執筆中、特にリライト中、迷うことがある。
AにすべきかBにすべきか。
原稿に向かっている状態では近視眼的になる。
一端白紙に問題点を書き出すとよい。
たとえばシーンPとシーンQがあり、
PQと並べる選択肢をA、
QPと逆順にする選択肢をBとすることにする。
Aが優れているのかBがよいのか、
決定しない限りリライトは進まない。
しかしAを選ぶと利点と共に問題点が多々あり、
Bを選べばそれはそれで利点と問題点がある。
そういうややこしい状況が、
リライト中は頻発するものだ。
あちらを立てればこちらが立たずの状況だ。
たとえばAだとラインXの伏線と回収の関係がおかしいが、
BだとラインYの伏線と回収の関係がおかしい、
などである。
どちらも正解ではないときに、
複雑な要素において、あちらを立てればこちらが立たず、
のデッドロックに陥りやすい。
どっちが正解なのか?を判定するときに、
原稿を睨んでも答えは出ない。
もう一段引いた目で見ることだ。
そのためには、
白紙に表をつくって検討するのだ。
Aにした場合、Bにした場合と表を作り、
それぞれの利点と問題点を列記するとよい。
わざわざこういうことをするのは何故かというと、
「人が短期記憶で比較できるのは、精々3要素」
という経験則に基づいている。
あちらを立てればこちらが立たず、
の状況に陥っているときは、
短期記憶の範囲内で条件比較が出来ないときだ。
頭の中で全条件を入れ換えたり比較することは、
混乱するのである。
ということで、その複雑な条件を、
紙に書き出して表を作り、
一度に全部を眺めるようにするのである。
一覧性は、紙の最大の利点であり、
デジタルの最大の弱点だ。
短期記憶の範囲内で処理しきれないものは、
紙で一覧するのがよい。
たとえば引っ越す場所を選ぶときに、
ある選択肢が全ての要素で他より勝ることはほとんどない。
自由が丘と足立区と品川を比較するとき、
それぞれに利点と問題点がある。
それらを一覧するために紙に書き出す。
そうすると、
「自分の中で大事にしている要素」
「これがダメだと破綻する要素」を、
洗い出すことが出来るのだ。
引っ越しの選択肢を創ることは出来ないが、
リライトならば、選択肢CDEを新しく創ることも可能だ。
そのときの利点と問題点が、
またあちらを立てればこちらが立たずになるのなら、
それも表に加えて仔細に検討するとよい。
引いた目で見るということは、
短期記憶の範囲内で処理できないものごとを、
一度全部書き出して、
その中からまた短期記憶内で処理できる程度の量に、
本質を凝縮していくことに等しい。
結婚相手を決めるときにも使える方法論だけど、
それをリライトの選択肢に使ってダメな法はない。
あちらを立てればこちらが立たず。
その複雑な状況で、
外せないのはどれか。
一番大事なのはなにか。
それを見極めるために、
一端一覧するのである。
一番大事なことさえ決められれば、
他の要素を再創造して最高の選択肢に作り替えることは、
意外と簡単に出来たりする。
そうすれば、AでもBでもない、
第三の選択肢に収まることが多いよね。
リライトが難しいのは、
複雑な状況を一覧することが、
短期記憶で処理できる範囲を越えて困難だからだ。
じゃあ、紙の力を借りるのだ。
2017年11月18日
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