2017年11月22日

最初は大体力むんだ

思い入れが強いほど、
一発目に書いたものは力んでいる。


複雑な話で、
キャラクターにも設定が多く、
テーマが入り組んでいて、
プロットも多い要素を凝縮していたりする。

で、結局なんなのか分かりにくかったりする。


女の子としゃべったことない男子が、
デートで力んでいるのと同じだ。

もっとナチュラルにやろうよ、
と周りがいくら言っても、
余計力むだけだ。

こういうときは、
力みきったまま、ラストまで突っ走るとよい。

運が良ければ「おしまい」まで行く。

いやー疲れたなー、
次書くときはもっと楽にやろう、
と、勝手に力みは取れるものだ。

運が悪ければ、
途中で放り出すことになる。

しかし心配しなくてもよい。
オープニングや途中までは書けただろうから、
少なくとも次書くときは、
オープニングや途中までは力まずに書けるようになる。
そのあとラストの「おしまい」までは、
やっぱり力みながら書くことになるけど、
全編全力みよりかは、楽に書けるだろう。


とにかく、
初めてラストシーンを書くまでいこう。
どうせ力んでいる。疲れる。

しかし慣れてきたら力みは取れていく。


人生で初めてやることは、
どんなことでも緊張し、力み、
無駄や無理が多いものだ。
最初から力が抜けて、スムーズに行く人はいない。

軽やかで力まずに、まるで空気のようにできる人は、
力まなくなるまで何回もやり慣れた人だけだ。

だから心配しなくてもよい。
力むのはむしろ運命だ。

問題は、二回目を書かないことだけだ。


一本目はたいてい力んでガチガチだ。
数本こなれてきたころ、
世間に発表する処女作になる。
あなたの本当の処女作は、押し入れにしまっておけばいい。


セットアップ。ターニングポイント。
焦点の維持。緩急。誘導。
キャラクターの自然な振る舞い。
そこで生きているかのような精彩。
人生に対する批判や提案。
リアルな台詞。 様式美。
新しいアイデアを、素直に広めること。

力まずに、
これらのことが全部ナチュラルに出来るようになるには、
何本も書いたことがないと、
出来ないと思うよ。


長編3本くらいは、ずっと力むだろう。
短編30本くらいは、ずっと力むだろう。

それでもなお書き続けて、
だんだん力まずに、力のいれどころが分かってくる。


若いときは力みながら突っ走れ。
最悪は、二本目を書かないこと。
posted by おおおかとしひこ at 09:33| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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