2017年11月12日

展開はいつも急

展開が下手な人は、
「展開は徐々にする」と思ってやしないだろうか。

展開はいつも急だ。
ただし、無理や無茶にならないような工夫があるだけだ。


そもそも物事が展開するときは、
急なのである。

突然入った新ニュース。
実はこうだったと過去がわかること。
実はこう思ってたとわかること。
突発的な行動。
そのメンバー以外の空気を読まない行動。

そういうことによって、
事態は変化する。

逆に、安定してもうこれ以上動かない事態は、
このような急なことでしか、動かすことは出来ない。

勿論、徐々にゆっくり、じっくり行きたいときもある。
恋の序盤を考えれば、急にいろんなことは起こらない。

しかし、どこかで物語の車輪が回り始め、
急なことだらけが起こる。
そういう連鎖が物語だ。

急にいろんなことが起こりすぎて、
ちょっと整理できなくてびっくりしている、
そのことそのものが、「物語のなかにいる」状態だ。


ところで、
どんな「急」でもよいわけではない。

その急が、驚きになり、意外性があり、
興味を誘うものであれば、
全く問題なく進めてよい。
事態は加速するだろう。

その急が、あまりよくない場合。
「無理がある」と感じたり、
「分からなすぎてイライラする」場合。

こういうときの為に、伏線という技術がある。

雨が降るシーンの前には、曇り空を写しておけ、
という現場の鉄則は、
それを端的にまとめたものだ。

あとに唐突が起こるならば、
その予告をちらりとしておけ、
ということ。

突然別れ話を切り出すならば、
退屈してるシーンとか、他の異性が現れたシーンを、
その直前か大分前においておくといい。
(それが面白い唐突なら、それはいらない)

「こういうこともあろうかと、持ってきたのだ」
と突然出すぐらいなら、
事前に計画しているシーンを作ればいい。
そしたら、「出たー!」となってテンションが上がるはずだ。
「こういうこともあろうかと」は、
その場で考えたその場しのぎだ。
だったら伏線となるシーンを作っておけばいいのだ。

この伏線と解消の関係に慣れて、
初めて唐突をコントロール出来るようになる。
伏線となるシーンを削除すれば、
急展開を演出できるというわけだ。
意図的な急展開というわけ。
つまりは、「伏せておく」というやつだね。



全ては急展開だ。
その布石が意図的においてある場合に限り、
スムーズな展開に、見えているだけのことである。

全ての名作をそのように分解研究しよう。
なぜその展開はスムーズに見えているのか?
必ず布石が打ってあるからだ。

全ての急展開(ターニングポイント)は、
布石のありなしでしかない。
posted by おおおかとしひこ at 17:15| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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