人の集中力は、そんなにもたないからだ。
そもそもあなたの集中力は、どれくらい持つのだろうか。
僕は最大13時間ぶっつづけで漫画を描いたことがある。
高校生のころだったから、体力があったのだろう。
仕事でもたまに2時間くらい時間をわすれて没頭することがあるけど、
僕は比較的集中力がある方だと思う。
(ちなみに京大の入試は、数学や物理化学は、
一科目2時間半の試験時間だ。それでも時間が足りないので有名だ)
しかし、自発的に集中しようと思った人でない限り、
興味が持つのはそんなに時間がない。
一説によれば、それは15分以内だそうだ。
だからテレビの編成は、15分に一回CMをいれることになっている。
休憩をいれるのであると。
だからテレビは、15分に一回トイレに行ってもいいし、
スマホを見てもいいし、テレビを消してもいい。
それを防ぐくらい、CMは面白くなきゃいけないのだが、
そんなことは最近の糞CM業界に言うだけ無駄だ。
映画においては、休憩時間はない。
一気に見るものだからだ。
しかしそれでは二時間集中させられるのか。
それはなかなか難しい。
じゃあどうするのか。
焦点をかえるのだ。
つまり、話題をうまく転がしていくのである。
あることがどうなるのだろうか、と集中させる。
(焦点)
それがいったん決着がつき、次の「どうなるのだろう」が生まれる。
それが繰り返す。
ワンブロックは15分以内という経験的法則がある。
つまり、焦点は15分に一回は変る。
あるブロックを書いている。
それに飽きてくることがあるだろう。
それが集中力の限界だ。
よほど緊迫していればそれが長く続くこともあるだろうけど、
基本的にそれは15分、つまり15ページ以内の出来事だろう。
映画のワンシーンは平均3分程度だから、
ほんとうのところは5分やそこらで焦点は次々に変わっていく。
ジェットコースタームービーというのは、
それが常に移り変わり、緊迫がとぎれないものをいう。
焦点にひきつけ、それがとぎれないうちに次の焦点が来て、
という繰り返しである。
別にホラーだけがジェットコースターになるわけではない。
ふつうのドラマだって、ジェットコースターになっていいのだよ。
ホラーだと、人が死んだり殺されたり、
断崖絶壁に追い詰められたりしやすいから、
緊迫のジェットコースターがつくりやすい。
だからホラーとジェットコースターは相性がいいだけにすぎない。
ずっと同じことを掘り続けているムービーが、
全般的につまらない、というだけにすぎない。
書き手の退屈と集中力は、
以外と観客のそれと一致している。
自分が退屈したら、観客も退屈していると思ってよい。
そういうときは話題を変えるのだ。
どうやって変えるかは、
話が上手い人がどうやって変えているか見るといい。
一番単純なのは、
「そういえば」で転換すればいい。
ただし前までのはどうなったんだよ、
というフォローがないと、
転換の意味が薄いだろうね。
もっと上手な転換は、
話題転換だけでなく、
集中している焦点をうまく変える方法だ。
新しい危機を起こしたり、
これまでの目的が達成されて、次の目標になったり、
これまでの目的が達成されないが、次の目標になったり、
目的が増えたり、
増えた目的が減って、次するべきことが明確になったり、
することでである。
最悪の悪手は、全然違う話を始めてしまうこと。
たいてい今までの話と繋がらなくなる。
これは初心者によくあることだ。
あなたが退屈していたり、集中力が途切れがちな時、
観客も同じことを思っている。
シーンを変えたり、
新しいことを起こしたりするときだ。
しかしそれは、たいていプロットに計画されているはずだ。
アドリブで起こしてもいいことはない。
もしそれがプロットにないことなら、
プロットが間違っているか、
今の目の前の原稿が間違っているか、
両方間違っているかのどれかだ。
どれかがあっていて、どれかが間違っていることがわかればいいのだか、
なかなかそうはうまく行かない。
困って別のことをしだして、
脱線して失敗することは最もよくあることのひとつだ。
そこでいったんプロットに帰って、
退屈や集中力切れがここで起ったかどうか、
そこまで綿密に計算しきれていたかどうか、
チェックしなおすとよい。
まあたいていそこまでちゃんとプロットが書けていれば、
そもそも困らないんだけどね。
集中しよう。そして飽きよう。
その境目が、勝負ポイントだ。
2017年11月17日
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