オープニングのことと関連して。
先日、社内行事があって、
そのカメラマンを依頼された。
ディレクターは別に先輩がやるので、
僕は純粋なカメラマンとしての参加だ。
イベント内容は、
「浅草花屋敷を借りきって(借りきれず最終的には一般客と混ざりながらだが)、
バーベキュー会場も借りきって、
家族と一緒にフリーパスで一日遊ぶ、
遊園地ファミリーデー」
というものだった。
参加は全部で150人。めっちゃ多い。
あなたがこのイベントを撮影し、
ドキュメンタリービデオとして完成させるとしよう。
さっと見れるものがいいから、3分ぐらいにはまとめたい。
さて問題。
どのように始めて、どのように終わる?
始め方は、先日議論したように無限にある。
朝イチでオープンする花屋敷のゲート。
浅草の風景(雷門やスカイツリー)。
スカイツリーの展望台から花屋敷にズームする絵から始めてもいい。
特定エリア内だから、花屋敷の許可さえ取れればドローンも飛ばせる。
あるいはジェットコースターに取り付けた主観カメラから始めてもいい。
または、
家族から始める手もある。
ワクワクする子供、カメラを準備する親。
花屋敷のパンフレットに見いる親子。
パンフレットのアップから始めてもいい。
ゲートが開いて入場する家族から始める手もあるし、
記念写真から始めて、全部を回想形式にする手もある。
あるいは、前日から準備をする弊社スタッフから始めてもいい。
電車から降りて花屋敷に向かう主観カットをワンカットで撮ってもいい。
前日の天気予報のアップもあるよね。
どうとでも始められる。
これらをいくつかモンタージュして、
なんだかいい曲の前奏をかければバッチリだ。
始まったら、
社長の開会式の挨拶を入れたり、
遊園地で遊ぶ家族をメインに繋ぎ、
バーベキューを楽しむ家族たちや、
楽しんでますみたいな一言インタビューや、
家族同士の交流や、
事件(子供が大泣きしたとか、
独身たちでカップル誕生とか)があれば、
それをつまめばよい。
つまり、「中身」とはこの場合、
「社内ファミリーデーを楽しむ、
社員たち」がメインディッシュであり、
お楽しみポイントである。
さて本題の問題。
この一日イベントのドキュメンタリービデオは、
どのように終わるべきか?
(ちなみに、閉会式はなく、
それぞれの都合で勝手に帰って良い、
という現地集合現地解散方式だったので、
イベントとしての終了カットはない)
大体5パターンぐらい考えてみたまえ。
これは、「終わり方」を考える訓練である。
(しばらく改行)
僕が実際撮影したカットは、以下のようなものだ。
・スカイツリーと沈む夕日
・メリーゴーランドの電飾が、キラキラとフォーカスアウトしていく
・色々な乗り物に乗る家族たちのスローモーション
(メリーゴーランド、ジェットコースター、シャボン玉吹き)
だ。
これらは全て、この絵にタイトルを乗せるつもりで撮影した。
「お疲れさまでした、楽しかったね!」
でもいいし、
「この一日が、ささやかながら思い出になりますように」
でもいいし、
「ひとときは一瞬。
記憶は永遠。」
みたいに文学的にいってもいい。
「かかった費用は○○○万円、
思い出はプライスレス」
みたいに報告書こみでもいい。
ちなみに先輩のアイデアはこうだ。
事前に社長のインタビューを撮っておき、
それを最後に挿入して終える。
社長は、「このイベントをやる意味」を語るはずだからと。
曰く、普段は怖い上司でも、家族といると笑顔になる、などと。
僕のものも先輩のものも、
共通する考え方がある。
それは、
「これまでのものになんの意味があったのか」
で纏めることである。
ただイベントが始まり、
ただイベントの内容を記録し、
ただエンドマークをつけても、
それは意味をなさない。
「それがひとつの塊として、
どういう意味があったのか」を、
人は知りたいのである。
先輩は社長の言葉を利用することを考え、
僕は「夢の一日の終わり」の絵に、
なんらかの意味を示す一言を書き記す、
という方法論の違いにすぎない。
クイズじゃないけれど、
あなたの答えはどうだったろう。
このビデオの意味を示せたかな。
落ちという笑いは、
ただの笑いではない。
それがどういう意味があったのかを纏めるためにある。
始めることは簡単に出来る。
やり方も無限にある。
しかしまとめ方はそんなにない。
纏まる意味のバリエーションなんて、
たかが知れているからだ。
それにベストな表現は無限にはない。
その意味にたいして収束的に存在する。
カオスは作れるが、秩序を作ることは難しい。
単純にいうとそういうこと。
たかが遊園地ファミリーデーの記録映像?
プロはそれを、一篇の短編映画にすることも出来る。
それは始め方ではなく、
終わり方で決まる。
2017年11月22日
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