2017年11月17日

伏線と回収の破綻(「エキストランド」批評)

東京の片隅で10人しか見ない映画を見た。
糞みたいな映画だ。
仕事の付き合いで見た映画は、今まで100%糞シナリオだ。

腹が立ったので、以下ネタバレで糾弾する。



ラスト、何故大爆発ではないのか?

監督は内川くんに「家が爆発すれば面白いかも知れないけど」
って言っていたではないか。
内川くんが撮影をぶっ壊してやると決意を固めたとき、
僕はあの安っぽいセットが爆発炎上すると身構えていた。

ヨーイスタートの掛け声の裏でガソリンを撒く内川。
家が建ったことで一服する主役。
リハーサル通り「家が建ったー!」
と大声を上げ、煙草が落ちた瞬間、ドーン。

そしてユーロスペースは満員御礼。
映画の魔力に負けた監督もプロデューサーも、
「もう一本当てるぞ」と闇落ち。
金田は立派なブラック助監督に。

そういうブラックコメディになると、
退屈なクライマックスをずっと見ていた。
そうでもしなければ、
これまでのヌルイ展開にお釣りが来るほどのラストにならないからだ。

ところが。

丸太ってなんやねん。

だったら爆発とか言わなきゃいいのに。
爆発は伏線だ。
その回収こそすべきところだ。

爆発炎上が撮影の関係で難しく、
丸太破壊になったとしよう。
だとすれば爆発の台詞を粉々とか瓦解とかに変えればいいだけだ。
撮影済みだったとしたら、アフレコしてしまえよ。

そうすればあの大破壊の絵的カタルシスが、
意味的カタルシスに化けたのに。

いやいや、絵的カタルシスを、
意味的カタルシスに変えることこそが、
映画ちゃうんけ。

久しぶりに腹が立った。

デジタル撮影がよくない。
昔の映画は金がかかったから、
こんな出来ていない糞シナリオが通るわけなかった。
淘汰されるべきシナリオが生を得てしまっている。
昔なら間引かれた子供が。



砂漠を用意したから、
砂漠で爆発するんだろうなと予想していた。
ところが住宅街の空き地で、
おかしいぞと予感した。

この監督も、脚本家も、
スタッフも、映画のなんたるかを何も知らない。
東京の片隅で、10人くらいに見られてろ。

ブラックコメディという言葉がプロデューサーの口から
トークショーで出て、
僕は耳を疑った。

ブラックコメディなめてんじゃねえよ。
上岡龍太郎のトーク100万回見てから来い。
ブラックコメディは頭のいい人しか出来ない。
頭のいい皮肉が出来ないと出来ない。
イギリス人の頭のよさを、少しは学んだ方がいい。


久しぶりにユーロスペースに行ったけど、
ユーロもレベルが落ちたものだ。
まあ昔から21時の回はこんなもんか。

肝心のメインディッシュ、現場あるあるはヌルイ。
もっとブラックコメディにするべきだ。
放送禁止を食らう覚悟がないのに、
ブラックとか口が裂けてろ。
posted by おおおかとしひこ at 00:14| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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