2017年11月17日

なぜ15分に一回ターニングポイントを迎えるべきなのか

人の集中力は、そんなにもたないからだ。


そもそもあなたの集中力は、どれくらい持つのだろうか。
僕は最大13時間ぶっつづけで漫画を描いたことがある。
高校生のころだったから、体力があったのだろう。
仕事でもたまに2時間くらい時間をわすれて没頭することがあるけど、
僕は比較的集中力がある方だと思う。
(ちなみに京大の入試は、数学や物理化学は、
一科目2時間半の試験時間だ。それでも時間が足りないので有名だ)

しかし、自発的に集中しようと思った人でない限り、
興味が持つのはそんなに時間がない。
一説によれば、それは15分以内だそうだ。
だからテレビの編成は、15分に一回CMをいれることになっている。
休憩をいれるのであると。
だからテレビは、15分に一回トイレに行ってもいいし、
スマホを見てもいいし、テレビを消してもいい。
それを防ぐくらい、CMは面白くなきゃいけないのだが、
そんなことは最近の糞CM業界に言うだけ無駄だ。

映画においては、休憩時間はない。
一気に見るものだからだ。
しかしそれでは二時間集中させられるのか。
それはなかなか難しい。
じゃあどうするのか。
焦点をかえるのだ。
つまり、話題をうまく転がしていくのである。

あることがどうなるのだろうか、と集中させる。
(焦点)
それがいったん決着がつき、次の「どうなるのだろう」が生まれる。
それが繰り返す。
ワンブロックは15分以内という経験的法則がある。
つまり、焦点は15分に一回は変る。

あるブロックを書いている。
それに飽きてくることがあるだろう。
それが集中力の限界だ。
よほど緊迫していればそれが長く続くこともあるだろうけど、
基本的にそれは15分、つまり15ページ以内の出来事だろう。
映画のワンシーンは平均3分程度だから、
ほんとうのところは5分やそこらで焦点は次々に変わっていく。

ジェットコースタームービーというのは、
それが常に移り変わり、緊迫がとぎれないものをいう。
焦点にひきつけ、それがとぎれないうちに次の焦点が来て、
という繰り返しである。
別にホラーだけがジェットコースターになるわけではない。
ふつうのドラマだって、ジェットコースターになっていいのだよ。
ホラーだと、人が死んだり殺されたり、
断崖絶壁に追い詰められたりしやすいから、
緊迫のジェットコースターがつくりやすい。
だからホラーとジェットコースターは相性がいいだけにすぎない。
ずっと同じことを掘り続けているムービーが、
全般的につまらない、というだけにすぎない。

書き手の退屈と集中力は、
以外と観客のそれと一致している。
自分が退屈したら、観客も退屈していると思ってよい。
そういうときは話題を変えるのだ。
どうやって変えるかは、
話が上手い人がどうやって変えているか見るといい。
一番単純なのは、
「そういえば」で転換すればいい。
ただし前までのはどうなったんだよ、
というフォローがないと、
転換の意味が薄いだろうね。

もっと上手な転換は、
話題転換だけでなく、
集中している焦点をうまく変える方法だ。
新しい危機を起こしたり、
これまでの目的が達成されて、次の目標になったり、
これまでの目的が達成されないが、次の目標になったり、
目的が増えたり、
増えた目的が減って、次するべきことが明確になったり、
することでである。

最悪の悪手は、全然違う話を始めてしまうこと。
たいてい今までの話と繋がらなくなる。
これは初心者によくあることだ。


あなたが退屈していたり、集中力が途切れがちな時、
観客も同じことを思っている。
シーンを変えたり、
新しいことを起こしたりするときだ。
しかしそれは、たいていプロットに計画されているはずだ。
アドリブで起こしてもいいことはない。
もしそれがプロットにないことなら、
プロットが間違っているか、
今の目の前の原稿が間違っているか、
両方間違っているかのどれかだ。
どれかがあっていて、どれかが間違っていることがわかればいいのだか、
なかなかそうはうまく行かない。
困って別のことをしだして、
脱線して失敗することは最もよくあることのひとつだ。

そこでいったんプロットに帰って、
退屈や集中力切れがここで起ったかどうか、
そこまで綿密に計算しきれていたかどうか、
チェックしなおすとよい。
まあたいていそこまでちゃんとプロットが書けていれば、
そもそも困らないんだけどね。

集中しよう。そして飽きよう。
その境目が、勝負ポイントだ。
posted by おおおかとしひこ at 16:53| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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