>一つの物語につき、テーマは一つでしょうか。自分は何者か、友情、愛情、家族の大切さ、本当の勇気、物事をやり抜く意志力、異なる考えの者同士でも、分かり合える、等々。今、物語を作ったのですが、テーマが複数存在することに気づき、それでは読み手が混乱する、何が言いたいのかぼやけてしまうのだろうか、と不安になってきました。テーマ同士が結びついているのならありなのでしょうか。
まずは長さと関係あるのではないでしょうか。
10秒でその話をされても、
なんのことかさっぱりでしょう。
30分だと?
どの要素も出てきただけになるでしょう。
2時間ぐらいだと、
なんとかまとまるかなあ。
どれかは出てきただけで、まあそういうのもあったな、
くらいでしょうかね。
書き方や結び付き方の強さにもよるので、
一概には言えないと思います。
メインテーマが一個ずしりとあって、
その他のサブテーマは全てメインテーマを語るための道具であったのだな、
と観客が理解できれば、
なんの混乱も起きないし、むしろよく整理されてる、
と感じるはずです。
ドラマ風魔は30分×13話の、
映画より長い話ですが、
メインテーマ「新しいかたちの忍びになること」
に対して、3話から7話まで、
それに直結するサブテーマが描かれます。
それぞれが考える「忍びとは」というサブテーマ。
竜魔「目立たず自軍を勝利に導くこと(命と引き換えに)」
項羽「硬いこと考えても意味がない」
小龍「オリジナルとは何か」
霧風「霧で真実を隠してでも、仕事を遂行する」
劉鵬「守るべき彼らの、ごく普通の人生」
みたいなことがあって、
主人公自身に「お前はどういう忍びになるのだ?」
というアイデンティティーを突きつけてくる仕組みになっています。
小次郎が結論を出すのは、風林火山が完成しかかった、
10話かな。
このように、サブテーマがメインテーマに繋がっていくとなると、
話がとっちらかって何を言いたいか分からない、
なんてことはないでしょう。
これは味方のサブテーマですが、
敵にもサブテーマがあります。
紫炎「数を減らしたほうが勝ち」
夜叉「好きなようにバラバラにやる」
壬生「武器のせいなのか、個人のせいなのか」
などなど。
勿論これらは、メインテーマを逆から見たもの。
だから敵(アンチテーゼ)というわけです。
このように、サブテーマ達がメインテーマに向かって、
一本の編み糸のようになっていくのが理想です。
勿論、長い物語だから出来ることです。
すーざんさんの話がどれくらいのボリュームか分かりませんが、
このような各テーマ間の構造がしっかりしていて、
どれにも満足すれば、多分OKです。
そうでない場合、
尺に対してサブテーマが多すぎるか、
逆に長いのに全然足りないか、
各サブテーマが整理されてなくてただ並んでいるだけ、
という印象になるでしょう。
結局、テーマの心に来る深さ×数で決まるような気がするので、
物凄く深く心に刺さるのが一個あるだけでもよいです。
大体、人の話なんてみんな真剣に聞いてなくて、
話が終わったとき、もって帰れるお土産は一個だと考えてください。
その一つがより深くなるために、
他のが役割を果たしていればよいと考えます。
例に上がっているのは、それぞれ一本のメインになるようなものばかりなので、
どれも食い足りないものになっている可能性が高いかも、
という予感だけ書いておきます。
正しく問えれば、解決の半ばです。
読むことや理解することと、することは別のことです。
料理本を読んだだけではシェフになれません。
しかし理論と実践は車の両輪です。
ここで書いていることは、僕の実践から導かれた経験則のまとめだったりします。
あとは実践あるのみです。