
そこで恐竜島の動物園ジュラシックパークが出来た。
金網に電流を流して逃げないようにね。
ところが嵐が来た。
嵐で船も動かず、お客さんは島で一晩過ごすことになる。
金網が壊れてることも知らずに」
「それでどうなるの?」
もうこうなったら、そのストーリーは面白いに決まってるのだ。
「ロッキーってストーリーは面白いのか?」
「落ちぶれたイタリア移民ボクサーロッキーは、
賭け試合で殆どのファイトマネーを持っていかれ、
マフィアの借金取りのバイトをしているが、
『指を折ってこい』の指示に従えない。
引退を意識したある日、世界チャンピオンから、
アメリカンドリームマッチのオファーが来る。
無名のボクサーにチャンスを、という話が」
「それでどうなるの?」
もうこうなったら、そのストーリーは面白いに決まってるのだ。
「ドラマ風魔の小次郎のストーリーは面白いのか?」
「ライバル高校に嫌がらせを受け、
スポーツ名門校は衰退の一途。
そこに風魔忍者が助っ人で現れた!
お調子者でおっちょこちょいだけどやるときゃやるぜ!
しかし相手方にも忍者、夜叉一族がいたのだ。
ここに風魔忍者対夜叉一族の、裏で闘うバトルが描かれる!」
「それは原作のストーリーだよね」
「主人公小次郎は、忍びの生き方に疑問を持っている。
はっちゃけられず、隠れなければいけないことに。
そもそも忍びに姓がないなど、人間と忍びは違うと教育されてきた。
しかし小次郎は人間として生きたいと考えている」
「ほう。それでどうなるの?」
もうこうなったら、そのストーリーは面白いに決まってるのだ。
勿論、そのあとの展開や、結末までケツを持つとしてね。
書き手としてはその後の展開やラストの方が難しいんだけど、
他人にストーリーの面白さを紹介するときは、
そのツカミを解説するといい。
つまり、主人公が置かれている、
普通じゃない状況と、
センタークエスチョンを明示するといい。
そこには外的問題
(恐竜島からの脱出、世界試合の勝利、忍者バトルの勝利)
もあるし、
内的問題
(ロッキーは自尊心を取り戻せるか、
小次郎は忍びとして生きるのか、人間として生きるのか)
もあるだろう。
普通じゃない面白げな状況と、
センタークエスチョンという物語の矢が向かう方向を示すと、
つまりはストーリーの動き出しが示せたことになる。
これは冒頭から結末まで記したあらすじより強力である。
「その先どうなるの?」という、
興味(焦点)が生まれるからだ。
勿論、その興味や期待に応えられない、
グダグダのストーリーは世の中に沢山ある。
それはそのあとの責任ということにして、
少なくとも全ての名作は、
このように二つの要素
(シチュエーションとセンタークエスチョン)を決めただけで、
ストーリーの矢が放たれるわけだ。
それが面白いかどうかで、
そのストーリーが面白いかは、
半分決まると考えた方がよい。
勿論、残り半分は、
それから行きをもつかせぬ面白い中盤と、
期待に応える、あるいは期待以上の盛り上がりがある、
終盤と、
ラストの満足感が、絶対的に必要なんだけどね。
ストーリーの面白さを、
僕は原理的に言葉で表現することが出来ないのではないか、
と考えている。
しかし、「その先どうなるの?」と相手に言わせることは出来る。
それが、ストーリーの面白さ(の半分)だと、考えるといいだろう。
あなたの書くストーリーは面白い?
2017年10月28日
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