打鍵感覚は、多分人によって違う。
僕は以下のような手癖を持っていると思う。
何故ある配列が手にあっていて、
ある配列はしっくりこないか、
それは手の感覚に一致するかどうかじゃないかな。
ということで、自分の感覚を言葉にしてみる。
まず僕は、四本の指に優先順位がある。
ざっくり優先指と非優先指にわけると、
優先指は人差し指と中指、
非優先指は薬指と小指だ。
これは人類共通とは限らない。
薬指は中指と同程度と考える人もいるし、
小指のほうが強いと考える人もいるようだ。
僕は中指より人差し指が強いと考えるけれど、
中指のほうが強く人差し指が弱いと考える人もいる
(飛鳥はそのようにして作られた。
物理的には中指のほうが強いかも知れないが、
僕の意志は人差し指に宿る)。
四本指で考えると話が細かすぎるので、
ざっくり優先指と非優先指の2グループに分けて以下を議論する。
また、右手と左手でいえば、
圧倒的に右手である。
手の感覚で言うと1:10くらいの感じだ。
これも個人差があるだろう。
主観的な1:10という数字に比べ、
以前に各指のキー打ちを調べたら、
僕の左手の性能:右手の性能は、1:1.5程度であることが分かった。
つまり、
左手が2文字打つ間に、
僕の右手は3文字打つ。
だから左右交互打鍵なんてほんとはちゃんちゃらおかしくて、
左2打右3打が、僕にとってのベスト配列になる。
(カタナ式はこの感覚をある程度反映していて、
二重母音、拗音、撥音、長音に関しては右手だけで打つので、
左1打に対して右2打3打の瞬間がわりとある。
促音で左手2打を打ち、右手で拗音3打を打つ「っちょう」なんてのは、
僕にとってのベストの感覚ということになる。
そしてこれをアルペジオで実装していることが、
気持ちいい打鍵感覚ということかも)
で、ここからが本質的なのだが、
僕は大事な音を優先指で打ちたい。
大事じゃない音は、非優先指で我慢するとしよう。
あとは、何が大事で大事じゃないかになる。
断定や主張の、「だ」「た」は大事な音だ。
否定の「ない」「ん」も大事な音だ。
脚本を書く上で本質的な言葉、動詞も大事で、
その基本形「する」「した」も大事な音だ。
言葉の一番目の音、「あ」は大事な音だ。
「て」「そ」あたりは、繋ぎの感覚に近く、
優先指でも最悪こぼれてもいい。
あと、制御系(エンター、カーソル、BSなど)が優先指であるのが、
僕の理想だ。
実際、カーソルは右人差し指中指で使っているし。
僕はこれらが優先指で打てないと、
感覚に合わないと思うようである。
カタナ式はいうまでもなくこの感覚を反映している。
QWERTYローマ字は、この感覚に合わない。
Aが左小指なのに、僕はずっと不満だった。
僕はずっと中指で打っていたくらいだ。
それ以外は、偶然、優先指範囲に入っていて、
だから僕は気が狂うほどQWERTYローマ字が嫌いではなく、
まあまあ順応していたのかも知れない。
独自運指A=左中指を編み出して。
以下、試した順。
AZIK、DvorakJPは左小指Aを見た瞬間却下。
親指シフト=ニコラ配列は、
右小指が「ん」なのが、どうにも我慢できなかった。
そもそもエンターBSが小指なのが許せないのに、
さらに右小指が悲鳴をあげていた。
運指が滑らかと噂の飛鳥配列は、
ブラインドタッチが出来る程度には習熟した。
でもなんだか性に合わなかった。
右小指外が馴染めないのか、
左中指エンターが馴染めないのか、と思っていたが、
今確認すると、右小指「た」左小指「だ」が、
僕の感覚と合わない気がする。
今配列表見たら、左薬指「し」も、僕の感覚と違ったわ。
最速と噂の1モーラ1打鍵の新下駄は、
清濁別置をもう一個覚える気力がなくてスルーした。
シフト面が多くて尻込みした。
ニコラより飛鳥のほうが体に合ったから、
同時打鍵より連続シフトのほうが好きなのかも。
ここらでカナ配列は諦めていたけど、
何故か突然下駄配列が体に合った。
(シフトが洗練された新下駄より、
シフト方式が複雑にも関わらず)
配列表見たらできそうな気がして、
やってみたらできた。
「た」「だ」「ん」「ない」「する」「した」「あ」
が、全部優先指に入っているからだな、
と、ようやく納得した。
いや、逆に、カタナ式と下駄が体に合うのは何故だろうと考えて、
上の結論にたどり着いた感じだ。
言葉を書くということはどういうことだろうか?
僕は何かしら主張することだと考えている。
何も言わない猿が、
「ああああああ」と声を上げるとき、
何かを言いたいのだ。
それが何万年かかかって、
日本語になっただけの話だ。
一番原初のことが、原初の指に配されていないと、
だから僕は気持ちが悪い。
その原初とは何だろう、と考えていて、
上のようなものに収斂するのかな、
と思った次第だ。
実のところ、
下駄配列は月U8の派生らしい。
「す」以外は僕の希望に沿っている。
その前身であるところの新JISはさらに「な」も外れ、
しかも右小指外があって、わりと幻滅だ。
逆に、新JIS→月U8→下駄配列と、
進化の度合いが辿れて面白い。
改めて新下駄を調べると、「す」が伝統位置に戻ってしまったようで、
やはり下駄に比べると、僕的には一段劣る。
このような、指に対する対応する音の感覚を、
言葉にしてみた例はあまり見ない。
僕は文字に色が見える共感覚なので、
触覚や音や概念も混ざってるかも知れない。
でも、
大事なことは大事な指で打ちたい、
というのは、誰もが持つ感覚だとは思う。
勿論、世の中にある配列を全部試した訳じゃない。
僕の要求も、煎じつめればこうなるが、
もっとややこしい細かい要求があるかも知れない。
新たな配列に出会って、
カタナ式や下駄配列を否定する可能性も0ではない。
こういう指の感覚に合う配列を探してくれる、
あるいはジェネレートしてくれる、
人工知能があるといいなあ。
でも手作業のほうが速いかもね。
感覚を言葉にするのは難しい。
しかし言葉とは、本来感覚でしかなかったものを、
表現に引きずり出す行為である。
2017年11月29日
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